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資本論の入門書を読んだ感想と考え

自分の解釈(※歴史とか社会を全く勉強してこなかった理系なので、間違えだらけだと思います)。

資本主義とは、市場を介してモノ・サービスが貨幣を通じて手に入れられ、尚且つその市場経済を限りなく拡大させようとするシステム(=系)である。これを実現することによって、需要と供給が「神の見えざる手」によって、適切に分配され、みんなが幸せになると思い、第一次産業革命のときからアメリカ・イギリスを中心として広がってきた。日本には、明治時代に推し進められてきた。

資本主義では、あらゆるものが商品となり、値段が付けられ、市場で売買される。それは人間の労働力も例外ではなく、人々は商品化された「労働力」を資本家に売り、資本家はその労働力を買って、新たな価値を作り、その価値を自分の懐に入れる。もちろん、労働者は対価として、賃金を貰えるが、資本家と労働者が行なっている取引というのは、時間あたりの労働力であり、労働者が頑張ったところで貰えるインセンティブは少ない。

なぜ、人々は労働力を売らないといけないのか。これは、資本主義において、本来我々が共有していた「富」(金、建物だけではなく、森、水、などの自然・地球、commonとされていたもの)というものが、すべて商品となり、畑や機械設備を保有する者(資本家)とそうで無い者(労働者)に分断させるを得なかったからである。そして、資本主義成立以前までは、たとえば、コミュニティ内で畑を耕す者と、狩猟をする者同士で、物々交換をすることによって、生活することができたが、それが不可能になってしまった。労働者は、資本家に労働力を売る(資本家に労働力を買ってもらう)以外の方法で、生活する術を奪われてしまったのである。

「限りない成長」を目指す資本主義のもとでは、それぞれが富を拡大しようと競争が激化する。例えば、価格競争をして低価格でモノ・サービスを提供し、多くの人が手に届くようにする。資本家にとっては、1つのモノ・サービスを提供するごとに「剰余価値」を手にすることができるので、大量にモノ・サービスを販売することによって、線形的に富を拡大することができる。さらに得た富を再投資することで指数的にも富を拡大することだできる。一方で、この生産販売行動は、価値が低く、本来求められていないモノ・サービスを大量に生産しているため、不必要に自然・環境を破壊し、労働者を酷使することになる。

また、労働者は労働力を提供すること、そして自らが財を消費し、贅沢したいがためにより一層、労働力を提供することに忙しくなる。そして、家事代行サービス、託児所などにお金を払うことになる。これらは、資本主義成立以前は存在しなかった仕事だったにも関わらず、資本主義が消費主義的な価値観のもとに成り立っているがために、生まれた職業とも言える。

このような資本主義のもとでは、労働者は人生の多くの時間を仕事に取られ、家族や地域のコミュニティとの関係性が希薄なっていく。これにより、資本主義成立以前まで人々が感じていた「人のつながり」であったり、「人としての幸せ」がなくなりつつある。これはマルクスが資本論で言及した「資本主義の課題」である(もちろん、他にも「無限に終われない価値増殖運動」による環境破壊、貧富の差や格差などもある)。

そこで特に日本における資本主義の課題(ここでは、幸福度が下がること、貧困に注目する)を解決するための策について考える。自分の考えとしては、資本主義の課題を解決する現実的な方法は2種類あると思う。

1つ目は、自らが資本家になること。資本主義の主なプレイヤーというのは、資本家と労働者である。そうであるならば、有利な方、すなわち自らが資本家になれば、労働者として搾取されることなく、富を拡大することができると思う。もちろん、資本家が労働者と比べて、忙しくないか(プライベートの時間を取れるか)と言われれば、そうでも無いと思うが、「搾取されてる感」もなく、「高い階級(日本に階級はないが)にいる感」が、相対的に幸福度を上げてくれるだろうし、貧困に苦しむこともないだろう。一方で、全員が資本家になれる訳ではないので、根本的な課題解決とは言えない。

2つ目は、福祉国家の成立。資本主義の反対にある社会主義・共産主義も考えられるが、これはソ連や中国を見ている限り、不可能であろう。これらの考え方は、富を私有にするのではなく、共有しようという考えにあるのだが、実際にはそれを保有しているのが、国にあたる。すなわち、国の官僚が実質的に富を支配し、富を支配するものが政治も支配し、民主主義も崩壊する。また、中国を見れば分かる通り、社会主義を掲げているようで、世界的に見れば、労働者を搾取し、富を拡大している立派な資本主義国家である。そんなわけで、社会主義も共産主義も根本的な解決にならない。

また、日本の現状として、急速な少子化があり、これでは経済的な成長も見込めない。さらに生涯未婚率が上がっており、これも人々の幸福度を下げる要因だと考えられる。このようになってしまった背景としては、賃金が少ないこと、そしてプライベート家族と過ごすなど)の時間が短いことが挙げられる。マルクスは、資本主義の課題を解決するために、「賃金を上げること」よりも「労働時間の短縮」を挙げていたが、日本においては、どちらも必要な気がする。日本人は働きすぎだし、その対価としての賃金も少ない。そして将来の不安ばかり募る若者は子を産む選択を取らない。この悪循環が日本を弱くしていると感じる。

それを解決するのが福祉国家だと思う。正直あまり福祉国家について詳しい訳でもないが、有用な案ではあると思う。そもそも、強い国・経済が成長している国というのは、「優秀な若者の多さ」、「資源の豊富さ」が重要になってくると思っている。日本には、期待できる資源はなく、仮にあっても持続可能な成長は見込めないので、選択すべきは「優秀な若者」を増やすことである。優秀な若者を増やすための一般的な方法というのは、高等教育を受けさせることであり、このハードルが低く設定されている社会が必要だと思う。具体的には、大学院までの授業料・進学費用、さらにその学業に関わる生活費(寮での生活、医療費など)の無償化である。もちろんこれには、財源が必要であり、それなりの税金によって賄われる。実際に福祉国家の体制を取っている北欧諸国の一般消費税が25%であったりと、税金は高いが、不可能ではないと思う。それよりも日本が使っている不必要な国の支出を高等教育に回すべきと考える(色々事情があるとは承知しているが)。

いずれにせよ、今の日本の体制では、優秀な若者は、高い報酬を求めて国外へ行き、残るのは「愛国心の強い優秀な人」と「行動しない凡人」だけになってしまう。そして、そのシステムが続けば続くほど、変革は起こらず、資本主義の悪い部分だけが残った日本になってしまう。そんな結末は自分としては納得できないので、まずは自分が政治に関心を持ち、優秀な若者を増やそうと考えている政党を支持したいと思う。

一方で、優秀な若者が増えれば、今までの通りの「限りない成長を求める資本主義」に拍車がかかるかもしれないが、日本自体が経済的に豊かな国になれば、ある程度の貧困は解決され、生き生き働ける社会がくると思っている。

最後に。これは殴り書きでまとめたので、あまり整理されていないが、本を読んで政治に関心を持つようになったので、これを機に政治についても勉強したくなった。

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