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○山口代表 定例記者会見 2024年3月19日(火)11時 @衆院第7控室

【冒頭発言】
≪女性の活躍≫
 去る3月8日は「国際女性デー」だった。3月は、これを機に、いろいろな部門で女性の取り組みを促すイベントが多数、開催されている。女性の活躍を促し、下支えする取り組みについて、二つの例を紹介したい。
まず一つは、男女の賃金格差の開示を首相に訴えて、現在、301名以上の企業において公表が義務化されている。先般の春闘において、満額回答や要求を超える回答の会社も出るなど、賃上げが流れになりつつあるが、一方で、日本の男女の賃金格差はG7の中で断トツの最下位だ。各企業には、こうした課題にもぜひ取り組んでもらい、党としても、300人以下の企業においても男女の賃金格差の公表を求めるなど、今後、検討していきたい。今国会で、共同親権に関する民法の改正案が審議されているけれども、共同親権と単独親権を子どもの成長、子どもの保護の観点で、うまく機能させるためには、こうした男女の賃金格差の解消・是正というバックグラウンドを整備していく必要もあると強く思う。
もう一つの例は、今年4月から、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が施行さる。困難な問題を抱える女性に対する支援は、長年、売春防止法を法的根拠として行われてきた。支援を必要とする女性に支援を届けられない、届けられていないといった声が現場の支援者から寄せられていた。さらに、コロナ禍において、女性の自殺や性暴力被害などが増えて、女性の抱える問題が複合化、複雑化している実態が浮き彫りになった。これらに対して、今回の法律では、女性相談支援員の配置を都道府県は義務化、市町村は努力義務化した。また、市町村の民間団体に対する補助制度も創設されている。多様化する困難を抱える女性のニーズに、きめ細かく対応していくことを期待したい。
この二つの例は、いずれも公明党の女性の国会議員が推進をして、制度化されたものだ。公明党は女性の議員が3割を超えているので、多様な声を受け止めながら、女性が輝く社会の実現に向けて、今後も先頭を走ってまいりたい。女性議員の比率が高く、人数も多い公明党のネットワークは、女性の声を受け止めやすい機能を持っているし、そうした声が党内で議論されることによって、男性議員も関心を高めることにもつながっている。女性の働き方を変えていくことも含めて、今後、女性の活躍を促し、下支えする取り組みを一層、発展させていきたい。

【質疑応答】
≪日銀のマイナス金利政策解除≫
Q、日銀は本日、マイナス金利政策の解除を決める見通しだ。2013年から続いてきた大規模緩和をやめる日銀の判断を、どう評価するか。
山口)きょう日銀の政策決定会合で、これまで取ってきた政策がどうなるか注目されている。背景には、賃金の上昇、特に春闘の出足のいいスタートが経済の基盤にどう影響するかなどを見極めながら、決定がなされるのではないかという観測だ。ここは日銀で決めることであるので、政治の側から具体的な言及をすることは、これ以上、控えたいと思うけれども、政府・与党で進めてきたデフレ完全脱却への道が一歩一歩、前進していると、われわれは思っている。また一層、完全脱却を成し遂げるべく、これから中小企業・小規模企業、あるいは非正規で働く方々への賃金の上昇の広がりを進めていく。併せて、定額減税なども重ねていくことによって可処分所得を増やしていく。これらを確実に実行して効果を表していくことが重要だと思っている。

≪自民党派閥の政治資金問題≫
Q、立憲民主党の安住国対委員長は、衆院政倫審に出席した安倍派幹部らの証人喚問を要求したいと述べている。公明党として証人喚問の開催について、どう考えるか。また、今後の政倫審の開催についての考えは。
山口)政倫審で、これまで説明責任を果たす機会をつくってきた。最も今回の問題に関わりの深いと思われる議員に、そういう機会をつくったわけであるが、一通りの説明と質疑が終わったところであるので、これをどう受け止めるかということになってくると思う。しかし、焦点となった人を同じテーマで二度、三度、呼ぶことはかなわないので、今後どうするか。証人喚問という意見も出ているけれども、これは非常にハードルが高いようにも思う。国会で聞く前の段階で、検察特捜部の捜査、つまり強制力を持った強い権限の下に捜査が行われ、立件されなかった経緯もある。それらを含めて、今後も説明責任を果たす努力は必要だと思うが、国会の取り組みを注視していきたい。

Q、「証人喚問は非常にハードルが高い」と発言した趣旨は。証人喚問の必要がないという受け止めか、または与野党一致の議決が必要だという意味でハードルが高いのか。
山口)あえて申し上げれば、証人喚問はこれまでもいろいろな場面で提案されたこともあるが、国会のルールとして全会一致でなされてきた。それは、偽証が罪に問われるという重い制裁がある中での取り組みになるからである。従って、そこで多数を持つ自民党が政倫審の取り組み以上に証人喚問に応じるとは、にわかに考えにくいところがある。その点で、ハードルが高いと申し上げた。そういう客観的な認識である。

Q、自民党大会で岸田首相は、関係議員の処分について結論を得るよう茂木幹事長に指示したと明らかにし、厳しく対応する考えも示した。政倫審でも実態がなかなか明らかになってないとの指摘もある中で、今後の処分をどのようにすべきか。時期についての考えは。
山口)本来、説明責任を果たす機会を政倫審で設けて、それが信頼回復につながることを期待していたはずであるが、国民の納得感は得られていないし、ますます不信を強めるような結果にもなっている状況である。説明責任を求める努力は、これからも重要であるし、当事者は進んで説明してもらいたいと思うけれども、むしろ国民の関心は、自民党が党大会で、政治資金の収支報告に関わる責任ある立場の人を処分する方針を示したので、法的責任はともかく、政治的責任に基づいて処分する方針を示し、それを幹事長に具体的な処分の検討を指示したということだから、そこに関心がいっていると思う。
公明党として、私も自民党の大会で強く申し上げたが、自民党の中で対応することを見守りたい。しかし、国会として取り組むべきことは、再発防止のための政治資金規正法の改正を成し遂げることである。自民党も党大会で、その方向性も重要な一つとして掲げているわけであるので、自民党に早く具体的な改正案を提示していただくように求めた。公明党も具体案を提示するよう既に着手しているし、野党にも、そういう機運が出てきているので、今国会中、できるだけ早期に、政治資金規正法の改正を成し遂げる。自民党の党内の処分と、法改正によって、信頼を回復していく可能性があることを意識しながら、積極的に取り組んでいきたいと思っている。

Q、テレビ朝日の世論調査では、「自公政権の継続を期待する」は38%、「政権交代を期待する」は46%になった。政権への支持率が低下している現状については。
山口)自民党の不祥事がいろいろ重なって内閣支持率、また自民党の支持率が下がっているということを率直に見なければならない。連立のパートナーであるので、公明党にも少なからず影響があると思っている。政権の形として、御社の調査の結果は、それはそれで尊重しながら、謙虚に受け止めていく必要があると思う。
しかし、現実に政権を運営し、安定的に進める、その経験知からして、私は自公以上にそうした安定度の高い実行力のある政権の枠組みは今のところ存在しないと認識している。国民の厳しい批判は謙虚に受け止め、真摯な政権運営に努める。これが連立政権の政権合意のいわば「一丁目一番地」である。その原点に戻ることを、自民党の党大会でも呼び掛けた。自民党内のことは、きちんと党で対応していただき、政権として、再発防止策を確立することだ。また今、国民が望む、日本社会の直面する課題、優先度の高い課題をしっかり、前進させていく。それが重要だと思う。政権の安定こそが改革の力になることも、党大会で話した通りであるから、過去の政権交代による失敗例を謙虚に振り返ってみなければならないと思う。

Q、公明党が他党に先駆けて政治改革ビジョンを打ち出して2カ月が経過するが、何も進んでいない。山口代表から自民党に突き付けることはあり得ないのか。
山口)いち早く公明党として、政治改革ビジョンを打ち出した。しかし、国会が始まって予算委員会を軸に議論が進む中で、自民党の関わった人々の説明責任が強く求められて、政倫審の開催までこぎ着けた。参院の議論も含めて、いわば焦点になっていた人の説明責任を果たす機会が一巡した格好だ。説明責任を果たさせる機会をどうつくるかということに、与野党の政治的エネルギーが集中していた。ようやく再発防止の制度に注目が集まる時を迎えつつある。
その間、自民党は政治資金規正法の改正に触れなかったわけではなくて、むしろ公明党の提案が「参考になる」という首相自身の予算委員会の発言も出ている。その後のさまざまな発言も、かなり公明党の提案を意識した発言が相次いでいる。公明党は、具体的な法案の作成に今、着手したところである。自民党にも、そういう具体案の作成を促すことも今やっているので、説明責任の問題は依然として残るが、自民党がこの問題で党内の処分をどうけじめを付けるか。その上で、国会の課題として法改正にどう進むか。これからも積極的に促していきたいと思う。自民党が衆院で過半数を持つ国会の構成であるから、自民党が自ら国民の疑惑に応え、信頼を回復する姿勢を見せることが重要だと思うので、それを引き続き強く促していきたいと思う。

Q、自民党内の処分について、先ほど代表は「自民党が、どうけじめを付けるかだ」と話したが、どういう考え方に基づいて処分を行えば、国民の理解を得られるか。
山口)それは自民党として処分のルールを具体的に形成しながら、結果を出していくのだろうと思うから、今から、ああだ、こうだと言うのは控えるべきだと思っている。
いずれにしても、法的責任が検察の捜査では問われなかった。それに関わる説明責任を政倫審の場で求めながら質疑も行われたけれども、望むような説明が得られていないという国民の納得感のない評価につながっている現状である。国民の信頼を取り戻すために党の処分がどうあるべきかについては、自民党自身がよく考えて、法的責任ではなく政治責任はあるという認識の下で処分をするわけであるから、それが国民の納得感が得られるように臨んでいただきたいと思っている。

Q,自民党は「政治刷新車座対話」を始めるとしている。地方に党幹部が出向いて地方の声を聞くという取り組みだ。野党時代にも自民党がしていたが、その姿勢について。
山口)これも自民党の取り組みであるから、それを評価するのは控えたいと思う。
野に下った時、2009年以降、谷垣総裁の時代があった。谷垣総裁は、そうした地方の方々、一般の党員の方々と対話する機会をつくり、いわば足元から出直すべきだという強い責任感を当時、示していらっしゃった。そうした活動が、どう実ったのか、影響を与えたのかは、自民党自身が認識していると思うので、自民党として納得のいくような取り組みを、ぜひ頑張っていただきたいと思う。

Q,いわゆる「国会議員関係政治団体」から「その他の政治団体」に対する寄付について、やはり不透明だと思う。公明党の「政治改革ビジョン」には入っていないが、ブラッシュアップして、しっかり見える形にしなくてはいけないのでは。
山口)政治団体にも、政治資金の使途の公表の度合いが違う、いくつかのジャンルがあるので、これについても石井幹事長を中心とする政治改革本部で課題として議論しようと先日、決めて、スタートしたところだ。どうあるべきかについても結論を示して、合意形成に努力すべきであると思っている。

≪防衛装備移転≫
Q、先週、国際共同開発した防衛装備品の第三国輸出を巡り、自公で次期戦闘機に限って容認することで一致した。今回、自民党側は輸出の大幅な緩和を求める立場であった一方で、公明党は「歯止め」をかけるなど慎重な立場で臨んだと思うが、政策的な違いがある中で一致点を見いだしたことへの評価は。また、自民党の一部から、連立を解消すべきだといった厳しい意見も出たが。
山口)先週末で大筋合意ということにはなったけれども、自公でそれぞれ党内手続きがまだ完了していない。きょうも公明党では拡大外交安全保障調査会が開かれる。
今回の場合は、この共同開発のスタートの時点で、第三国輸出の仕組みを取り入れることによって、要求性能を確保する交渉で対等な関係を保つということで、これまでの政策を変更する判断を政府・与党ですることになった。こうした経緯を、よく振り返る必要がある。つまり反省する必要があると思っている。
本来であれば、一昨年に共同開発を決めた。その時は、完成品の第三国輸出はしないという判断で政府・与党は出発した。しかしその後、英国やイタリアと交渉している過程で、そうした輸出の仕組みがないと交渉上、不利になり、日本が本来、求める次期戦闘機の性能が確保できない。そうした危惧が芽生えて、政策を変更する必要に迫られたというのが政府の説明だ。その時点で、そのことを正直に、(与党実務者の)ワーキングチーム、あるいは両党の政策部門にきちんと諮る機会を設け、そのプロセスが国民の皆さんにも伝わるようにして、今回の結論のような運びをすべきだったと思う。
政府が政策を変更したいと思った時点で、大方のどの世論調査でも「反対」「慎重」を合わせて過半数以上と、国民の意識との大きなギャップがあった。それをきちんと捉えて、国民の理解を求める努力が必要だったと思う。これまで日米安保の下で、日本と米国の共同開発という実例はあった。その場合には完成品の第三国輸出は、現実の課題にはならなかった。むしろ米国側から、そういうものを日本にはさせないという判断も働いた時期もあった。だから、安全保障に明るい議員のワーキングチームで議論して、合意をつくって、その結論を政府が引き取るという時代が続いてきたわけであるが、今回は、非同盟国との共同開発ということで、完成品の第三国輸出の仕組みが、要求性能の確保のためにも必要であるという認識が初めて現れた。だから今後、ワーキングチームだけで、国民に情報が伝わらないまま、政府側だけで結論を出すやり方はやめて、今回、閣議決定を個別の案件ごとに行い、その過程で与党の議論の機会を確保すると決められたわけだ。与党の議論は、ワーキングチームのこれまでのやり方だけではなく、専門家のワーキングチームの議論はあってもいいと思うけれども、もっと与党の広い議論の機会をつくることによって、国民にも情報提供し、問題の所在を認識していただきながら、合意形成を進めていく取り組みが確保されたわけなので、今回のことを省みて、政府・与党の議論のあり方を変えていくべきだと思う。
また、実際に完成品の開発がうまくいって、それを輸出する時に、どう判断するかというところは、まだ議論が十分ではない。しかし、これについても与党の議論を確保して、閣議決定をする。個別の輸出案件ごとに、そうした取り組みをすることが明確になったので、やはり、そこでも、いろいろな考え方、意見があり得るわけだから、慎重な議論をしながら、国民の理解を得て進めていくことが重要だと思う。

Q、今回の合意に至るまでの自公連立政権としての成果についての評価は。
山口)連立政権として、国民の理解を深められるように進めていく議論の仕組みを確保したということだ。内容についても、一般的な限定を付けた。「3つの限定」を付けた。今回の輸出については、次期戦闘機の開発に限る。もう一つは、輸出する相手については、国連憲章のルールを順守する相手方で、目的外使用をしないとか、相手国が第三国輸出をする場合には事前の同意が必要とか、そうした約束、協定を結んでいる国に限る。現在15カ国との協定ができている。三つ目は、現に戦闘が行われている国には輸出をしないということだ。
それと今、申し上げたように、共同開発する当初において、輸出の仕組みを取ることについての閣議決定と与党の議論。さらに、開発が成功した場合、実際の輸出の時の与党の議論と閣議決定という「二重の閣議決定」。個別案件ごとに、しっかりチェックしていくということができあがった。もし、昨年のワーキングチームで、あたかも合意ができたかのように強引に持っていったやり方で、政府内で結論が出ていたら、こうしたことにはならなかったと思う。いずれにしても、問題を提起して、国会で議論の機会を持ち、しかも首相自身が説明することによって、いくつかの世論調査にも国民の意識の変化が表れているように思う。しかしまた、なお国民は非常に慎重な意識を持っていること、自民党支持層の中でも非常に慎重な声は根強くあることを肝に銘じて、これからもしっかり議論していく必要があると思っている。

≪憲法改正≫
Q、17日の自民党大会で採択された運動方針の中で、「本年中に国民投票を通じて国民の判断を仰ぐことをめざす」と明記された。連立を組む公明党としての憲法改正の考えは。
山口)自民党として、これからの方向性を示されたということであるが、それについて、わが党からとやかく申し上げることはない。公明党としては、各種アンケート調査など国民の関心度合いをよく見ながら、また、議論の広がりや深まりなどをよく見ながら、落ち着いて対応すべきだと考えている。これからも、しっかりと議論を深めて、国民の理解が伴って、そうした改正の機運や理解が成熟していくことが前提として重要だと思っている。

≪4月の衆院補選≫
Q、島根で共産党が候補者の擁立を見送ると発表した。事実上、野党は、立憲民主党の元職に候補を一本化する形になる。次期衆院選に向けても野党の候補一本化が進むと、自公としても難しい局面が出てくると思うが。
山口)4月に補欠選挙が三つ予定されているが、自民党が公認候補を立てようとしているのは島根1区のみだ。島根1区も情勢は決して予断を許さない厳しい状況だと伝えられている。また、今の政治資金を巡る問題や、その他の問題で内閣支持率、自民党の支持率そのものも低迷している現状であるから、極めて厳しい状況だということで臨む必要があると思っている。選挙で勝つためには、国民の信頼を取り戻していく真摯な努力と、具体策を講じた上で、国民の評価が伴ってくる必要がある。自民党自身に、まず対応していただくとともに、連立政権としても、そうした方向を共に歩めるように努力したい。

Q、島根1区の他の公認候補を見送る話が、自民党からあったのか。
山口)今、実際に公認候補を立てているのは島根1区であるという趣旨で申し上げた。他のところは、現に公認候補が立っていない。前にも申し上げたけれども、元々、自民党の持っていた議席であるから、わが党として候補を立てる予定はない。自民党が最終的にどうされるかを見極め、相談があれば、真摯に応じていきたいと思っている。

以上

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