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おばさんといういきもの

なにも思いつかないことのほうが多い。
当たり前だ。私は普通のおばさんだ。
絵描きさんや彫刻家さん、歌手のかたとか芸人さんとか
きっととんでもない時間をかけてなにかを作り出している。
私のようなおばさんが、ほいほいなにかを思いつくわけがない。
でもおかしなことに思考はしている。
概ね無駄なことばかりを考えている。
なのでnoteとかにそれを書いてしまう。
恥ずかしい生き物。
それがおばさんといういきもの。

そう考えてみると、私はもう何年も、たぶんおばさんをやってる。
どんな時も少しずつおばさんだった。
10代の時も20代の時も、どこかが少しずつおばさんだったのではないか。
30歳でおばさんになるわけじゃない。
40歳になって初めておばさんになるわけでもない。
急におばさんにはならないし、なれない。
初めてやるおばさんがこんなにしっくりくるわけがない。
私はちゃんと未来を見据えていた。
おばさんになるために。いやそんな訳ないか。
おまえはなにをいってるんだ。

見た目は確かに変わってきたと思う。
髪の質感も変わってきたし
若い時のお化粧が似合わなくなるし
なんか高い化粧水のほうが効いてる気がするし
今までなかったしわがなんとなくある。
でも眉間のしわはなくなった。
顔の真ん中に居座っていた眉間のしわがなくなった。
年齢を重ねるって、不思議だと思う。
なにかがなくなっていく。なにかが。

知らないことは増えた。
知らなくていいことも増えたと思う。
捨てるべき時に捨てそびれたものとか
もういまさら捨ててもしょうがないものとか
かと言って、墓場まで持って行かなきゃいけないようなことは
ひとつもない生き方しかしてないけど。
こんなにいろんなものが増えても増えても
なにかがなくなっていく。年を取るたびに。

なにをなくしたのかよくわからないけど
なければないで、なんとかなるかなと思うのも
またおばさんといういきものなんだと思う。
おばさんは居心地がいい。
努力してもしなくてもおばさんになるから。

女子とか女の子みたいに頑張らなくてもいい。
かといって女じゃないわけじゃない。
女のなんか余計なものがなくなったもの
それがおばさんといういきもの。
居心地が悪いわけがない。
女は面倒くさい。楽しいから。時々とても面倒くさい。

おばさんになってよかったとは思わないけど
歩いているうちに気が付いたら面白そうな所に着いていたみたいな
おばさんはそれをなんとなく楽しめるいきもの。

おばさんもおばさんで、おじさん並みに嫌われがちだけど
なんかそういう種類みたいなことでそっとしておいてもらえたら嬉しい。
男 女 おばさん みたいな感じがいいかもしれない。
おばさんはいきものなので、女科おばさん目、みたいなこともあるかもしれない。
しらんけど。

そんなわけで、おばさんはなにも考えていないいきもの。
なんとなく染みついたなにかで、なにかをぼんやり見ているいきもの。
おばさんはそういういきもの。
おばさんはいいぞ。


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