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「統計学を気軽に」 株式会社データビークル#クリエイターファイル

「統計学は最強の学問である」の著者であり、株式会社データビークルの代表取締役である統計学者の西内啓さんがnoteで自社メディアを開始いたしました。noteで自社メディアを展開する理由、またデータビークルという企業ではどのようなサービスを展開されているかを共同代表の油野 達也さんと西内さんに、弊社代表の加藤が伺いました。

加藤貞顕(以下、加藤)株式会社データビークルのメディア「シティズンデータサイエンスラボ」をnoteで始めていただき、ありがとうございます。西内さんとはcakesでも連載を持っていただいたり、以前から一緒にお仕事させていただいてましたが、最初の出会いってけっこう前ですよね?

株式会社データビークル 西内啓(にしうち ひろむ)さん

西内啓(以下、西内)7年くらい前ですね。大学の先生を辞めて、フリーランスの統計学者という謎の仕事をしていた時期に、加藤さんから突然Twitter経由でコンタクト頂いたのがきっかけですよね(笑)

加藤 お声がけしたのは、cakesを立ち上げる準備をしていたころでした。cakesでは、色んな種類のコンテンツが載ってるサイトを作りたかったんです。

そうすると、サイト上で読者とコンテンツの出会いをどう作るかが非常に重要な課題だったんですよね。その課題を解決するには、レコメンドエンジンのような統計的な処理が必要でしたが私は当時は知識が無く…。どうしたもんかなあと思っていたら、Twitterにぴったりな方が…(笑)

西内 ご相談を受けて、僕の方も「え、全然作りますよ!」って二つ返事でお受けしました。だから、cakesで最初のレコメンドエンジンのアルゴリズムを書いたことで始まったご縁ですね。まだ本を出版する前でした。

加藤 そうそう。同時期に西内さんが「今度、本書くんです」とおっしゃっていたので、それはcakesにぜひ連載してくださいよ!って私の方からお願いして。担当編集の横田さんとは知り合いだったので話もすんなりまとまり、「統計学が最強の学問である」の連載が始まったら、…もうめちゃくちゃ人気で!

西内 当時は連載しながら分析のお手伝いもしていて、自分の記事がランキングの上位にきていたので、「あれ、俺なんか分析間違えた?」って思ってました…(笑)

加藤 (笑)書籍もとても売上が伸びたようで良かったです。

だれでも分析ができる統計ソフトを提供したい

加藤 データビークルは油野さんと共同代表の会社なんですね。

株式会社データビークル 油野 達也(ゆの・たつや)さん

油野達也(以下、油野) そうですね。私が営業責任者で、西内が製品開発責任者です。

西内 事業の始まりは、僕が人づてに油野さんを紹介してもらったことからですね。
フリーの統計学者として色んな会社のデータサービスを分析するなかで、ご相談される課題もその統計的処理の仕方もかなり似ていることに気づきました。そこで得たノウハウから、統計的な前処理や、課題を導き出すための手法を自動化するソフトをつくってみたんですけど、でも売り方がわからなくて。

そのときに、インフォテリア(※1)というBtoBソフトウェア会社の営業責任者、対企業でパッケージソフトウェアを売る人としては第一人者だった油野さんにお話を聞きに行ったんです。油野さん、最初は若い無謀な人を諌めてあげよう、みたいなテンションでしたよね(笑)

油野 BIツール(※1)自体はもうたくさんあるから、そんないきなり作っても売れるもんじゃないからね、と。ただ、西内からそのソフトの説明やコンセプトを聞くうちに、考えが変わりました。「これ売れるがな!」って(笑)。

西内 いろんな方に説明に行っても、他のBIツールと比べてどう良いのか分かってもらえなかったんですが、油野さんには価値を分かっていただけて。
それで、売るためにはこうしたらいいよ、ああしたらいいよ、って色々教えてもらううちに、最終的に「わかりました、じゃあ油野さんがやってください」と(笑)油野さんを、当時彼が務めていた会社から引き抜く形で、データビークルを創業しました。

加藤 そういう経緯があったんですね…。データビークルがどういう製品を作っているのか、教えていただいてもいいですか?

西内 最初に出したのは、「dataDiver」っていう拡張アナリティクスツールですね。分析用のデータ加工や、予測モデルの作成などを自動的に行なって、経営課題を入力するだけでそこに寄与している要因を日本語で教えてくれるツールです。
次に出したのが「dataFerry」というデータプレパレーションツールで、コードが書けない人でも分析や機械学習に使うデータを簡単に抽出したり加工したりすることができます。
そしてこの夏、三番目に出す予定の「dataSniper」は、マーケティングのROI(※2)を最大化するためのツールですね。僕が一番得意とする『因果推論』という統計的アプローチで、正確にマーケティング施策の効果を推計して、本当に狙うべき顧客層を導き出します。
どのツールも専門のプログラマーじゃなくても使えるような仕様になっています。うちの会社の統計知識のないスタッフでも、このツールを使えば、多くの課題に対して僕が出すのとあまり変わらないくらいのクオリティまではレポーティングできますね。

加藤 なるほど。弊社でも社員がデータ分析のためにSQLの勉強会をしていますが、このソフトで解決してしまうのはすごいですね。

データが見やすくなるだけではなく、課題がわかることが大事

加藤 こういったデータ分析ツールの現状や、課題についてお聞かせいただけますか?

油野 BIツールの市場はまだ小さくて、240億くらいなんですけど、市場が固まってしまっているんですね。
ただ、企業がBIツールを利用しようとしたとき、“見える化”で終わりになってしまうことが多いんです。「3月が凹んでいる、8月は売上が高い」と、最初はすべて可視化されて喜ばれるんですけど、でもそこからどうしたらいいか分からない。うまく活用できないケースが多いんですね。

西内 我々のツールは、データを取り込んで自動で分析した結果、「見るべきポイントはここだよ」「これが関係してるから見たほうがいいよ」ということを全部『日本語』で教えてくれるんです。
それから、さきほども言いましたが、専門家じゃなくても触れて、みんなが使いこなせるようにする、という点も大事にしています。

「note」という街の中でより多くの人に統計の必要さを伝えていく

加藤 改めてですが、データビークルのnote( https://blog.dtvcl.com/ )を運用しながら、どのようにnoteを活用されていくか、ビジョンを教えてください。

油野 意外とBtoB(※3)のマーケティングや営業の話って、ノウハウが世の中に知られていないんですよね。なので、その方面の話をみなさんにお伝えできればと思っています。それから、うちにはベストセラー作家の西内がいるので(笑)西内に興味がある方々にも、書いたものを読んでもらったりしながら、そこに会社のメッセージをいれたり、商品の特徴をいれたり。そのための入りやすい玄関を作れればと。

加藤 玄関ですか。

油野 そうです。ふと入ってしまって、そこでお茶を飲んで、じゃあ次ごはん食べようかな、ってなるような。noteは、そういう人通りが多いカフェをやる感覚でいますね。そこに西内の美味しいコーヒーが出る、みたいな。(笑)

西内 そうですね、例えばレストランみたいな門構えで、中があまり見えない状態で引き込むっていうより、人通りの多いところで「統計いかがですか〜」って呼びかける感じですね。
そもそも、「みんな統計をもっと勉強しようよ」という問題意識があるんです。日本の会社が全体的に良くなればいいのにって僕ら常々思っていて。もっとちゃんと統計の勉強をすれば、もっと経営が良くなるはずなのに、という思いがあります。

加藤 noteにはいまたくさんの人が来てくれています。ぜひみなさんにその思いを伝えるお手伝いをさせてください。
今日はありがとうございました。

※1 BIツール 「ビジネスインテリジェンスツール」の略。企業が持つデータを分析し、可視化させることで、経営における意思決定を助けるツール。
※2 ROI 「Returne on Investment」の略。投資に対しての利益率の値。
※3 BtoB 「Business to Business」の略。個人ではなく、企業をターゲットにした事業の意。


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【西内さんによるイベントを開催します!】

今回の対談をきっかけとして、noteユーザーの方向けに「統計学」のイベントを行うこととなりました。ぜひこちらの記事よりお申し込みくださいませ!!


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■クリエイターファイル
シティズンデータサイエンスラボ(株式会社データビークル)
「データサイエンスをみんなの手に。」を目標に掲げるデータビークルのオウンドメディア。「シティズンデータサイエンス」とは、統計学の専門家ではない一般の人々が、ツールを活用して手軽にデータを活用すること。豊富な実践事例や読み物で、データ分析の世界をより身近なものにします。
note:https://blog.dtvcl.com/
Official Website :https://www.dtvcl.com/

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