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遠くにあるさなぎ

液状の乳白質の中でホルモンはかけめぐって、

分断をものともせずちぎれた体のまま羽がひらく


遠くがじかんなのか距離なのかわからないでいるうちに

飛びたそうになってきている


なまえを呼ぶにはあんまりかけらで

視野とおぼえの底辺に隠し

小さな穴を開けてから覗く


そうやって

一晩ゆめを見てしまった挙げ句

開きかけになり

ごめんがなんとなく出てきた


どこかにもう片方あるさなぎ



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