見出し画像

ハイパーラプスの撮影

移動しながらインターバル撮影を行い、画面に大きな変化を付ける事ができる手法が、ハイパーラプス撮影です。

カメラをレールの上で移動させながら映画を撮るドリー撮影と言うシーンをTVなどでご覧になった事があるかもしれませんが、このドリー撮影をタイムラプス撮影に応用したデジカメ時代ならではの手法がハイパーラプス撮影とも言えます。

最近のカメラやスマホに、ハイパーラプス撮影モードが付いている機種も有るので撮られた方もいらっしゃるかもしれません。主に3種類の方法があるので順に概要をご説明します。

(1)カメラ搭載機能を利用して撮る

アクションカムと言われるジャンルのビデオカメラに搭載されている事が多い機能です。もともとアクションカムは強力な手ぶれ補正機能が備えられているので、この機能を活用し移動中のタイムラプス撮影時に手振れを補正する事で実現しています。

基準点や消失点を意識せずに移動しても連続性が破綻する事もなく、自由な移動ルートで撮影できるのが特長です。

(2)ジンバル防振を使い動画で撮る

ミラーレスカメラや一眼カメラを電動ジンバルと言う防振機構に乗せて移動しながら撮影する手法です。原理は(1)と同様ですが、一眼ミラーレスカメラや交換レンズが選べるので、高画質で作品に適した画角設定ができるのが特長です。

ただし、ジンバルとカメラとレンズ全部合わせると少なくとも3kgかそれ以上の重さの大掛かりなシステムで、資金も体力も要求されます。スマホを電動ジンバルに乗せるのが最も軽く安くできそうですがレンズ選びなど特長を活かしきれないのが残念です。

(3)静止画をインターバル撮影する

最も手間の掛かる方式ですが、上手く仕上げれば高画質で作画の自由度の高い作品が作れます。撮影機材の制限も少なく初期投資が少なく始められますが、編集用のソフトは高機能なものが必要で、完成までとても手間の掛かる面倒臭いワークフローです。以下が撮影と編集作業の概要です。

【撮影】

主役の被写体を決めその中に基準点を定めます。その基準点が常に画面の同じ位置に来るようにフレーミングを調整します。構図を選ぶ時には基準点が常に画面内に入っているか隠れていないかをチェックしながら、撮影開始地点と終了地点を歩いて探します。

遠景に在る被写体が多いのでピントは手動調整で無限遠などに固定しておきます。基準点をファインダーのメッシュ表示の交点やフォーカス枠の角に合わせ、水準器表示があれば水平を確認します。確認できたらシャッターを押します。次に横か前後など終了地点を目指して一歩移動します。可能であれば完成動画の再生時間から逆算して歩幅を決めると良いでしょう。この作業を一定時間で行い、必要な枚数を撮影します。

基準点合わせとは、例えば教会を撮影する場合、屋根の上の十字架を基準点とするとファインダー内の12分割ガイドラインの上段真中の交点に毎回十字架を合わせると言う調整になります。

【編集】

撮影時に精度良く基準点合わせができていれば、動画編集ソフトのスタビライザー機能で防振処理を実行すれば滑らかな動きの動画が完成します。しかし精度良く合わせられていない静止画の場合には、ズレの程度に応じた処理が必要になります。

◼️基準点トラッキング

基準点をトラッキング機能を用いて全フレームで画素単位の精度で合わせ込みます。先にこの精度で合わせておくと仕上げが上手く行く事が多いです。

◼️水平補正(角度補正)

撮影時の水平が取れていない場合に基準点トラッキングの他にもう一点指定して、この2点が常に同じ角度に揃うように、回転補正もかけます。

◼️画像補正

位置と角度の補正を行っても滑らかにならない場合は、レンズの周辺歪などで非線形にズレている可能性が高いので、後処理として画像処理で補正します。有名なものはAdobe社のAfterEffectsのワープスタビライザーなどで補正をかけますが、最近ではBMD社のDavinci_resolve17でも同様の処理ができます。このソフトはかなりのズレを補正してくれるので前処理不要のケースも多いかもしれません。

以上がハイパーラプスの製作手順の概要のご紹介となります。

★作例★

数年前に静止画インターバル撮影手法で制作したもので、イントロが終わった約45秒以降は、移動撮影した映像が中心になります。宜しかったらご覧ください。

https://youtu.be/8ti-ze1gy6U


この記事が参加している募集

カメラのたのしみ方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?