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きっちゃんのつぶやき「子どもをみんなではぐくむ”地域とともにある学校”」

 教育長時代、「地域とともにある学校づくり」をめざし、積極的な取組を推進してきました。具体的には、学校と地域住民等が力を合わせて学校の運営に取り組むコミュニティ・スクールの推進です。

大阪大学の志水宏吉教授は、確かな学力をはぐくむのは、子どもたちの学習習慣や学習意欲を引き出す豊かな社会環境だと言っています。つまり、周囲の人たちとの良好な人間関係こそが、子どもたちの学力を確かなものにする鍵だということです。

古い言葉に「啐琢(そったく)同期」(または啐琢同機)という四字熟語があります。これは、鶏の雛が卵から産まれ出ようとするとき、殻の中から卵の殻をつついて音をたてます。これを「啐」と言います。そのとき、すかさず親鳥が外から殻をついばんで破る、これを「啄」と言います。そしてこの「啐」と「啄」の動きがうまくかみ合った時、殻が破れて雛が産まれるわけです。皆さんも心当たりがあると思います。小さい時、父親に自転車をそっと押してもらうことによって補助輪なしの自転車に乗れるようになったり、先生にそっとお尻を支えてもらうことで逆上がりのコツが分かったりしたことがあると思います。身近な他者の的確なサポート・援助こそが、学習の成功の鍵になります。

子どもたちは、多様な他者と触れ合うことを通じて、安心して生活することができ、ほめられたり評価されたりする中で、自分の「よいところ」に気づいていきます。教師だけでなく、地域の人とかかわりがあり、祖父母や家族との触れ合いがある地域性が、子どもたちの「力」につながっていると考えます。

またその一方で、子どもたちは、地域から恩恵を受けるだけの存在なのではなく、地域のつながりを新たに作り出すきっかけとなる存在であると再認識することも必要ではないでしょうか。子ども「と」つながることを通じて、子ども「で」つながることができたり、さらには子ども「が」つなげたりするといったことも十分にあると思います。

これからも、学校・家庭・地域がそれぞれに手をつなぎ、次世代を育てることを通じて、一人ひとりが地域とのかかわり方を考えたり、地域とのかかわり方を子どもに考えさせたりしていくことが、足元を見据えた教育だと考えています。


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