ライナーノーツ【パルプ・ドリーム】

こんにちは。
ずっと話がまとまらないで混乱したままの太間雷角斎です。
今回のコンもどうしたものやら、ずっと困っておりました。

今回ポストした作品は1作品。
タイトルは「パルプ・ドリーム」と名付けました。
本作のライナーノーツなのですが、最初に
遊行剣禅氏と、きょくなみイルカ氏に心からの感謝を。
キャラクタの名前が毎回できない俺の悪癖を救ってくれました。

タイトル:
タイトルは往年の名作ゲーム「パイプドリーム」から。
ぐるぐるしまくった俺の頭の中と、主人公に夢をかなえてほしいから。
パルプで夢をかなえるとか素敵だと思ったの。

コンセプト
パルプを書きたい!こんな田舎町でくすぶっていられるか!
俺は俺のパルプで勝負するんだ!!
そんな、パッションを抱えるのは若者の特権。でも、それを上手に言えないのも若者の特徴。
それをなんとかしたいとはずっと思ってました。

お話ができるまで:
最初に考え付いた時、主人公とヒロイン(イルカ=サン)と親父(ユギョウ=サン)と爺でした。
けど、お風呂に入ってる時にヒロインだけでいいんじゃないかという啓示を受けました。
結果は正解だった。800文字で出せる登場人物は4人が限界じゃなかいかな。

舞台設定:
今回の舞台は町から離れた田舎の港町。
釣り好きが高じてこんな舞台設定にしました。小さい町で全方位が自然だと逃げる場所が無かったってのもあります。
港町なら船があり、船は個室ともいえるので話の小道具にはもってこいです。
世界情勢としては、ナローバンド時代のインターネットがある世界と思ってください。
まったくネットワークがないと、世界で戦争が起きた後の説得力が欠けると思いましたが、大規模なネットワークは邪魔になると思ったのでこのくらいにしました・

キャラクター設定:
イルカ:
年齢設定は16歳前後。パルプが好き。家族は大事。善人。困ってる人は見捨てられないタイプ。能動的。慎重に考えるけど決断したら走り出して止まらない。
10歳で戦争の影響で孤児となるがユギョウに引き取られる。

ユギョウ:
年齢設定は34歳。
優秀な漁師の面をかぶったパルプスリンガー。ヒット作多数。
イルカを引き取ってからはパルプスリンガーの表情はみせていないのでイルカは完全に漁師と思っています。
戦争前の文明などについても知っている。

爺。
若い時に一度だけ佳作としてパルプで表彰をうけた漁師。
ユギョウの隣に住んでいる。
最初の形ではイルカと住む予定だったんですが、独居老人です。
煙草と海を愛する爺さん。
戦争前の文化を知っている。

困難だったこと:
最初にWrite Upした時、1100文字くらいでした。
800文字に圧縮するのは悩みました。
とにかく削ったのは説明文を削りました。読者の想像力を信じることにしました。
また、2回説明するところなども削りました。
全体を見て、イルカがパルプを書きたいっていう部分がメインになるけど、お父さんには素直になれない状態。
なので爺に出張ってもらいました。もっとイルカの独白シーンは決断的にすべきだったかもしれません。
冒頭に一人殺せという鉄則ですが、景気よく数億人ころしてみました。
一人殺すとドラマになるけど、数億人は状況になってしまう事を知りました。
此の後、イルカは自分のパルプをポートフォリオとしてユギョウに叩きつけます。初めてのパルプスリングです。しかし、それは別のお話・・・




【原型】
********
ここから先は最初の状態です。
省かれたところなどと見比べられるように残します
**********

戦争が終わり勝者はなかった。もはや完全に整備されたインフラを持つ国はなく、世界中で数億の人命が散った。
復旧は特にネットワークが優先され、ナローなネットワークが多少復旧した。
イルカの住む海浜エリアは小さく貧しい街だ。孤児だったイルカを育てたのは父ユギョウ。
日々の漁師としての生活でユギョウはイルカを育て上げた。
その晩の食卓は大いに荒れた。ユギョウは決して口数が多い方ではないが、珍しく声を大きくしてイルカを叱りつけていた。
そしてイルカは「お父さんの莫迦!」というシャウトと共に家を飛び出してしまい浜辺を歩いている。

イルカは家を飛び出たものの、小さい港町に行く当てはなく、ユギョウの船に乗って星を見ていた。
彼女の楽しみはパルプ。パルプを読むときに彼女は世界を救うヒロインになり、クンフーの達人になり、悪党と対決するポリスになる。
かつての高度なネットワークや、眩い世界はパルプの世界のみにあり、彼女はそれを想像するのが楽しくて仕方がなかった。
ナローの世界だがパルプに世界が無限にあった。特に軍人が悪魔と戦うシリーズは彼女のお気に入りだ。

「イルカ!ここにいたのか!親父さんも心配してるぞ。帰ろう。」
陽気なファットスモーカー老人はタバコを咥えてイルカの横に座る。
「また親父殿と喧嘩かね?」ライターは爺さんの顔をほのかに一瞬だけ照らした。
「帰らない。爺ちゃん。私、町を出たいの…お父さんは許してくれない。私はパルプを書きたい。シティに行きたい」
「パルプか。今は映画や動画はないからな」
爺さんは薄い目をして笑いながら波を見る。
「パルプ。すごい。私の知らない世界が目の前に現れる。私もパルプが書きたい。書ける。」
イルカは星を見つめる。
「爺もパルプを書いてな、勲章をもらった。爺の一番星だ。今でもお守りにしてる」
「スゴイ!」
イルカは輝く目で隣に座る爺さんを見つめる。
「だがな、イルカ。今じゃ魚獲りの爺だ」
ごとり。
老人は巾着袋を出して少女の脇に置く。
「持っていけ。親父殿には爺からきちんと説明しておく。明日の夜、もう一度きちんと親父殿と話すんだ。今日はもう帰ろう」
老人は立ち上がりタバコの火種だけを器用に海に落とした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?