New Album『CLUB33』壮絶解説〜Alexander〜

さて『CLUB33』壮絶解説第四回目でございます。

今回は2曲目、MVにもなっている『Alexander』です。

では早速行ってみましょう!

【ルシファー教授による楽曲解説】

MVも制作された、ぼくらの新たなるロックンロールアンセムになった楽曲でございますね。

着想となったのは、濱書房でライブやったときに、ぼくらの出番前にかかってた曲がめちゃくちゃかっこよくて、ステージをウロウロしていたジョニーパイソンさんに「この曲超かっこいいんですけど、誰ですか?」と訊いて、「んー?KYONOさんだよ。かっこいいよね!」と、親切に教えてもらったのが、これでした。

この御方、THE MAD CAPSULE MARKETSのボーカルを務められていた方です。
彼らは元々、スターリンや初期バクチクからの流れを汲んだ印象のあるパンクロックバンドだったんですが、徐々に大胆なデジタルハードコアサウンドをフィーチャーした新機軸を確立させて、後発のバンドたちにも多大な影響を与えました。

今のぼくらが「同期モノ」とかと呼んでいるような文化そのものを作った人たちだと思って頂いて差し支えないと思います。
元を辿るとYMOJAPANが同じ発想でやってたりもしたと思うんですけど、直接的に今に繋がるルーツはマッドカプセルマーケッツだとぼくは思います。

マッドカプセルマーケッツもめちゃくちゃ好きなんですが、『EQUAL SOCIETY』はイマじゃん!!!という感じがすごくしました。
発想はマッドカプセルマーケッツのそれなんですけど、ワブルベースが入ってたり、レゲエっぽい歌い回しがあったり、Dubstep以降の流れを汲んでしっかりアップデートされてる感に胸打たれました。

マッドカプセルマーケッツの音像は、パンクに対して、主に「アーメンブレイク」と呼ばれるサンプリング音源を重ねて構成されています。
これはThe Winstonsというバンドの『Amen, Brother』という曲の中の、4小節のドラムソロをサンプリングしたもので、“奇跡の6秒間”とも呼ばれるほどに様々なジャンルでサンプリングされています。

1:26あたりからがそれです。きっと誰もが耳にしたことがあるはずです。
この6秒間をつなぎ合わせたり、切り貼りしたりして、ヒップホップやドラムンベースやジャングルのブレイクビーツが多々作られました。

中でも、その切り貼りのエグみと複雑さ、そしてテンポの速さに特化したものがブレイクコアと呼ばれており、ぼくは『EQUAL SOCIETY』聴いて、マッドカプセルマーケッツ的手法でブレイクコアを取り入れたいと思いました。

・・・ていう感じの曲がやりたいんだ!!!!と、スタジオで力説し、なんとなくこんなん、というのをメンバーに伝えて、えんどうさんがリフを開発し、いいじゃんそれ、といって一通り形にしてボイスメモに録音しました。
そのボイスメモを聴きながら、サビがイマイチなものしか降ってこなくて、どうしたものかと思っていたとき、昔作った自分の曲を思い出しました。

バンドをやってなかっだ時期にちんまりと作ったトラック『Pebble purpule』です。
サビしかないってのがミソだったりするのですが、これをまるっと移植することにしてできたのが『Alnxander』なのです。

歌詞についても、実は『Pebble purple』と姉妹作的になっています。
「pebble」とは小石のことで、つまり「むらさきのこいし」を表しています。
これは、ぼくが子供の頃からずっと大好きなレオレオニの絵本『アレクサンダとぜんまいねずみ』から来ています。

ぜんまいねずみ

これね、ほんとに読んでほしいんですが、忙しい人のためにあらすじを説明すると、

・アレクサンダは人間から嫌われているねずみ
・ある日、おもちゃのぜんまいねずみウィリーと出会う
・意気投合し、お互いの境遇について語り合う
・ウィリーは、家主の娘にたいそうかわいがられているが、背中のゼンマイを回してもらわないと動けない
・アレクサンダは自由に動けるが、きらわれもの
・アレクサンダは、可愛がられているウィリーが羨ましくて仕方がなく、魔法のとかげに自分もぜんまいねずみに変えてくれとお願いする
・とかげは、願いを叶えたければ"紫の石"を持ってこいと命じる
・アレクサンダは必死こいて探し、やっと紫の石を発見
・しかし、ウィリーは家主の娘に捨てられ、ゴミ捨て場行き確定
・アレクサンダは、急いで魔法のとかげのところに紫の石を持っていき、とある願いをかける
・戻ってみると、ウィリーはいない
・すると、自分と同じ生身のねずみに出会う
・そう、アレクサンダはウィリーを自分と同じ生身のねずみに変えてほしいと願ったのでした(かしこい!)
・ふたりは嬉しくて一晩中踊りましたとさ、めでたしめでたし

というお話です。
いい話ですよね、深みが深い!

このお話、友情として描かれているみたいなのだけど、ぼくはあまりそこに限定した解釈はしていなくて、恋愛にもいえるというか「自分と、自分の大切な誰かのためにできる最善は何か」というお話だと思っています。

『Pebble purple』は、最善が叶わずにウィリーが忽然といなくなってしまったときのアレクサンダの気持ちになって書いたものです。
だけど、次に生まれたら来世でもその先でもまた会いたいよ、という歌。

ちなみに、『Pebble〜』の途中で挿入しているセリフは、ウルトラマングレートの第5話のクライマックスシーンです。
第1話で、主人公の目の前で死んだはずの親友が、実は敵の手先になっていたことを知り、「君を救いたいんだ」と親友に言う主人公に対して、親友は「それならぼくを殺せ」と主人公に言い放ちます。

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主人公は動揺しますが、囚われたヒロインの捨て身の機転で奪われていた変身アイテムを取り戻します。
それでも、親友と戦うことをためらう主人公に対してヒロインは「だめよ、戦って、奴を倒して」と願い、そして敵の手中に落ちてしまいます。
そこを切り貼りして挿入するという誰にも通じない演出でございました。

このくだりが、ぼくの中では『アレクサンダとぜんまいねずみ』とリンクしていて、自分と大切な人の幸せのために最善が何かを考える点と、願いのための超越的なアイテムの存在(むらさきのいしや変身アイテム)がある点で相似していると感じます。

じゃあ、今ぼくは何を願うのかと考えると、「オレたちの名前を呼んでくれーい」というくだりに収斂すると思ったんです。
それは、ライブで声が出せない現状を打破したい気持ちもあったり、単純に求められていたいこと、おこがましくもずっとぼくらを愛してほしいということの、表層にある願いです。
それ以外には何もいらないよね、という想いが『Alexander』に込めたものです。
それは、アレクサンダが必死にむらさきの小石を探し出して、願いを込めることで、いつまでもウィリーと一緒におどり続けました、という関係値と相似すると思います。

ただ、スタンスとしてはやはりThe Nostradamnzなので、そんな正義の味方じみた言い方ではなく、辛辣でおちゃらけた、卑猥な悪童としてそういうことを歌っています。

割れた鏡を見ては自分は醜いと思い込み、美しくない自分を恥ずかしいと思って何も行動を起こせないきみに、世界を視る眼差しを手解きをすることで、きみはどんどんどう振る舞えばいいか解ってきて、そうした現状打破を通してどんどん魅力的になっていくきみに、ぼくは興奮を隠せない、だから手を繋いで踊って(意味深)ぼくの名前を呼んでくれれば、それだけでいい。
早い話が、それをアレクサンダの願いと重ねて歌っている、という楽曲です。

アレクサンダが紫の小石を探したときの気持ちで、ぼくはずっと「ひとひらの光」を探しています。
もしかすると、それはぼくときみが繋いだ手と手の中に、見えないけど、もう既にあるのかもしれないですね。

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アレンジは、かみむらくんの、サビをスネア連打にしてストリングスを入れたいというアイデアが非常によくハマったなと思います。
もともとCLUB33のリードトラックは『Wonder world』にするイメージだったんですが、もちろんワンダーワールドもめっちゃ大事なキラーチューンだけど、総合的にこちらのほうが相応しいなということになりました。
CLUB33にログインしたきみとぼくが、それに望むスタンスをよく表せているなと思います。


【サイコパス燕瞳さんのミックス解説】

インラインにてご回答いたします。

>MVとCDで音が違う気がします。
はい異なっております。ミックスは同じですがマスタリングが違います。
違いをわかっていただいて幸いです。

>サビのストリングスとピアノが大好きです。
いいアレンジですよね。これは僕がやりました。記憶が確かなら。
ストリングスはちゃんとカルテットで組んでおります。独学です。
ピアノは弾いています。幼い頃に習ってました。ストリングスとピアノが歌とユニゾンするところとか最高ですね。

>ブレイクコアの絡みが最高です。
ブレイクコア(一番はじめから鳴ってるデジタルドラム)をご存知とはなかなかコアですね。僕は知りませんでした。
全般にわたって入っているんですが、もうこの音がなにもかも食い尽くすので、うまく混ぜ込んで聴こえるようにするのが大変でした。
ドラムをガッツリ出したいけど、デジタルドラムも聴かせたいけど、音圧も出したい。幾千の時を超えて、たどり着いたその果てでこのミックスが仕上がりました。

>イントロのリフギターの構成はどうなっているのですか?
はじめの「どぅーぱっぱ」の低音の方は真ん中で「ちゃっちゃっちゃー」の高いチョーキングは左右に二本配置してます。その後ろでバッキングが左右で二本鳴ってます。ライブでは一人でリフを弾いてるのでフレットの往復がすごい大変です。
このリフですが、はじめに考案した時はキー(曲の高さ)が違って、別のポジションで弾いていたのですが、ルシがデモを作った時にキーが変わっていて、どうしようか悩んだ覚えがあります。でもカッコよくなったから良しとしてます。恨んでません。全然恨んでません。

>ボーカルの処理の展開が好きです。
よくわかりますね。素晴らしい。Aメロは歪ませて閉塞された世界で声を絞り出すようなイメージ。Bメロはディレイでハーモナイズされた世界を演出、声の切れ際のディレイがシャンシャンシャンとかっこいいですね。このディレイ作るの大変でした。Bメロはディレイでハーモナイズされた世界を演出、声の切れ際のディレイがシャンシャンシャンとかっこいいですね。このディレイ作るの大変でした。サビはナチュラル気味でストレートに向かってくる感じにコールマイネーム。
CメロのディレイはBメロのそれとはまた違う効果でBメロが内向的な精神世界ならこちらは外交的な精神世界という感じです。

【本文に対しての上邑くんの一言解説】

2人とも文字長くてきっしょいですね。可哀想で見てられません。
私はもう飽きたので次のStill hangryから頑張ろうと思います。興味無いのに見てくださってる皆様には頭と股間が上がりません。まあ皆様理解してないなりに適当に分かる分かるう分かるうって言っていただければ2人とも白目剥いて射精して舌舐めずりチン舐めずり喜ぶかと思います。

ドラム?Bishのオーケストラのパクりです。以上です。

ハヤト・D・ピュッピュ

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