まこぴかっと

まこぴさんインタビュー

まこぴさんの経歴

1社目:ライン工→社内SE
2社目:インターネットサーバ&オンプレ系インフラエンジニア
3社目:知人と会社作ってみた(Webデザイナー系)
4社目:ISP&クラウド系インフラエンジニア
学歴:商業系

詳細
最初はプリンターの修理からパソコンのねじ〆までやってました。転職して昔からやりたかった「サーバ系のエンジニア」としてデビューして今に至ってます。
技術的にはインターネットサーバと言われるDNSやNTP、Mail、DHCP、Webシステム、SecureProxyシステム及びRHELが好物となっておりますが、本気でコードなんて書けません。かろうじて誰かが作ったプログラムの切り貼りや、ShellScript、そしてCOBOLが少しできる程度です。
今はクラウド基盤の「物理的な設計・工事・施工」から「論理的な設計・構築」までやるエンジニアっぽいことしてます。
コードかけたらもっと幅広がるんだろうけど、今のエンジニア生活に満足しちゃってる意識低い系なので学ぼうという姿勢がないです。
エンジニア歴は10年くらいです。
ブログもあります。

愛と情熱のエンジニア

今回はインフラへの燃えるような愛と情熱があふれていて、とても面白いインタビューになりました。

まこぴさんインタビュー

――学ぼうという姿勢がないというのはいきなり衝撃的です。

学ぼうとする姿勢がないというのは、あくまで「プログラミングスキル」であって、インフラを支える技術は趣味の範囲も含めて勉強してます。インフラを運用したいという自分にとって、コーディングってのは手段の一つであり、そこは得意な人にお願いするスタンスです。

――インフラも広いですがどんなところに興味があるんですか。

箇条書するとこんな感じです。
・運用するシステムの業界動向及び最新技術
  ・流行りのオープンソースソフトウェアの情報
  ・良く触るオペレーティングシステムのこと
※コード書けなくても、Linux Kernel を読み解いたりとかは頑張ってます。フローチャート化さえできれば何とかわかる。
  ・冗長化などの技術
  ・電気工事に必要な資格
  ・システムボードを構成する部品の情報(SpecSheetなど)
 などなど。
書き出してみたら、アーキテクトにでもなりたいんでしょうか?自分は。
エアフローがー!熱量がー!コンデンサーの質がー!とかも言ってる気がするけど、そこは割愛してます

――では順を追ってお聞きしたいので、学生時代にどんな勉強をしていたのかお聞かせください

えーっと、学校で習ったエンジニア系スキルという意味では
・COBOL
・MFC (Microsoft Foundation Class)
らへんでしょうか。
がっつりCOBOLやって、最後にゆるくMFCをやっていた・・・という感じです。
ただ、COBOLは今も書けるくらい覚えているけど、MFCはかなりゆるいというか、別のことに熱中していたのもあって、まったくもって覚えてないし、正直学習したのか?というレベルです。
全体的には商業系の学校だったので、簿記とかプログラミングをするにあたっての考え方とか流れとかを学生時代はやってました。

――商業系でプログラミングとかやるものなんですか?

商業系でも一応「情報処理学部」があって、今でいう基幹システムとか面倒見れるエンジニアを目指す人向けの学習だったんだろうなあ、と思います。たぶん。そう信じてます。
商業系なので簿記を3級取る程度にはやりました。今思えば、もっと簿記やっとけばよかったなーと思います。

――社会人になると意外と簿記の知識があると役立つじゃんって気づくんですよね。しかも独学で勉強するとちょっと面倒で。

ほんとそれなのです。法律とかその辺が、簿記の知識を一般常識で知ってる前提だったりするから、今苦労してます。

――コーディングはどんなレベルまでやったんですか?

えーっと
・(超簡単な)要件定義の仕方とか
・プログラムのロジック組み立て
・コード書き起こし
こういうことを、配布された教科書や資料にある内容は一通り全部自由に書けるくらいまでは頑張りました。
といっても、Cとか最近の言語みたいにすごいことができるようなものでもないし
http://crimson-systems.com/flowchart/sft02.htm
こんなフローチャートテンプレートだけで解決するようなフローチャート図で完結するレベルなのですごくはないです。

――フロー図とかは設計書とか手順書を書くときとかにちゃんと書けると便利ですよね。たとえばですけど、業務とかで他人が書いたコードを開いて中身が理解できます?

Haskellなどの関数型言語とかは全く読めないですけど、CとかBasic、JavaScriptやJava、C#を読んで「適当にフローチャートに落として」中身を理解することはできてるつもりです。が、Pythonとかその辺になるとお作法が違いすぎてまったくついていけてない人です。
なお、理解できてるつもりの部分も正しく読めてるかは微妙ですし、書き起こすことは一切できません。
ShellScriptやコマンドプロンプトとかは、コードじゃなくてスクリプトだと思ってるので書いてませんが、その辺は一応簡単なのは書けます。

――スクリプトにしても構文とか関数とかをすらすら書けるとめっちゃ重宝しますよね。僕も意識低いこと言うと、自分の範囲じゃないところは手探りでも読めれば十分だと思いますよ。

スクリプトとかでももっと効率のいい書き方とか存在する分かっていても、効率と「可読性」は相反するよね!と自分に言い聞かせて勉強しないです(逃)

――1社目のライン工というのは?

町工場と呼ばれるところで、プリンターを組み立てたり、パソコンやサーバ組み立てたり、その他雑用などなど。
ただ、片手間に会社のインフラの面倒も見ていたので、ちょくちょくサーバメンテナンスをしたり、(自分が楽に仕事できるように)他拠点とネットワークつなげるのを提案して実装したりとか、じわじわとインフラエンジニア寄りになっていきました。最初の1年とちょいくらい。

――なんとなく商業系からそこに繋がらないような。

まttttったくもって、つながりないですよ(キリッ)
でも、昔ながらのやり方を貫く地元の町工場は、結構この先がしんどいなと思ったんです。情報系の力でお世話になった恩返しができないかなと思って、ライン工として入りつついろいろ提案したりして、会社の情報系インフラをいじらせてもらいました。

――徳が高い話になりました。確かにわかります。私も新卒で地方の商社いたころは、手書きでFAXでした。注文も見積もりも何もかも。

その過去にお世話になった町工場とかがその手のインフラを一切使わずFAXと電話で頑張ってると聞いて、何か力になれると信じて頑張りました。はい。
その結果、VPNで全拠点つないだり、全拠点にメッセンジャー導入したり、受注してから即時に会社全体で動けるような環境になったので、あとはその保守とかは相談きたら受けるよーって宣言したうえで、次の職場にいきました。
転職理由はインフラ系にはまった結果、インフラをやりたくなったからです。そして何より、地方じゃ生きていくのが精いっぱいすぎた(手取り○万円時代★)←コンプライアンス的に伏せ字にしましたが1桁です。

――それでもITの力で貢献したかったというのはエモいですね。

お世話になった会社だったからこそ、安い賃金でも頑張ってでもテコ入れしたいと思ったのです。これはガチ。
で、インフラ準備したし、いろいろ縁があって独り身じゃなくなったので、気合いれて転職しました。
2社目は、インターネットサービスプロバイダ(ISP)です。
昔からWebサーバとかインターネットの仕組みに興味があったので、その会社にいきました。

そこでは、DNSのお仕事をメインとしつつ、Red Hat Enterprise Linux を使うサーバの設計、そして気づいたら
・NTPシステム
・Web/FTPシステム(俗にいうホームページサービス)
・メールシステム
・DHCPシステム
・Proxyシステム
とかも設計や最適化に係わって、構築・運用してました。
大体6年くらい。今までの職歴で一番ながかった。
一番いろいろ学ばせていただいた職場。インターネットサービスのことをいろいろ知りました。そう、その頃まではよかったです。

――語りが面白いのでわくわくします。

ただ、その頃から規模がでかくなり、本当に魔界の生き物かと思うようなシステムが生まれ始めて、「自動化」とか「オートスケール」とか「オーケストレーション」とかが聞こえてきました。大体2012年後半ころから。
その頃に一度、自動化を目指してプログラミングとかインフラのコード化を勉強したんですが・・・
【やりたいことじゃない】ので続かなくて、一回インフラエンジニアを離れました。

――わかりますそれ。便利なのはわかるんですが、そう敷居が低いものでもないんですよね。

そうなんです。いろいろインターネットで意識高い本当にすごい記事見たりするたび、少しやっては「これ無理」となる挫折を繰り返しました。いまもですがっ!

――ネット上だと簡単にやる人だらけですからね。確かに意識高い人はある意味狂気をまとっていますから、同じことを目指すと挫折するんですよね。

結果、一回、全然違う職種に転職したというか・・・知り合いが会社作るというので、そこに加わってみました。(3社目)
HTMLやCSS、JavaScript、PhotoShop や Illustrator を駆使する Web コーディング屋さんです。
詳しく掘り返すと記事一つできるくらい酷い内容がいっぱい出てくるので端折りますが、結果を言えば「今までのインフラ設計のようなゆっくりした慎重な動き」では全く仕事をこなせず無理でした。挫折しました。本気で心おれました。

――そらスタートアップでキャリアチェンジで大変ですよ!全く異次元のスキルセットが求められる世界ですし。

ブラウザのChromeとかFirefoxって、バージョンゴリゴリあがるじゃないですか。あの勢いで「新技術」が生まれていき、それを使ったWebサイトを作るとか、今までのように「勉強をしてから作る」じゃ追いつかず、走りながら勉強とか無理無理カタツムリ状態でした。
朝8時からお仕事をはじめ、夜29時に終わる生活は、私のいろんなものをへし折るには十分でした。在宅勤務というか、自宅を作業場としていたので出社時間とかはなかったけど、それでもやっぱり無理でした。
結果、今もまた、ISPでお仕事しております(4社目)

――結構色々な経験積まれてますが、やりたいことはどんなことなのでしょうか。

心が折れた時期に、やりたいこととはなんなのか何度も考えたんです。
結果、誰かが喜ぶことをしたいというだけだと気づいて、それが今できるのは、インフラエンジニアだってなって、このセカイに戻ってきました。ほんとです。
学生時代からやってたこのインフラへの熱意だけが武器でもあるので、いまはインフラエンジニア以外やりたいことはなさそうです。
まあでも、いつかはほかのことしないとなあ…とは思わなくもないですし、他の分野でも力があれば別のこともやってたかもとも思いますね。やっぱり誰かに褒められるの好きなので(本音でた)

――インフラも広いからいろんなことができますし、独特の楽しさがありますよね。コード書けなくても成り立つのもそうですけど、広く色んな製品とかやれたりもするけど、好きなものだけ掘り下げてもなんとでも生きられるというか。

私の考えだと、コードを書くのは「目的を達成するのに必要な要素」の一つであり、目的は「インフラを作って維持運用すること」です。
自分が面倒見ているインフラを理解すること、そして異変の兆候を見逃さないほど愛を持ってそのインフラを育てる熱意さえあれば、インフラエンジニアはコード書けなくてもやっていけると信じてます
コードなんかより、フローチャートのが大事と思ってます。

――確かに運用設計とか運用維持とか結構大事で、下に見られることもありますが、絶対になくならない仕事ですよね。仮想化がどれだけ進んでもサーバやネットワークは消えないですし。

10年くらいITインフラエンジニアをやってわかったことはコード書けるよりも、事象を理解してロジック組む力のが大事ということです。運用設計と運用維持って言葉、インフラエンジニアにはコーディングなんかよりも忘れてはいけない大事な言葉というか要素だと思ってます。

――そういう信念がある人は自分の道を間違いなく切り開いていけると思います。

今更なことを言っちゃうわけですが、佐々木さんが最初Twitterで「コード書けなくても~」と募集したとき、私としては逆に「なんでコード書くの必須なん?」と思ったんです。
いや、スキルの一つとしてはわかるけど、インフラエンジニアに求める必須条項じゃないよね?と。

――その通りだと思います。でもインフラでもコード書くの求める人はいるじゃないですか。ITエンジニアって本当はすごく多様化してるので、私はインタビューを通じてそれを解き明かしたいんです。

「フルスタックエンジニア」という便利な言葉作った人が悪いと思います(偏見)
かなーーーり昔の記事ですけどフルスタックエンジニアって、ディレクターが居れば要らないですよね(極論)
ぼくは何でも間でも中途半端にやられるより、○○にとても詳しいエンジニアを必要なだけ集めて作るほうが、よほど安心します。

――非常に良い話をたくさん聞けました。スキルだの技術だの言う前に、インフラに愛が必要なんだということを学びました!

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