見出し画像

続・レコードに手を出してしまった話

【これまでのあらすじ】
やっすいレコードプレーヤーと中古レコードを買ってきたものの、何もかも初めてだらけで右往左往するばかり。沼にハマったというより、広大な沼の入り口で迷子になってる感じでこれからどうなっちゃうの?(詳しい経緯はこちら

あれから何度かブックオフのカラヤンを聴いて気付いたのですが、レコードって同じ曲でも聞くたびに状態が違うんですね…。毎回溝を針でなぞってんだから全く同じにならないのは当たり前なんですが、さっきはここでノイズが入ったけど今回はなかったな…とか今回ちょっとざらついてる?とか、盤面の状態でかなり音が変わるので、一度たりとも同じではないのが面白いです。楽器(完全アナログ)とCD(完全デジタル信号)の中間みたいなかんじだ。カセットテープも聴き続けたやつなんかは伸びてゆわんゆわんしますが、レコードはカセット以上に繊細でいつでもそうなる不安定さみたいなものがありますね。気分屋なんだな。

でもちょっと待って、この「毎回同じ状態の曲が聴けない」ってそもそも合ってる?いや合ってるんだろうけど「同じ状態」の程度が…レコードって毎度毎度こんな不安な気持ちで聴くもんなの??今までデジタルで「正しい」とされる曲を何度も聴いていたせいか、ちょっとでも音程が怪しいと気になって仕方がない。そう、「音質」だけではなく「音程」が怪しいんですこのカラヤン。レコードってさ…いくらアナログの温かみと言えど「ここの音いつも音痴だよな……あっ今回はそんなでもなかった…」とか「アーやっぱり歪んだ〜気持ち悪〜」みたいな、そんな…そんなフィギュアスケートの大会のジャンプを見守るような気持ちで聴くもんじゃないのでは…流石に音程の狂いは温かみで片付けたら怒られるやつなのでは……ていうかやっぱりこのカラヤン盤面が歪んでるんじゃね?
レコードの回転を横から見てるとどうも水平に回ってない気がするけど、それがレコード盤の不良なのか、レコードプレーヤーの不具合なのか、はたまた仕様なのかが分かりません。ブックオフの中古レコードは状態がピンキリだと教えてもらったしな…しかし水平に回らないってことはプレーヤーの方に問題がある可能性も?どっちが悪いのかわからん。じゃあ買いに行くか。状態の良い新品のレコードを。

という訳で渋谷のタワレコに行ってきました。かつては暇さえあれば通っていたタワレコもサブスクを利用するようになってから殆ど行く機会が減ってしまった。10年前の私に「タワレコのポイント失効してるしTSUTAYAの会員は数年更新してないよ」と言ったら社畜生活で身も心もだめになったんだと怯えて泣き出しそう。そういうんじゃなくてサブスクリプションっていう月額払えば聴き放題!っていうサービスがだな…そういうサービスが現れて…私は変わってしまい、タワレコも変わってしまった…。
疫病蔓延のせいで2年くらい通販メインの生活だったのもあって久々の渋谷タワレコだったのですがすっかり様変わりしていて驚きました。各フロアごとのジャンルがぎゅっとコンパクトになり、いっぱいあった試聴機が減り、展示スペースが増え、そしてアナログレコード売り場が広い。つまりそういう方針になったんだな…とひと目で分かるフロア構成で寂しくなる一方、私もタワレコがそうなった原因の一端でもあるので複雑な気持ちになりました。

それにしてもアナログレコード売り場がめっちゃ広くなっている。今までCD買いに何度も訪れていたのにレコードの方はほとんど見ることはなかったため、vinylの表記を見て「ビニール…?」と戸惑ったり、new arrivalの札を見て「新発売(いわゆる新譜)じゃなくて新しく入荷した旧譜よ!って意味かしら」と戸惑ったり、完全に無知です。自分は音楽の事はちょっとは分かる方だぜと思っていたが全然だった。なんと恥ずかしい。世界は広く、知らないことがまだまだたくさんある。
ジムノペディが入ってるアルバムか、ピアソラがあれば欲しいなと思っていたけど見つけられませんでした。買いたいものとジャンルは分かるけどその棚がどこにあるかが分からん…という初めて行った店舗(もしくはリニューアルした店舗)あるあるです。スーパーとか本屋でもよくなるよね。ジャンル分けはCDと同じっぽいので今まで培った感覚でいけるかと思いきや、レコードのラベルを見ながら一枚ずつ探していくのに慣れていないのでけっこうしんどい…棚差しのブックオフより断然いいけど…。しかしジャズの多さに驚きました。アナログ盤と言えばクラブ系のアーティストがずらり…みたいなのを勝手に想像していたのですがむしろクラブ系は少なく、ほとんどがジャズやロック、POPSとかだった。特に邦楽はシティポップ推しが強かったけど最近シティポップ流行ってるってまじなんだな…都市伝説かオタク向けにメディアが作り出した幻想だと思ってたな…。しかしこんなにクラブ系が少ないならDJ達は一体どこでレコードを…?

toconoma - orbit / underwarp

うろうろオロオロしてたらtoconomaがありました。ジャケットが超かわいい。考えてみればレコードって全部紙ジャケなのだ。最高か?ここが約束の地かもしれん…。レコードがなんか小さいけど要するにCDで言う8cmシングルみたいなもんじゃろ?とふんわりした認識で買って帰りました。家に帰って、「おいおいこのレコード穴が大きくてターンテーブルに置いてもガバガバなんだが…」→「大きい穴のやつはターンテーブルにアダプターを付けるらしい」→「アダプターなんて付属してないが……あった!こんなことにあった!」といった戦いがありましたが、どうにか無事に聴くことができました。カラヤン(LP盤)より小さいので分かりにくいけど水平に回っているように見える。やはりカラヤンが歪んでいたのか?新品のレコードの音はなんかザラザラしていてうーん?これが新品?という感じ。調べてみると、新品のレコードの場合は生産時の剥離材なんかが盤面に残っていてノイズの原因になる事があるそうです。よく見たらなんかホコリもついてるわ。ならばと盤面を拭きつつ何度か聴いてるうちにびっくりするほどクリアで良い音になりました。まじで良い音になった!すげえ!特にドラムの音が本当に良くて、これはジャズのもんですわ…そりゃジャズが売り場の半分を占めますわ…と納得したのでした。それにしても濡らしたガーゼでちょっと拭いただけでこんな良い音になるなら専用のブラシとかあったらもっと良い音になるんじゃない?!静電気除去ブラシとかあるね?!わーすごいお値段…(こうして沼にどんどん入り込んでいくんだな)

余談ですが、タワレコのvinylフロアでこれがかかっていてめっちゃ良かったです。やはり実店舗に行くとこういう思いがけない出会いがありますね。中古盤だったので「今かかってるやつください!」って言っていいのか迷って結局帰ってしまったけど聞くだけ聞けば良かったな。そういえば「今かかってる曲なんですか?」もShazamが出てきてすっかり言わなくなってしまったね。