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「”心地のよい食”の作り手を増やしたい」山口祐加さん #noteクリエイターファイル

【7月1日 更新】
山口祐加さんが「Nサロン」の集中講座『料理名のない自炊入門』の講師として登壇します。詳しくはこちらからご覧ください。


noteで活躍するクリエイターを紹介する #noteクリエイターファイル 。今回は、フードプランナー・ライターの山口祐加さんをご紹介します。

「現在掲げているフードプランナーはまだ仮状態で、自分のやりたいことに肩書きがつけられない。私は、”レシピを作る人”=料理研究家ではなく、作り手を増やすための”企てをする人”になりたいんです」

食の分野で独立して半年。そう話す山口さんは現在、メディア等で取材・執筆を行ったり、トークイベントやワークショップを開催したり、職場で家庭料理を振る舞う「POP UP社食」を開いたり。食を軸に既存の肩書きでは説明できない、さまざまな活動を行なっています。

noteでは、「東京のまた行きたいお店」や「京都のまた行きたいお店」の紹介や、週3日の自炊で食材を使い切る「週3レシピ」を中心に投稿してくださっています。

外食も内食も、自分にとって“心地のよい食”を

「1日24時間の中で食べる時間が一番大事」だという山口さんは、2日に1回のペースで外食をし、1日1食は「#一汁一菜」のシンプルな食事を自分で作って食べる。

「私にとって外食は最高のエンターテインメント。でも、外食が続きすぎると食べたくなくなっちゃうので、自炊での粗食とのバランスをコントロールしていかに“外食欲”をコントロールするかに心を砕いています」

2017年7月にnoteを始めた頃から、東京や京都の「また行きたいお店」を紹介し続けている山口さん。1年に1回、とっておきのお店をnoteの有料記事「2018年忘れられないほど好きな21店」にまとめてくださっています。

「好きなお店を紹介するのは、より長く続いてほしいと思うから。やっぱりお店は行かないと潰れちゃう。それから、せっかく外食するんだから、適当に決めるんじゃなく、ちゃんと選んでほしい。たとえば、デートでもどんなお店を選んだかによって、自分がどう思われているかがわかるじゃないですか。お店選びは相手を喜ばすことができる最良の方法なんです」

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一方、シンプルな家庭料理への需要も感じると言います。

「現代人は忙しすぎて、料理にかける時間が削られがち。それなのに、Instagramにあがってくる#家庭料理は、ハレの日のものや品数が多くて美しいものが多いから、圧倒されて、息苦しくなってしまうこともあると思います。

でも、本来の家庭料理って、もっとシンプルで“名前のない料理”も多い。見栄えを気にして大根おろしをスーパーで買う必要もないし、日常的にハンバーグや揚げ物など手間がかかるものをつくる必要もない。それらは外食で美味しいものを食べて、内食は一汁一菜を基本とした粗食でいい。大事なのは、自分にとって“心地いいかどうか”だと思います」

1本のnoteで広がった世界

山口さんがそんな「料理(自炊)」についての思いを綴った1本のnoteは、10万PVを超える大ヒット!今でも読まれ続けています。

「ただ料理は楽しい、頑張らなくてもいいということを伝えたくて書いたら、予想以上にたくさんの人に読んでいただけて驚きました」

この1本のnoteで「人生が変わった」という山口さん。ちょうどその頃、それまで勤めていた食のPR会社を辞め、食の分野で独立したばかりでした。

「会社をやめた当初は、食をテーマに仕事をしていくこととボストンに3ヶ月滞在すること以外、具体的な仕事は何も決まっていなくて。帰国したらどうしようかな?と思いながら、とにかくnoteで発信を続けていました。たまたま独立したタイミングで書いた記事がバズったので、魔法かな?と思いましたよ」

noteをきっかけに、ライターを中心に仕事の依頼も増えたそう。

「ライターの仕事は特に、過去に書いた記事が判断材料になるので、noteを書いていて本当によかったです。noteを通じて魅力的な人たちと出会ってつながれたことも嬉しいですね」

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作りたいけど作れない人に“名もない料理”を伝達する

その後もnoteの更新を続けている山口さんは、新しい仕事を生み出し、その枠を広げています。

たとえば、「料理ワークショップ」。講師から生徒へ、レシピありきで一方的に教える「料理教室」ではなく、食材ありきで、二人一組でその組み合わせを考え、失敗も見据えて手を動かす。食材を考える時は、山口さん考案の組み合わせの枠を広げてくれる「スープスロット」を使用。同じスープでも、グループそれぞれ食材も味付けも違うものが出来上がります。

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「日常の“名もない料理”にレシピはありません。レシピを見て覚えるのではなく、体験して構造を知り、自分で応用していく。レシピ通りにつくることよりも、自分の好きな味にたどり着くことが大事。たとえば、“塩ひとつまみ”と言っても、塩によって味が変わるし、人によって好みの味も違います。レシピにとらわれず、もっと柔軟に料理を楽しんでほしいと思っています」

常備食材に旬の食材をプラスして週3日で使い切るための「週3レシピ」も日常の料理(自炊)に徹底的に寄り添ってくれています。この週3レシピは、「料理ができない」ことを嘆いていたnoteディレクターと平野とのやりとりの中で生まれたもの。

「うどんにネギ1本を刻んで入れていた(笑)平野くんも料理ができるようになったので、そういう人たちを増やしていきたいですね。作りたいけど作れないという人に寄り添えるのは、レシピ本ではなく、生身の人間だと思っています。

料理ワークショップや週3レシピを粛々と続けながらも、『突撃!隣の晩ごはん!』的ノリで、家にある食材や調味料、調理器具で一緒に料理をするのもいいかもしれないなと思っています。それで、つい先日スープ作家の有賀さんと開催したイベントで、料理が苦手な人と料理初心者に向けた料理のパーソナルトレーナーをやると宣言しました。まだ詳細は決まっていないのですが、それらの方々に寄り添って一緒に伴走しながら料理を自分のものにするサポートがしたいと思っています。」

"心地のよい食"を広げるために、既存の肩書きや一つの枠におさまらず、活躍の舞台を広げていく山口さん。これからどんな“企て”をしてくださるのか、とても楽しみです!

■クリエイターファイル
山口祐加/Yuka Yamaguchi

1992年東京生まれ。フードプランナー、ライター。両親共働きで、母親に「ゆかが料理を作らないと晩御飯ないよ」と笑顔でおどされ、7歳のときに料理に目覚めました。料理と外食と旅が好きです。好きな食べ物はみそ汁。
Instagram : @yucca88
note:@yucca88
Twitter:@yucca88

text by 徳瑠里香 photo by 平野太一

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