ナイトワンダー

高円寺ストリート


「さっき話してた映画私の家にあるんやけど、見にこない?」軟骨にピアスを開けていて 髪色はカッパー色が馴染んでいて毛先は綺麗にワンカールされていて耳の上の髪を後ろにまとめてハーフアップの髪型をした彼女は僕に言う 8月19日 昨日は地元で仲の良い友達の誕生日だった 友達が好きだったユニコーンの『すばらしい日々』のレコードを青山学院大学の前で毎月開かれているrawtokyoと呼ばれるフリマで購入して渡そうと思っていたが友達から「ごめん、やっぱり彼女と会えることになったから今度で!」とLINEの通知がきたので高円寺に向かった



北口のロータリーの前では今日もバンドマンがギターを弾いていて ベンチにはサラリーマンが倒れていて 8月24日に行われる阿波おどりの大きい提灯台の前では女子大生と思われる三人組が写真を撮っている 時計の時刻は8時を指していた 高円寺が大好きだと言う友達が薦めてくれた きど藤と呼ばれる立ち飲み居酒屋に寄っていった 人気店と言うこともあり店内は満席だが相席なら入れるということで入った その席の向かい側にいたのが彼女だった ぎこちない雰囲気のなか竜田揚を食べる僕に酔いが回っている顔をしていた彼女から声をかけられたことが僕達の関係の始まりだった



兵庫の西宮市から上京してきた彼女の関西弁に魅力を感じていた 歳上かどうかもわからない彼女が支払ってくれるタクシーに乗って家へ向かった カーテンはなくシングルベットと痩せた女の裸体の描いたリトグラフが壁にかけてあり玄関には薔薇が置いてあった 元彼のTシャツを着せられ彼女の匂いを求めるように僕は彼女を求めた 朝方に彼女から『私たちまた会えるよね』なんて話しながら名前の知らない彼女と別れた。




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