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「岩田さん 岩田聡はこんなことを話していた。」を読んで感じたこと

ネタばれせずに感想を書く

この本がどれだけ優れているかは読めば全員が感じられると思う。それは当たり前のことで、岩田さんは任天堂の社長として非凡な結果を出してきたからだ。ゲーム機のメーカーとしては任天堂はとても小さい。今でも任天堂は単独で2000人ちょっとの会社だ。ソニーやマイクロソフトと喧嘩できるような規模の会社じゃない。任天堂だけが目指すところが違うから今があるわけだが、これは並大抵のことではない。

今はちょっと調子が悪いが、トヨタ自動車が絶好調で世界の覇者だったときのことだけど、トヨタはハイブリッド車で世界の最先端を独走していた。さらに成功するためにこんなことを言っていたそうである。
「任天堂だったらどんな車を作るか考えろ」

任天堂のものづくりというのは、大人でも子供でもみんなに支持されるようなゲームを作り続けることだ。たとえばニンテンドー64で大きなコントローラーを作った時にも6歳児がきちんと握れるかを確かめて設計をした。ゲーム機は精密機器であるにもかかわらず、子供が落としたり踏んだりしても壊れないように作る。ニンテンドーDSをE3というイベントで披露したあとに、コンクリートの地面に落としたら液晶がはずれたというのでボタンの位置を2ミリずらしたこともあった。
それはゲーム機は「おもちゃ」だから、丈夫でなくてはいけないというこだわりだ。岩田さんの在任中までは据え置きハード機は2万5千円だった。僕がゲームキューブを買った時も、スーファミを買った時と同じ値段。
これは、こどもが遊ぶおもちゃだからという理由のほかに、「ハードはゲームソフトを遊ぶための箱。本当なら無料で配るくらいが正しい」と考えているからである。

だいぶ本と関係ないことを書いてしまったけど、こういう山内社長の時代からのやり方を上手に踏襲して、それを進化させたのが岩田さんである。僕はいわっちと呼んでいたので以降はいわっちと書く。本の内容とは関係ないけど、こういうことを思い出させる文章だった。

いわっちが社長になったときの衝撃

元々、いわっちはHAL研究所の人間である。この辺は有名だし本にも書いてるから書かない。
そのいわっちが任天堂に入社したのは40歳の頃だ。そして42歳で社長になる。この衝撃たるや、尋常ではなかった!

当時はバブルも終わって、上場企業の経営者はみんな年寄りだった。ゲーム会社はまだ若いが、それでも42歳は破格の若さである。
セガの大川社長の交代やソニーコンピュータエンタテインメントの久夛良木さんが社長になったり波乱のあった世界だったが、入社2年で社長というのは相当な異例である。

いわっちもそれを驚いていたわけで、事前には山内さんから経営とは何かというような禅問答みたいな会話を何度かしたと言っていたが、社長の抜擢されるとは知らなかった。
しかし、山内さんも高齢だし勇退する意思は固く、相談役に退いてしまった。

いわっちはBASICやぴゅう太なども使いこなす古参の天才プログラマーである。経営をする立場になっても、開発がしたいという気持ちが強かった。それを悩んでいたけど、いわっちは経営者として生きることを決めた。周りの期待が強かったことも影響されたと思う。
それでも、周りよりも若くて後から来た人間なのに、しっかりとガバナンスしなければならないのである。それをやり遂げてしまういわっちは形容する言葉がないくらいすごい存在である。

任天堂の豊富な人材

ものづくりの現場は盤石だった。宮本さんの右腕の手塚さんはヨッシーアイランドなどで天才的な能力を発揮。青沼さんはゼルダをトゥーンシェイドという3次元のアニメにしてしまうという誰にも真似できない才能を発揮。ほんとまあ、なんであんなことしてしまったんだとファンの立場から僕は思うけど。

スキンヘッドの広報室長の今西さんは社外への発信がとても得意だった。山内さんと一緒に引退してしまうんだけど、いわっちは彼の役割もある程度引き受けたんじゃないかって思ってる。いわっちは対外的な発信もすごくうまい。

海外で評価される

よく宮本さんが、「海外でのほうが人気でサインをよく求められる」ということを言っていたけど、いわっちも同じだったんじゃないかって思う。いわっちは海外のイベントでは自ら資料を作って自ら英語でスピーチした。何度もやってるから慣れたものだった。発音はカタカナ英語だったんだけど。
だけどよく考えると日本でそんなに多くスピーチをしていた印象はない。日本と海外での評価の違いを感じて、スタイルを変えていたのかもしれない。

いわっちのバックボーン

いわっちは実は東工大の出身である。超天才なのも納得だし、あごがタプタプして育ちが良さそうなのも納得できる。しかも、親は室蘭市長だったそうである。そりゃ人徳もあるし若くして社長になったのも納得できる。

ゲームに興味を持つのはマニアが多い。いわっちも重度のマニアだったことは間違いないが、やはり普通の開発者とはバックボーンが違う。すごく理論的だけどすごく人間味がある。

効率的であることよりも、誰かがハッピーであることを喜ぶ。この信念を貫ける経営者が今の日本にはほとんどいないと思う。労働者はみんな疲弊している。ゲームは不況に強いと長らく言われてきたけど、スマホゲームの台頭で従来のゲーム産業も随分と事情が変わった。

そんなときに、最新の技術だったりトレンドだったりを追いかけていくのは任天堂のやり方ではない。他にはない価値を作って、新しい遊びを作っていくことが任天堂の目指す道なのだ。

スーパーマリオというゲームはジャンプしてるだけで楽しい。ゲームキューブのスーパーマリオサンシャインは、久しぶりにジャンプしてるだけで本当に楽しいゲームだった。水鉄砲をピーチ姫にかけるだけでも楽しい。
こういう楽しさを追求するのが任天堂らしさだと思う。

いわっちとアップル

いわっちが個人的に大好きだったアップル。共通点はたくさんあるからよくわかる。アップルも世の中にない新しい価値を創ることが得意だ。

あのスティーブ・ジョブズは世界中に惜しまれながら56歳で永眠した。天才の死は早すぎた。いわっちは享年55歳である。今調べたから合ってると思うけど、やはり早すぎる別れだった。

こんなことまで似なくてもいいのになぁとファンの僕は思うのである。

最後に

僕は本当に任天堂が大好きで大好きで、いいところも悪いところも、ずっと見てきた。見てきたと言ってもユーザーとしてなので、実際には見てないし、何ならこのページで書いたことはめちゃくちゃ適当である。僕が書いた任天堂らしさとか、微塵も責任を持てないことをたくさん書いてしまった気がする。

だけど本を読んで、最初から最後まで気持ちのいいことしか書いてなかったから、ああもっと読みたいな、僕もちょっと書こう。みたいなノリでこんなことを書いてしまった。

任天堂の人の情報ってあんまり世の中に出ない。なぜか。これほどの企業なら本を書く人がたくさんいてもよさそうなものなのに。そうなると、僕みたいにゲーム雑誌やファンサイトで情報を集めた人の中にいろいろと眠っている。だからいくらでも書きたいことがあるんだけど、明日も仕事だから区切るをつける。

ありがとう、いわっち。ありがとう、任天堂。
すこすこのすこすこ。

末尾だけど、ここで本を買うと特典があるらしいので貼っておく。

https://www.1101.com/books/iwatasan/index.html


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