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noteクリエイターファイル

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「救われた」の声が集まるマンガ「スパあんこうの胃袋」。共感を呼ぶ物語はどうつくられたーー?

7万いいねの話題作が生まれたのは、ベビーカーで入ったカフェだった「あ......コートのひも引きずってる」 家族で入ったガラス張りのカフェ。あきばさやかさんは、窓の外を歩く女性を目で追っていた。 声をかけようにも店内からでは難しい。 女性はあっという間に見えなくなってしまった。 そのとき、ふと思った。「私も同じような失敗をよくするけれど、その度にいろんな人に助けてもらったなあ」。 同時に、ある妄想が頭の中に広がり始める。 「いままでわたしを助けてくれたような親切な人

初小説がまさかの映画化…書き手は現役のバンドマン。「あの苦しみに比べたら、書き続けることは苦にならなかった」

かつて肩を並べていたバンド仲間が、どんどん自分を追い抜いていく──。 飲み屋でふと、テレビに目を向ける。画面に映しだされる友人の姿に、慌てて目をそらした。 多くの人が行き交う繁華街。聞き慣れた歌声が耳に入ると、足早にその場を去った。 憧れのステージに友人が立つと知っても、「おめでとう」のひと言がどうしても言えなかった。 そんなとき、心の中に黒々と渦巻いていたのは、嫉妬や羨望といった感情ではない。 自分だけが前に進めていない──、無力感だ。 「その苦しみに比べれば、毎

社会を変えたいから、会社をつくる。海を渡る。そして記事を書く。下山田志帆さんが「発信」を続ける理由

下山田志帆さんはこれまで、ドイツのSVメッペンや、スフィーダ世田谷FC(プレナスなでしこリーグ1部)でプレーしてきたサッカー選手だ。そのかたわら、生理の際にも着用可能な下着を開発したり、女性スポーツの価値向上に関するメッセージを打ち出したりと、幅広く活動している。 彼女がピッチ外でも、自分の思いを届け続ける理由とはーー。 ・・・ 転機となったのは、2022年1月13日のnote。 2年半、誰にも言えなかった気持ちをnoteにつづると、複雑に絡んでいた思考が解けていく

メタバースでアイドル活動。小説家デビューも…普通のネットユーザーがVR空間でみつけた「もうひとりの自分」

多かれ少なかれ、誰しも周囲からの目を意識しながら生きている。そして、その意識は時に創作の邪魔をする。 自分みたいないい歳したオジさんが、こんなポエムのような投稿をしたら、痛い奴と思われるんじゃないか…といった具合に。 そんな風に自分の創造性に蓋をしている人にとって、「メタバース」は大きな可能性をもたらしてくれるかもしれない。現実世界を生きる自分とは違う「なりたい自分」を手に入れることができるからだ。 「まさか人生で、アイドルのようにステージで歌やダンスをしたり、小説を執筆

街の地形から、一瞬で数万年の歴史も見抜く。専門知識の発信で人命は救えるのか…地質学者の挑戦

「下見に来たとき、ここで『おーっ!』と思ったんですよ」 そのときの驚きを思い出したのだろうか。 地質学、斜面災害地質の専門家・橋本純(ゆるく楽しむ)さんは、こちらを振り返りながら、少し高揚した様子で話す。 東京・北区の閑静な住宅街。 川沿いの遊歩道を少しだけ左にそれた先に、その場所はあった。 都会のど真ん中ながら、木々がうっそうと生い茂り、急に山道に入ったかと錯覚させるような一角。彼はその奥を指差して「ここです」と言う。 一見、ブロック塀のような壁。 それは、むき

全財産が3,000円でも「とにかく作品をつくり続けたい」。ある漫画家が創作活動だけで生計をたてられるようになるまで

あの日の驚きと、喜びと、高ぶりを、したら領さんは今もはっきりと覚えている。 運命の日となる2020年3月29日――。 それは、受講していたコルクラボ漫画専科の最終日だった。 最後の講義を迎えるにあたり、したら領さんはnoteで発表していた『眠れないオオカミ』の1話から9話までをまとめてTwitterで告知した。 すると、スマホが壊れたかのように震え出すではないか。 「リツイート」や「いいね」の通知が止まらない――。 それまでも1話投稿するたびに、フォロワーが500

東大野球部のデータアナリストがプロ野球界入りを果たすまでの、note発信戦略と、覚悟。

東大野球部のデータアナリスト・齋藤周さん。 ビジネスのフレームワークを野球部に取り込むなど、「赤門軍団」を分析担当として支え、今年5月には64連敗中のチームを4年ぶりの勝利へ導いた。 そんな齋藤さんは来年1月から、福岡ソフトバンクホークスのゼネラルマネージャー(GM)付データ分析担当に就任が決定。 きっかけになったのは、noteやTwitterでの発信だった。 齋藤さんのnoteでは、野球のデータ分析に関する知識や学びが分かりやすくまとめられている。その内容がプロ野球

いくら描いてもボツ。葛藤、休職の末に……あるデザイナーが「やりたい仕事」にたどり着くまで

自分がやっている仕事は、一体なんのためのものなんだろう。 20代の頃、ずっとこう思っていた。 業務に追われ、努力をしても空回り。ただただ虚しくなる毎日だった。 多くの会社で企画される、商品の競合デザイン案件。 実績が欲しくて、何度もコンペティションに応募した。 だが、サイトで結果を確認しても、いつも自分の名前はない。 やがて、入賞者のデザインをみて、素直にこう思うようになっていった。 「こんなデザインができるなんて……すごいな」 いつしか悔しさすらも感じなくなっていた

"合宿中の部員"までもが料理上手に…コロナで継続危機の企画、救った「無敵のツール」とは

包丁を持つ手の動きは、おぼつかないものだった。 にもかかわらず、調理自体はよどみなく進んだ。 おかず、汁物が同時並行でつくられ、いかにもおいしそうに盛り付けられていく。 Zoomの画面の向こう。エプロン姿の男性たちが、笑顔で口をそろえる。 楽しいーー。この料理教室、もっと続いたらいいのにーー。 その様子をみながら、イベントを運営した藤田愛さんは胸を熱くしていた。 「オンラインだと事細かに説明していくのが難しいんですけど、このツールさえあれば簡単に理解をしてもらえる。参

深夜の投稿。破られるタブー…Jクラブ幹部がnoteで「移籍の内幕」明かす理由

子どもは素直だ。 だからこそ、意見が胸に刺さった。 8月。西村卓朗さんはあるツイートを見つけた。 サッカーJリーグ2部のクラブ、水戸ホーリーホックのサポーターである父親が、子どもの作文の画像をアップしたものだった。 活躍している選手が、すぐに他のクラブに移籍してしまうーー。 だから、ホーリーホックはJ1に上がれないんだーー。 そんな旨が書かれていた。 そうだよな。そう思うよな。 400字詰め原稿用紙に鉛筆で書かれた文を、何度も読み返す。 これは、他でもない自分に向け

作品をすべて消すことまで考えた。"バズらなかった連載"はなぜ書籍化されたのか

  「なんか、面白くないね」 率直な言葉が、ぐさりと突き刺さる。 うえはらけいたさんは「まあ、そうだよね」と力なく返事をした。 友人に言われるまでもなく、思うところはあった。 noteとTwitterで連作マンガを公開していた。 タイトルは「コロナ収束したら付き合う2人」。大型連作を描くのははじめて。これまでにない高揚感とともに、ペンをとった。 だが、描いても描いても、大きな反応はない。 ネットを開けば、SNSで話題のマンガを取り上げる記事が目に入る。 自分の作品も

会社員をしながら、大好きなアートを仕事にできたクリエイター・ぷらいまり。さんの情熱

noteで活躍するクリエイターを紹介する #noteクリエイターファイル。今回は、会社員の傍ら、アート関連のライターとして活躍するぷらいまり。さんにお話を聞きました。 年間300近く(!)の展覧会や美術館に足を運んでいるぷらいまり。さん。noteでは、週末に行ける展覧会の紹介(【今週末行ける展覧会】)、実際に行ってよかった展覧会・美術館のレポート(●展覧会・美術館 案内●)、身近なモノの展開図を創作するペーパークラフトの作品集(ナンセンスの練習。)を中心に執筆しています。

南伊豆に移住して、宿をつくってマンガを描きはじめた。肩書きを超えて創作をするイッテツさんの原動力

noteで活躍するクリエイターを紹する #noteクリエイターファイル。今回は、南伊豆を拠点にマンガを描くイッテツさんにお話を聞きました。 静岡・南伊豆で、地域の魅力を発信するメディア『南伊豆新聞』と、1対1で地元のひとの暮らしを体験するプログラム『南伊豆くらし図鑑』を運営し、宿「ローカル×ローカル」を開業したイッテツさん。 noteでは、南伊豆の魅力を伝える活動の延長線上にあるマンガ『ローカル×ローカル』を中心に発信しています。 『ローカル×ローカル』は、東京で編集者

「∞(むげん)プチプチ」を生んだおもちゃクリエイター・高橋晋平さんのアイデアの源

noteで活躍するクリエイターを紹介する #noteクリエイターファイル。今回は、おもちゃクリエーターの高橋晋平さんにお話を聞きました。 株式会社バンダイで約10年、大ヒット商品「∞(むげん)プチプチ」を筆頭に、くすっと笑ってしまうアイデアに富んだおもちゃを開発してきた高橋さん。2014年に株式会社ウサギを創業してからも、玩具やゲームの開発から講演、書籍執筆まで、活動の幅を広げながら、遊びゴコロあふれるアイデアを生み出し続けています。 noteでは、創作の裏側や働き方、子