忘れた頃の日記【2020/10/21 wed.】

最近、眠りすぎてしまう。
朝に一度起きて食事をとっても、そのあとに二度寝してしまうことも少なくない。私は二度寝が許される仕事に就いているが、これだけで現世は天国のよう……と、思わなくもない。

眠りすぎてしまう理由の一つは、先日奮発して天使の羽のごとく柔らかい掛け布団を購入し、眠りがさらに愉しくなったことが挙げられる。

眠りすぎてしまう理由、二つめ。
最近、面白い夢を見ることが多い。起きてしまえばほとんど忘れてしまうのだが、おぼろげに誰がでてきたとか、きれぎれの言葉や場面とか、どんな感情を覚えたとか、そんなことが嵌らないパズルピースのように目覚めた後の私の中に残される。
そのパズルピースは覚醒が進むにつれ、みるみる崩れて、波にさらわれる海岸の砂のように形を変えどこか知らない場所に運ばれてしまう。それでも私は波打ち際を見つめ、時に濡れた砂を握り、夢の残滓を探そうとする。掌の中で歪んで形を変える砂は、本当に私が見ていた夢の形なのだろうか。それとも、覚醒後の私が都合良く解釈し捏造した妄想なのだろうか。それは誰にもわからない、神ですらも。
だから私は、その夢の残滓にすがるように眠りすぎたり、二度寝したりしてしまうのだ。

起きて、二度寝をし、仕事をし、夜になってカレーを作った。
仕事中のBGMはラルク・アン・シエルだった。
カレーはにんじん、じゃがいも、玉ねぎ、鶏肉、茄子を入れたシンプルなカレーで、味付けも凝らなかった。ノスタルジーの香りがした。
夜は早く眠ったが、風呂に入り損ねた。カレーを食べると、私は昔からすぐに眠たくなってしまう。

本日の日記の文体、比喩表現等の特徴については文中にヒントがあります。(難易度:E)

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