the デザイン思考

しばらくデザイン思考について考えたのでエモさ完全無視でロジカルに書いてみます。

なのでタイトルだって興味をひきそうなワードはなしで…ストイックに。とはいえ少しエモいこと言いたくなったら注釈でいれます。。

***

デザイン思考とは?

問題解決のためのプロセスです。

「プロセス」というのは「手順」だけではなく「入出力」や「リソース(人やお金)」や「ツール」と言ったものをひっくるめた意味を持つ言葉です。

つまり「問題を解決するための手順や道具や考え方のフレームワーク一式」の1つがデザイン思考です。

もちろん問題解決のプロセス・手法は他にもたくさんあります。

デザイン思考の特徴を考える上で……まずロジカルシンキングとは?

問題解決のプロセスはいくつかありますが有名なのは「ロジカルシンキング」と言われる手法です。

ロジカルシンキングの基本的なプロセスは「現状(AsIs)」と「あるべき姿(ToBe)」を明確にしてその差分を明らかにして埋めていくことです。

差分がわかると課題を論理的に導きだすことが出来ます。今が60点で100点を目指すのであれば差分の40点をどうにかする必要があります。例えば正解した問題・間違った問題を分析すればどういう問題が苦手なのか課題が見えてきます。

課題がわかってしまえば対策の立案ができます。

それではデザイン思考とは?

では次に「デザイン思考」にうつります。

デザイン思考の基本的なプロセスは以下の5stepだと言われます。

Step.1 共感
Step.2 問題定義
Step.3 アイディア創造
Step.4 プロトタイプ
Step.5 評価

特徴はStep.1と2です。ロジカルシンキングでは「あるべき姿」に到達するために施策を考えていきますが、デザイン思考ではその「あるべき姿」が最初にありません。

「あるべき姿」が無い中でまずは「共感」によってユーザーや現場の状況を理解するところからスタートします。

共感 vs 同情
似た言葉ですが「共感」と「同情」では意味が違います。「共感」は相手の気持ちになってそれを感じ取ることです。逆に「同情」とは自分の気持ちのまま相手の気持ちに賛成することです。デザイン思考では「同情」ではなく「共感」によってユーザーの状況をユーザーそのものの気持ちになって理解することが大事です。

ユーザーや現場に共感していく中で「問題点」を見つけ出していきます。

その気付きはユーザー自身ではなかなか気づけないことかもしれません、何気ないユーザーの一言やちょっとした行動がヒントになるかもしれません。

もちろんユーザーの理解、ユーザーのドメインの深い知識も必要です。普段電車にのらない人が電車通勤の苦労をいくらインタビューで聞いても絵空事です。

インタビューや現場の観察や体験を通して「共感」を深め問題点を見つけ出していきます。

問題点が見つかれば後はソリューションを考えるのは従来からやっていることとかなり近しいです。

ただソリューションが出来たとしてそれが本当の正解だとは限りません。

元々それはユーザー自身が課題かどうかも気づいていなかったことに対するソリューションなので誰も正解を知らないです。

なのでプロトタイプを作ってまずは試してみます。試して本当にそれが課題だったのか?その課題をそのソリューションが解決できるのか?といったことを実際に課題を抱えているユーザーに使ってもらって評価します。

評価結果のフィードバックによって、課題認識が間違っていたかソリューションが間違っていたかを考えてまた前のStepに戻ります。

課題認識が間違っているならStep.1~2に戻ります。ソリューションが間違っているならStep.3に戻ります。

ユーザーを切り替えることはある?
リーンスタートアップではピボットといってソリューションをそのままにユーザターゲットを切り替えることがあります。そんなつもりはなかったのに意外と全然関係ない人の役に立つようなケースです。ただデザイン思考はそもそもユーザの問題解決が主なので「ユーザーを切り替える」という考えはないように思います。ビジネス的な判断でユーザーを切り替えてデザイン思考をやりなおすという感じだと思います。

ということで改めてデザイン思考とは?

「問題解決のためのプロセス」です。

特に問題自体が不明瞭な場合に効果的に使うことが出来るプロセスです。

言い換えると問題だと気付いていないところから問題を浮き彫りにしてそれの解決策となるソリューションを選定するためのプロセスです。

デザイン思考が必要となってきた背景?

課題がよくわからなくなってきたからです。

課題が明確な場合は何も考えずにそのソリューションを考えればよかったのですが、今はモノにあふれてそれほどの苦労もなく何でも出来てしまいます。でも何か新しい事をしないといけなくてあがいています。その新しい何か≒イノベーションのためにユーザーが気付いていないような課題を浮き彫りにする必要があります。

ユーザーですら気づいていない課題のソリューションは何かのイノベーションである確率が高いです。

イノベーションが生まれると市場独占やブランド価値向上などのビジネス上のメリットが発生します。

何かしらのイノベーションを目指すのであればデザイン思考のようなプロセスが有効です。

それで結局デザイン思考でイノベーションは生まれるか?

生まれる確率は上がります。

ただそんなに簡単ではないです。

問題定義において深い洞察を得るためには十分にそのドメインを知っている必要があります。満員電車を1日経験するだけに比べて何年も経験しているからこそ見えてくる本当の課題もあります。

1日が不十分で何年も必要という意味ではなく、誰がどんなドメインでもインサイトを探れるわけではない、という意味です。

ソリューションを考えるときにも、エンジニアならエンジニアらしいソリューションが出てきます。デザイナーならデザイナーらしいソリューションが出てきます。 例えば、今ソリューションを考えると「AIを使った○○」というソリューションが出てきそうです。機械学習などをきちんと理解している人なら的を得たソリューションが出せますが、そうじゃない人なら「なんとなく今ならAI!」という雑なソリューションになります。これはデザイン思考に関係なくその人の知識や引き出しの多さに依存します。

デザイン思考を使えば無条件にイノベーションが生まれるわけではないです。

結局は自分達の深いユーザー理解や高い専門技術などの強みがベースで、それらを活かして成功確率を少しでもあげてくれるのがデザイン思考です。

***

というのが今のわたしの理解です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?