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CGM(クチコミ)の投稿モチベーションは4つに分類できる

今回は、CGMと呼ばれるサービスをテーマに

・CGMにおける投稿導線の設計
・ユーザーによる投稿モチベーションの4分類


という、大きく2つのトピックを考えていきたいと思います。

0.なぜこのnoteを書いているのか

今回、CGMにおける投稿導線の設計とユーザーの投稿モチベーションをテーマにしたのは、改めて自社のCGMサービスを見直した際に、今回メインで取り上げる「投稿モチベーションの4分類」を思いついたからです。

この分類をnoteにして発信することで、色々な意見をいただいてサービスやプロダクトを分析する目が鍛えられたらいいなという思いでnoteにしたためてみました。誰かが唱えた理論とかではなくあくまで持論なので、異なる意見も多々あると思いますし、違った視点からの意見も大歓迎です。よろしくお願いいたします。

1. CGM(Consumer Generated Media)とは

本論に入る前に、まずCGMとは何かという定義とこのnoteで扱うCGMの種類を整理して行きます。CGMの定義は、ferretさんのマーケティング用語によると以下の通り。

CGMとは、 インターネットを利用して消費者が情報を生成・発信していくメディアのことです。Consumer Generated Mediaの略です。古くはネット掲示板から始まり ブログ、 口コミサイトやQAサイトそしてSNSなどが CGMの例です。
(中略)
CGMの特徴としては、消費者が自身の価値観で自由に情報を発信できること、メディアの種類によっては匿名であること、SNSなどでは情報の拡散が早いこと、不特定多数の消費者間で直接コミュニケーションが可能であること、などが挙げられます。
引用元:https://ferret-plus.com/2584

つまり、ユーザーがコンテンツを投稿して作られるメディアが CGMと呼ばれています。しかし、引用部分にもある通り、一言にCGMと言ってもその中にはブログやクチコミサイト、Q&Aサイト、SNSなどのサービスがあります。

そして今回のnoteでは、CGMの中でも特にクチコミサイトを取り扱います以降でCGMと記載しているものは、クチコミサイトを指していることをご了承ください。

2. ケーススタディでみるCGMの投稿導線

まずは、分析に入る前にケーススタディとしていくつかのCGMを取り上げて、投稿導線がどのように設計されているのかを見ていきたいと思います。

※以下のケースで取り上げているサービスは、アプリがある場合にはアプリの画面を取り上げ、アプリがない場合にはスマホwebの画面を取り上げています。


ケース(1):(旧)食べログ、Retty、クックパッド、LIPS

ケース(1)では4つのサービスを取り上げさせていただきました。一目でわかる通り、上の4つのサービスの投稿導線はボトムタブの真ん中に配置されています。(※食べログの現在のUIは投稿導線をボトムに置かなくなったので意図的に一つ前のデザインを取り上げています。なぜ、食べログが投稿導線を外したのかという考察もどこかで出来たらと思います。)

上で取り上げた4つのサービスに限らず、InstagramやTiktokのようなSNS、メルカリやラクマ等のフリマアプリなど、投稿に限らず「ユーザーの能動的なアクション」を求めるサービスにはよくある設計だと思います。

その一方で、ケース(1)と同じCGMでありながら以下のケース(2)で取り上げるサービスの投稿導線は、ボトムタブのような一等地に必ずしも設置されていません。

ケース(2):Vorkers、就活会議、マンションノート、みんなのウェディング

ケース(2)で取り上げさせていただいた4つのサービスの内、Vorekersと就活会議、マンションノートはケース(1)で取り上げたサービスのように目立つ位置に設置するのではなく、サービスのコンテンツを見るための「ハードル」として設置しています。つまり、自分がクチコミを投稿することによって他のクチコミを閲覧することができるようになります。

また、みんなのウェディングに関してはマイページ内に投稿導線を設置し、クチコミを投稿することによって「現金に交換可能なポイント」を獲得できる設計になっています。

ケース(1)とケース(2)で見てきたように、一口にCGM(クチコミサービス)と言っても投稿導線の設計は大きく異なっています。そしてこの設計の違いは、サービスごとのユーザーの投稿モチベーションを分類することで整理できるのではないかと思っています。

具体的には、CGM(クチコミサービス)においてユーザーの投稿モチベーションは大きく「記録、承認、制約、報酬」の4つに分類することができ、その分類パターンによって投稿導線の設計も決まってくると考えています。

3. CGMの投稿モチベーションは4つに分類できる

先ほど、CGMの投稿モチベーションは大きく4つに分類することができ、その4つとは「記録、承認、制約、報酬」であると説明しました。この4つのモチベーションを簡潔に説明すると以下のようになります。

記録:自分のためのログとして投稿するモチベーション
承認:いいねやコメントが欲しいという自己承認のモチベーション
制約:何かをするために投稿しないといけないモチベーション
報酬:お金やポイントが欲しいと言うモチベーション

そしてこの4つの分類に沿って、先ほどのケース(1)と(2)を分類してみると、ケース(1)で取り上げたサービスは「記録と承認」、ケース(2)で取り上げたサービスは「制約と報酬」を投稿モチベーションにしたサービスであり、投稿導線の設計になっていることがわかるかと思います。

また、国内の主なCGM(クチコミサービス)を4つの分類に沿って整理してみると以下の表のようになります。(ここで取り上げきれてないCGMももちろん存在します。)

このように4つのパターンに沿って改めて分類してみると、4つの投稿モチベーションのいずれか、もしくは組み合わせによって割と綺麗に分類することが出来ます。

また、組み合わせの場合「記録×承認」の組み合わせは多い一方で、「記録×制約」や「承認×制約」「記録×報酬」「承認×報酬」の組み合わせはあまり多くないように思います。(ここで取り上げてないだけで「承認×報酬」の組み合わせも存在するとは思います)

このように投稿のモチベーションをどのように設計するかによって「投稿導線をどのように設置すべきか」という問いへの答えは変わってくると思います。つまり、投稿モチベーションを考慮せず「CGMだから投稿導線を目立たせればいい」という発想だけでは期待するようなユーザーからの投稿を引き出すことはできないのではないでしょうか。

4. まとめと+α

改めてCGMにおける投稿モチベーションの4分類を以下にまとめておきます。この分類に沿ってCGM(クチコミサービス)を見てみて新しい発見があれば幸いです。

記録:自分のためのログとして投稿するモチベーション
承認:いいねやコメントが欲しいという自己承認のモチベーション
制約:何かをするために投稿しないといけないモチベーション
報酬:お金やポイントが欲しいと言うモチベーション

また、本文では取り上げなかったサービスとして美容整形カテゴリーのCGMとして「ルクモ」というサービスがあります。(サービスの内容的にスクショをあげるべきではないと判断したのでスクショをあげることは控えています)

このルクモというCGMの投稿モチベーションは「記録×承認×報酬」という3つの組み合わせになってます。美容整形というカテゴリーが故に設計できる組み合わせなのかとも思いますが、3つのモチベーションを組み合わせたCGMサービスはあんまなかったので、興味があれば是非見てみてください。

今回取り上げたCGM(クチコミサービス)とは別軸のCGMとしてライブ配信系のサービスがあります。このカテゴリーのCGMをあえて今回の4分類で分類してみると「承認×報酬」という組み合わせになりそうな一方で、それだけでは足りない要素(例えば「共感」など)もありそうだなと。「共感」もそもそも「承認」に含まれるのでは?とも思いますが、ライブ配信の投稿モチベーションはもっと奥が深そうなので、改めて研究してみようと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございます。
1回目の投稿から随分時間が経ってしまいましたが、引き続きプロダクトやサービスの分析を中心にnoteを書いていければと思います!

前回は、メルカリとラクマのUI分析と比較をしました。
よろしければ合わせて目を通してみてください。

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