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ボラットに見る「対話」の意義/良い記事には良い読者が/これも一種のWithコロナ

2021年9月7日

『ボラット アメリカ式ロックダウン&今明かされる真実』(Amazon Prime ドキュメンタリー)を見る。

あのボラットの新作は、コロナ禍のアメリカでボラットに扮するサシャ・バロン・コーエンが2人の男性の家にステイホームするもの。2人はいわゆる陰謀論を信じ、新型コロナも仕組まれたものと主張。前半は5日間のステイホームの模様を、後半は専門家たちが陰謀論の正体を暴いていく。

ま、前半はいつものアレです。男尊女卑、人種差別が当たり前のカザフスタンの貧村出身(の設定)のレポーター、ボラットが騒動を引き起こす。そのボラットが陰謀論者に男女は平等だとたしなめられるシーンなど笑いも満載だ。

「先の大統領選は不正だらけだった」「新型コロナのワクチンにはマイクロチップが入っている」「ウイルスは中国で作られた」など、日本でもよく聞く陰謀論。これに対し専門家たちが「なぜそんな考えが生まれたのか」をリモートで陰謀論者たちと対話をしながら丁寧に解説する。

解説を聞いたからといって陰謀論者が考えを変えるわけではないが、質問をぶつけ話を聞く「対話」がある。

ちょうど辞任を表明した現総理は「対話」はおろか「説明」もできなくなっていた。次のリーダーは、どうか「対話」ができる人物であってほしい。


ABEMA Primeでの「こたつ記事」の回(6月22日配信)を見る。
記者が取材をせずにTV番組やネットを基に記事を作る「こたつ記事」 MCの田村淳氏(ロンドンブーツ1号2号)が TVでの発言を誤った形で切り取り記事化したニュースサイト編集長に対談を申し出、実現したもの。

「こたつ記事」を作る実態についてはライターの立場ではなんとなくは知っていたが、コメンテーターでジャーナリストの佐々木俊尚氏と元メディア編集長の中川淳一郎氏による業界の背景の話はとても興味深かった。PV偏重はいずれ限界を迎える。良い記事には良い読者がつき、企業は良い記事を発信するメディアに広告価値を見い出すようになるという。

個人のブログにも似たような課題はあるだろう。地道に良い記事を書くことを目指し続けたい。

緊急事態宣言の延長をめぐってまたザワザワし始めるのか。といっても、ワクチン接種も終え、旅行や宴会の予定もなく、私の日常生活が大きく変わることはない。

「ブレイクスルー感染」にも「基礎疾患がないのに急死」にも過剰にビビることもない。TVのワイドショーも平常心で見ることができる。玉川徹にも坂上忍にも嫌悪感がなくなった。もちろん好感もないが。野々村真には多少の痛々しさを感じるがそれ以上のことは思わない。SNSで目にする「反ワクチン」「コロナはウソ」「マスクを外そう」も、その対極の「コロナ脳」も生温かく見守ることができる。

これも一種の「Withコロナ」なのだろう。


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