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「言葉を企画し、誰かの力になりたい」阿部広太郎さん #noteクリエイターファイル

noteで活躍するクリエイターを紹介する #noteクリエイターファイル 。今回は、コピーライターの阿部広太郎さんにお話をうかがいました。

電通のコンテンツビジネス・デザイン・センターに所属し、映画、舞台、テレビ番組のプロデュースなど、「言葉」を軸に、幅広い企画を手がける阿部さん。横浜みなとみらいにあるBUKATSUDOにて連続講座「企画でメシを食っていく」を主宰するなど、会社の枠を超えて活躍されています。

noteでは、「広告・企画・コピーとは何か?」を主なテーマに、日々感じることを言葉にして、発信をしてくださっています。

言葉を企画し、世の中に一体感をつくる

阿部さんは、広告のコピー立案から、テレビ番組や映画のプロデュース、作詞、イベントの企画運営まで、多岐に渡るご自身の仕事をすべて「言葉の企画」と捉えています。

「言葉を軸に、世の中の課題や人の思いを言語化して、企画を立てて、人を巻き込みながら、コンテンツをつくっています。アウトプットのかたちはさまざまですが、僕の中では“言葉の企画”という1本の軸が通っているんです」

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阿部さんにとって「言葉の企画」とは、「幸福に向かうための矢印を企てていくこと」。

「今はどんな時代だろうと言葉で捉えて、自分に何ができるのかと自問自答を繰り返しながら企画し、人に届けていく。ただクリエイションをするだけでなく、できあがったものを社会とどう接続させるかを考えるまでが企画だと思っています」

たとえば、現役高校生のフォークデュオ・さくらしめじの「先に言うね」という曲の作詞を担当した阿部さん。

「みんながSNSをする今の時代、誰かとのつながりが増える中で、人との関係性が曖昧になっている不安感がどこかにあるんじゃないだろうか。そんな気持ちを出発地点に考え始めたんです」

歌詞カードにはもっと届け方、魅せ方があるのではないかと思い、言葉をデザインして伝えていったとのこと。

阿部さんは、この曲の作詞は“個人的な趣味”だと言います。

「歌うのが好きでカラオケが趣味という人と一緒で、僕は昔から音楽が好きで、ただただ音楽における言葉が好きなんです。仕事が終わった後の自由な時間に、お金になるならないは関係なく、どうしようもなく好きでやりたいテーマを見つけて、勉強することに没頭しています。ただ不思議なことに、熱量を持って興味のあるジャンルの渦中に飛び込んでいくと、人との関係性ができて、自然と仕事にもつながっていくんです。面白いですよね」

阿部さんがいま最も関心を寄せているのは、ご自身が中学生の頃に独りで過ごすことが多かったことから気に留めている「10代の孤独」というテーマ。企業から相談を受けた際に、「一緒にテーマに向き合っていきませんか」とプロジェクトを企画提案し、実際に動き出しているものもあるそう。

「たとえ小さいことでも、一つずつ、次から次へと形にしていけば、社会はつながっているので、届けたい人たちに届くと信じています。僕は言葉を企画して、幸せな巻き込み方をして、世の中に一体感をつくっていきたいんです」

noteは自己紹介であり、手紙であり、創作のきっかけ

そんな阿部さんにとって、noteは「世界に向けた自己紹介を日々アップデートする」場所。

プロフィールは新しい仕事をする度に更新しているので、リンクを送るだけで、自己紹介になっています。また、投稿したnoteがインターネット上で、直接会ったことがない人に出会って、自己紹介をしてくれています。その意味で、自分が日々関心を寄せていることや感じたことは、言語化してアップデートしていきたいですね」

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また、阿部さんは「手紙」を書くような気持ちでnoteを更新していると言います。

「noteという言葉には“短い手紙”という意味があります。伝えたい思いが溢れ出たときに、集中してnoteを書いて、言葉を瓶のなかに詰めて海に投げるような気持ちで公開しています」

阿部さんがnote上で投じた言葉に、実際の手紙で返事が届いたこともあったそう。2016年に阿部さんが上梓した著書『待っていても、はじまらない。ー潔く前に進め』の #全文公開チャレンジ をした際には、note読者からWordの文書3枚に及ぶ長い手紙が届きました。1通だけでなく、OB訪問を受けた学生が便箋に手紙をしたためてきてくれたことも。

「活字は、その言葉の通り、読まれてはじめて活きるものだと思っています。とにかく読んでほしいという思いで、全文公開にチャレンジしたら、思った以上に反響があって嬉しかったんですよね」

ほかにも、阿部さんは、ミルボン×note「#美しい髪 投稿コンテスト」にエントリー。エッセイでも、小説でもなく、音楽を投稿することを企画。作詞をし、作曲家の優佳さんと組んで、音楽をつくりました。

「noteがこのコンテストを開催しなければ、生まれていなかった曲です。音楽を投稿することも出来るnoteは、自由に創作をしたいという僕の気持ちや言葉を引き出してくれるんです」

それにしても、会社での幅広い仕事に加え、講座の主宰に作詞と、仕事もプライベートも境なく、言葉を企画し続ける阿部さんのそのエネルギーはどこから湧いてくるのでしょうか。

「やりたいという衝動に蓋をしていないだけなんです。僕はみんなを救えるスーパースターにはなれないけど、自分にできることを大切にして、手の届く距離、身近な人たちの力になりたい。僕の企てた言葉で、目の前の人が喜んでくれたり、笑い合えたりすると、ああ、生きていてよかったと思えるんです。そんな時間を積み重ねたくて、これからも言葉を企画し続けます」

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■クリエイターファイル
阿部広太郎

コピーライター 言葉の力を軸にコンテンツをつくる「企画でメシを食っていく」主宰 作詞→さくらしめじ「先に言うね」「お返しの約束」 向井太一「FLY」共作詞 プロデュース→映画「アイスと雨音」「君が君で君だ」舞台「みみばしる」著書『待っていてもはじまらない』をnoteで全文公開中!
note:@kotaroa
Twitter:@KotaroA
noteの楽しみ方:「みんなのフォトギャラリーで #写ルンです #フィルム で検索して眺めるのが好きです。新しい写真が更新されていないか、よく見ています」by阿部さん

text by 徳 瑠里香 photo by 平野太一

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