見出し画像

大学生に最もおすすめのバイトはレンタカー屋

僕は大学時代レンタカー屋でバイトしていた。

念のため店舗は特定されないようにするが、大手のレンタカー屋で、そこそこ台数も多い、エリア内の中核店舗で働いていた。
そんなところでバイトしていたので、レンタカー屋のバイトについてはいろいろと思うところがある。

結論から言うと、レンタカー屋は僕のような陰キャにはかなりオススメのバイトだと思うし、海外留学に行ったりNPOで活動するよりも手軽に視野を広げることができると思う。
今日はそのレンタカー屋で働いていて感じた魅力を語りたい。

これからバイト先を探す大学生の参考になれれば幸いである。


魅力①車の運転が上手くなる

レンタカー屋でバイトする一番の魅力はこれだろう。
僕はほぼペーパードライバーの状態でバイトを始めたのだが、1年もバイトを続けていると、地元で車で通学しているやつと同レベル、もしくはそれ以上のレベルで運転が上手くなっていた。

なぜこれほど上手くなるかを知るには仕事内容を知る必要があるだろう。
レンタカー屋の仕事は、もちろん車を貸すことである。
そのために、具体的には主に以下の仕事をしている。

・車を駐車場から店頭に持ってくる
・返却された車を清掃する
・清掃された車を駐車場に停める
・車が足りない場合や他店で乗り捨てられた場合、他店から車を借りてくる

バイトの業務は主にこれだけである。

僕の働いていた店舗は駐車場と店舗が少し離れていたので駐車場と店舗の往復でだいたい10分ほどは車に乗る。
一日に少なくとも10往復はするので、かなりの時間車に乗っていることになる。
僕の働いていた店舗は割と都会にあったので、おかげで都会の5車線くらいある道路でも物怖じせず乗れるようになった。

また、駐車場は立体駐車場ではなくだだっ広い空き地があるだけで、当然地面にガイドラインなどないので、いかにデッドスペースなく駐車できるかが求められる。
車を入れたら体が抜け出せるギリギリしかドアを開けられないような狭いスペースに、多い日は1日30回は駐車していたので、縦列駐車は僕の特技になった。

おまけに社割で車を借りられる。これもかなりありがたいポイントだ。

これからドライブデートで女の子をキャーキャー言わせたい男子大学生にはうってつけのバイトである。

「運転上手くなりたいけど、下手なやつが入ったら迷惑じゃないかなぁ」
と不安な方も多いかもしれない。
しかし、前述の通り、僕も始めた当初はペーパードライバーだった。
車1台を駐車するためにバックしては前に出し角度を調整してを3,4回は繰り返していたし、バックしているときに車をぶつけたことも一度や二度ではない。
しかし、大学生なんてみんな最初はそんなもんというのはお店の人も分かって採用しているわけなので、作業が遅いからといって怒られることはなかったし、ぶつけたときも擦り傷程度であれば笑って済ませてくれた。(もちろん自社の駐車場内での出来事である)

以上の理由から、車の運転が上手くなりたい人は、まずはレンタカーバイトに応募してみることをお勧めする。

魅力②時給もそこそこ

このレンタカーバイトは、特段時給がいいわけではないが、平均程度の時給がもらえる。
車の運転の練習をお金をもらってさせてもらっていると考えれば、かなりおいしいバイトじゃないだろうか。

さらにこれは店舗によるだろうが、僕のバイト先では出勤日や出勤時間もほとんど自由に決められたし、残業もほとんどない。
ここだけ見ればかなりホワイトな職場である。

すこし注意が必要なのが「返却された車を清掃する」業務である。
これがなかなか大変で、まず返却された車のシートに一通り掃除機をかけ、ボタン回りやハンドル、窓ガラスなど車内の一通りをぞうきんで拭くという工程がある。
さらに、そのうえで車を洗車機にかけ、付いた水滴を乾いたぞうきんで拭き上げなければならない。
うちの店舗は洗車機が使える分まだ恵まれていたのだが、店舗によってはホースで水を掛け、手作業で洗車もしていたようだ。

この作業を屋根のほとんどない駐車場で行っていたので、夏は暑いし冬は寒い、非常に過酷な作業だった。

僕はこの肉体労働の苦しみよりも車に乗りたいという欲求と金欲が勝っていたので耐えれたが、肉体労働は絶対にしたくないという人には向いていないだろう。

魅力③人と話さなくていい

これは僕のような陰キャにはとてもありがたい魅力ではなかろうか。

これも店舗によって差はあるだろうが、僕の店舗ではバイトの業務は上記の通りなので、バイトがお客さんに接客することはあまりなかった。
店頭での支払いの手続きなどは全て社員のスタッフさんが対応していたので、バイトがお客さんと話すのは、繁忙期や返却の立て込む閉店時間間際に出発案内や返却対応をする程度である。

なので、お客さんとしゃべるとしても基本的には定型文を発話するだけで済むことが多い。

しかし、たまに空港送迎なる仕事が任せられることがある。
遠方から飛行機で来たお客さんを、空港の到着口で待ち受けて大きめの車に乗せて店舗まで送り、帰りは店舗から空港まで送っていくという仕事だ。
空港から店舗まで車で20分ほどの距離である。
相手が家族連れなどであれば身内で盛り上がってくれるので楽だが、個人の場合なにかしゃべらないと気まずいし、向こうから話しかけてくることもある。
その時はなけなしのコミュ力を振り絞るしかない。

このようにお客さんとしゃべる機会も少ないのだが、スタッフ同士でしゃべることも少ない。
前述の仕事のほとんどは一人で行う作業である。
車に乗っている間などはまさに一人の時間である。
極力人と話したくなければ仕事に打ち込めばいいのだ。
もちろん、仲のいいバイト仲間や面倒見のいい上司もいるので、そういう人とは休憩中に話すこともできる。

陰キャにとってはありがたいバイトである。

魅力④いろんな人がいる

レンタカーバイトには本当にいろんな人がいる。
僕のバイト先にはこんな人がいた。

・同じ大学の同級生
・風俗に入り浸っている私大の先輩
・リストラ後、生活費稼ぎのために働いているおじいさん
・むかし水商売をしていた人生達観おばさん
・駐車場内でも時速40kmで爆走するおっさん
・知的障害があり月1回しか風呂に入らないおっさん
・詐欺に遭い3億円の負債を抱えている元社長の没落貴族おじいさん
・本社の副社長とそういう関係になることでバイトから出世した店長

などなど、実にバラエティ豊かである。
この中で駐車場爆走おじさんだけは解雇されてしまった。爆走しては車をぶつけ、修理工場送りにした車は3台にも及ぶので、当然の仕打ちである。

しかし、前述の通りお客さんの前に立つことはあまりないので、直接的に損害を発生させるような人でなければ受け入れてくれる懐の深い職場である。

このように本当にいろんな人がいるので、事件に事欠かない愉快な職場であった。

魅力⑤いい社会勉強になる

魅力④に付随するが、本当にいろんな人がいるのでいろんなことが学べる。

僕は自分で言うのもあれだが、小さいころからそこそこの生活水準で暮らさせてもらってきたし、中学・高校・大学と平均以上の学力の学校に通わせてもらった。
なので、これまでの人生では比較的裕福で常識がある、ぶっとんでいたとしても人の道は外れることがないような人としか接してこなかったのだ。

しかし、このバイトを始めて、いわゆる「社会の底辺」に属する人々と密に接する機会を得ることができた。

自分の親よりも一回り年上の人たちが、日銭を稼ぎに肉体労働をしている。暑い日も寒い日も雨の日も雪の日も老体に鞭を打って、外で車に掃除機をかけ、お客さんのもとに車を運んでいる。
知的障害のある人が、日銭を稼ぎに肉体労働をしている。夏場も風呂にほとんど入らないがためにひどい悪臭を放ち、それを指摘するとキレて車を殴り始めるという問題児だが、障害者雇用の規定上解雇できずに働き続けている。
枕でバイトから出世した店長が、正社員として入社した部下をなんとかマネジメントしている。出世の経緯はみんな知っていて気まずい空気のなか、たまに副社長が来店しては数時間二人でどこかに行っている。

僕はいままでこのような人種と関わる機会がなかったので、「社会の底辺」とくくって見下してしまっていたが、彼ら彼女らを近くで見てきた今は少し考えが変わった。

確かに、僕は彼ら彼女らの生き方には憧れない。できればああはなりたくないと反面教師にしているのは事実だ。
それに風呂に入らなかったり、ヘビースモーカーのおじさんは単純に臭くて近づきたくない。

でも彼らは懸命に生きている。そこには一人一人のドラマがあり、僕ら部外者からは到底想像もし得ないような体験、思考の末に今に至っている。
いろんな過去の結果として表出した今を受け入れ、生きていくためになんとか頑張っている。

そんな彼らの「おれみたいにはなるなよ」という言葉は当時の僕には重くのしかかった。
こんなにぬくぬくと何不自由なく生きていることに申し訳なさすら感じた。
だからといって彼らの生活を変えるだけの力は僕にはない。

幸いにも彼らは僕に対して羨望のまなざしを向けることはあれど、妬まれて危害を加えられるようなことはなかった。
だから僕は、彼らが現実を受け入れてきたように、僕も彼らをただそこに存在するものとして認識することにした。
そうすると、そこに存在するのは一人の人間であり、どんなバックボーンがあれど上も下もない対等な人間なのだと思えるようになった。(臭いはどうしようもないが)
それは僕にとっては大きな心の成長だった。
だからこそ、言葉を真摯に受け止め、少しでもいい人生にしようと心に刻んだのだった。

また、彼らは確かに「社会の底辺」かもしれないが、陰があれば光もある。彼らの存在が無ければ世の中は回っていかない。

そこそこの大学に行くと、一流企業に入ることが当たり前で、このような「社会の底辺」には目もくれない人も多い。
しかし、「社会の底辺」がいなければ大学キャンパスはゴミや落ち葉で溢れ、勉学どころではなくなる。

そういう意味でも彼らは社会にとって必要な存在であり、職業の人気ランキングの底辺というだけで、人間として上も下もないと思っている。

レンタカーバイトを始めてから紆余曲折あり今の考えに至ったが、これで世の中の物事の見え方が変わった気がするし、少し大人になったと思う。

最後に

途中から昔のクズ野郎の僕の懺悔のようになってしまったが、
伝えたかったことは、レンタカーバイトは決して楽な仕事ではないが、得られるものも大きい、素敵なバイトだということだ。
これからバイトを探す人は是非レンタカーも検討してみてほしい。


…っと。1つ大事なことを伝え忘れていた。

レンタカーのバイト先の人とムフフな関係になるようなことは絶対にないので、出会いが欲しい方は他のバイトをお勧めする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?