見出し画像

「共有地の悲劇」〜集団の中での自制心を考える〜

 おはようございます。
『共有地の悲劇』(コモンズの悲劇)という集団心理学・社会心理学の考え。道徳の授業になり得る例を紹介します。

1.「共有地の悲劇」とは

 広い共有の牧草地に、トムは自分の牛を放牧しました。ただで自分の飼う牛に餌を与えられたトム。すごく得をしました。
 それを見ていたジム、フレッド、ケン。黙っていられません。

「俺も!」
「僕もだ!」

 皆得を求めて、自身の牛を放しました。さて、どうなったでしょう。
 そうです。全員が損をして終わりました。牛が全部の牧草を食べ尽くしてしまったのです。自身の所有地であれば、牛が全ての牧草を食べ尽くしては困るので、放牧する数を調整しますが、共有地だと自身が牛を増やさないと他の農民が牛を増やして得をし、自分の取り分が減ってしまうと考えるので、牛の数を野放図に増やし続ける。その結果自身どころか全員が損をする結果になるのです。

 ひとりが徳をしようと抜け駆けした結果、みんなも結局それに追随して全員が損をする。これを、『共有地の悲劇』といいます。

2.道徳への実践案(他の例に広げてみる)

ここから先は

1,778字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?