賞金なし、媒体なし、思想なし、全てフリーのコンテスト・ミスiDがnoteで目指すもの

ミスIDは、2012年に始まった、これまでにいない「ネオガール」を探す講談社主催の女の子オーディション。その立ち上げから携わっているミスID実行委員長の小林司さんと、ミスiD2019のプラットフォーム選考委員として選ばれた、noteを運営する株式会社ピースオブケイク代表の加藤貞顕が対談いたしました。

賞金なし、副賞なし、媒体なし、思想なし、全てフリーのアイドルコンテスト

加藤貞顕(以下、加藤) 今回、ミスiDの公式でnoteを使っていただいたり、審査でご一緒させていただくことになったわけですが、そもそもミスiDってなんなのかということを伺ってもいいですか?

小林司(以下、小林) スタートしたのは2012年です。元々講談社にミスマガジンっていうコンテストがあって。

加藤 ミスマガジンは、王道のコンテストでしたよね。

小林 今年復活したんですが、2011年に休止したとき、「代わりに何かやりますか?」って社内に回ってきた時に手を挙げたのが僕で。ただ、お金もないし予算もない、あと媒体がない前提での話でした。
 でも媒体がないのは逆にいいかなって思ったんです。『少年マガジン』や『vivi』のオーディションだったら、その媒体に載ることがゴールになっちゃうから、コンテストとして広がりがない感じがして。だから、ミスiDは雑誌やプロダクションのしがらみを全てフリーにして、副賞も決まっていない、賞金もない、媒体もない、紐づいている団体や政治的な思想も特にない、そんなコンテストにしたんです。

加藤 ミスiDはインターネットのwebサイトを基盤にして女の子たちに呼びかけ、SNSなどのいろんなネット媒体でみんなが活動して、2ヶ月くらい戦った後に最終審査会があって……という段取りですよね。

小林 そうですね。

加藤 これって本当に、新しいアイドルコンテストのやり方ですよね。その考え方って、noteと提携するのに、すごく面白いと思いました。

小林 提携したら、まずnoteの特性に則ってやるべきことがあると思っていて。noteが得意としていること、もしくは目標って、ちゃんとnoteを使ってくれるクリエイターさんが増えることですよね。例えば、noteというサービスにとっての嬉しさって、何がありますか?

加藤 そうですね。noteってクリエイターが集まる街を作っているようなことをしていて、だから小説を書く人もいれば漫画を描く人もいるし、ビジネスについて書くひともいて、いろんな人がいる。ミスiDにも、文章を書きたいひととか、絵を描くことで自分を表現したいひとがいると思うので、そういうひとがnoteを使って発信してくれたら、僕らは嬉しいですね。

小林 うんうん。

加藤 街には、多様性があった方が楽しいですよね。街の新しい一面がひとつ増えればいいな、というのが僕らの思っていることで。

小林 それを伺うと、やっぱりミスiDはnoteに向いていると思います。そもそもミスiDが提示しているのは、「歌えなくても踊れなくても誰かの明日を元気にできれば、それは誰かのアイドル」ってことなんです。例えばカフェの店員さんだって、もし誰かがこの子に会うために毎日くるなら、それってもうアイドルでしょ。

加藤 確かにそうですね。

小林 誰だっていいんです。その人なりのやり方で表現してくれれば。でも、女の子にとっての表現って、どうしてもTik Tokのような、体を使う方向だけに移行してしまいがちなんですね。それはそれで面白いんですが、それだけじゃなくて色々なものがあればいいなと思っているんです。

加藤 たしかにアイドルの表現って、歌や踊り、フィジカルの話が多いですね。思考や発想を表現するというのは、そこまでは見ない。

小林 本当にそうなんです。僕にとって女の子の凄まじさって、声を発するだけで、立っているだけで、なんならそこにいるだけで、その場を制圧できる力がある。女の子っていうのは、そもそもそういう力がめちゃめちゃ高いから。

加藤 なるほど。

小林 女の子たちが何かを使って表現しようと思っても、なんとなく億劫になったり、面倒臭がったりもする。やろうと思ったら、それに特化した楽に投稿できるメディアがいっぱいある。ただ、そうなるとやっぱり彩りが少なくなっちゃうことになるから、ミスiDでnoteを使うのはすごく重要だと思って。 

あと、このミスiDの母体は講談社なので、出版というカルチャーをちゃんと弁証したいんです。高校時代に中原中也賞をとった文月悠光さんは、もうアイドルって言われてもいいからミスiDに出て、とにかく詩を届けたいと言ってくれた。それもすごく自然なことだと思うんですよ。

加藤 文化人とか作家だって、役割としてはアイドルと似たところはそもそもありますよね。文化人、作家って実は昔から美人やイケメンが多いですし。

小林 綿矢りささんなんてめちゃめちゃ可愛いし。

加藤 芥川龍之介とか、昔から作家はイケメンが多いです。

小林 太宰もそうですよね。そういうものだと思うんですよ。でも、そうは言ったって人間って総合力だから、内面を表現したい時にnoteを使って欲しいと思うんですよね。フルに表現をして欲しい。

自己PRも文学、言葉をつむぐアイドルコンテンスト

小林 ミスiDって応援する人が男女半々くらいなんですよ。僕、女の子をこれだけ見守ってるオーディションもなかなかないと思っていて。

加藤 へーー、意外ですね。

小林 ただ、見てる方の女の子っていうのは、どちらかと言うと、応援する子に自分を重ねることが多いみたいです。今年見ていても「4年間見ていたけど、今年初めて受けました」っていう子や、「絶対自分は受けないと思いながらずっと見てて……」みたいな子、がたくさんいました。ミスiDにはそういう応援する側だった普通の子がめちゃめちゃ多いんです。

加藤 応援している男性はどういう人が多いんですか?

小林 男性には基本的に、「評価をしたい」という欲がありますよね。やっぱり人がたくさんいないと文化って進まないので、基本的にミスiDっていくらディスられてても、運営がパトロールして注意したりしないんです。批評がないとダメだと思っているから、ミスiDってなんでも言いたい放題で、だからそれを全部乗り越えていくことも面白さなんです。だから小林司をディスってもいいんで。だって普通に小林司を外から見たら、可愛い女の子の中でめちゃめちゃ楽しそうにしてるじゃないですか、あいつどんだけいい思いしているんだよと。

加藤 うらやましくて、ムカつくかもしれませんね(笑)。

小林 そんな人、僕だったらディスりますよ(笑)。でも、それは当然であって、それを規制しようとは全く思ってない。ただ、ミスiDをめぐる言葉をもっと豊かにしたいんですよね。SNSだと、揚げ足取りだったり、アカウントも捨て垢でできちゃうので。

加藤 あとSNSは流れちゃいますからね。

小林 noteを使うことで、女の子たちが語る言葉をちゃんと芳醇にしたいというか。ミスiDの子はひとりひとり違うわけだから、語る言葉もひとりひとり違うわけです。そしてもちろん応援する側にもいろんな見方があるはずで、その両方をちゃんと活性化させたい。

加藤 noteの機能を使えば色々なことができそうですね。

小林 応援する人や、応援しなくても多少批判的な人、ミスiDウォッチャーみたいな人たちもいて、そういう人たちからも言葉をほしい。そういう人たちって下手したら僕たちより見ているので。資料性が高いまとめを上げてくれる人もいるくらいですから。

加藤 セミファイナルに残った子は、145人もいるのか。これくらいいると、紹介者も重要ですよね。

小林 そうなんです。こっちも全員を常に把握できないから、イベントに参加してくれるような人たちの言葉も取り入れていきたいなと思っています。その人たちも、自分の言葉がみんなに読まれたら嬉しいらしいので。

加藤 それを審査員の方もみんな見てますからね。ぜひ語っていただきたいですね。

小林 どんどん語ってほしいです。あとは、僕がすごくやりたいと思ったのは、自己PR文学賞。自己PRってまるで文学になっていて、個人的にいくつかピックしてあるんです。落ちてしまった子の場合もあるんですけど、けっこうレベル高くて。

加藤 自己PRって応募時に出すやつですよね? ぼくも見ましたけど、あれ、みんなの想いがこもっていてすごい迫力ですよね。

小林 はい。この前も、「初めは145人を完全に揶揄する気持ちで見ていたんだけど、自己PR全員見てたらもう涙が止まらない」みたいなことをツイートしている人がいて。自己PRって、それぞれ全然違うのに、それがあまりにも熱すぎるんです。とはいえ自己PRを145人全部見るのは大変だから、ベスト版みたいなものを作ることができたらと思っています。

加藤 それ、面白いですねえ。

小林 あとは、ミスiDの選考員が7年間に話してくれた言葉。柚木麻子さんもいるし、初期には宇野常寛さんもいたし。いろんな言葉を持った人たちがやってくれていて、そういうのがnoteで可視化されると、ミスiDってなに?って時にわかりやすくなるかなと思っています。ミスiDって概念に対しての有意義な言葉が毎年めちゃめちゃ積み重ねられているし、こんなにSNSでつぶやかれるオーディションってないと思うから。

加藤 普通、オーディションってクローズドでやっちゃいますよね。

小林 それを文字として残したいなと。

加藤 そうですね。選考委員のみなさんの言葉もこうやってまとめていければと思っています。あと、できればみなさん自身もnoteを使ってほしいなあ。

小林 はい、一緒にメディアを作っていけたらと思います。

加藤 よろしくお願いします!


構成:二宮なゆみ


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