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記事の要点をちぎってツイートする。アプリマーケティング研究所代表・鶴谷さんに聞く、Twitterからnoteへの誘導のコツ

noteとTwitterを組み合わせてつかう際のTipsを語る「noteとTwitterでつくる新しい企業コミュニケーション」イベント。今回は実践編として、月間約10〜20万人が閲覧する人気メディア「アプリマーケティング研究所」を運営している鶴谷智洋つるやともひろさんにおこしいただきました。

鶴谷さんは、取材から記事公開まで基本的に一人で担当し、Twitterの運用も行っています。記事公開後に投稿するツイートに寄せられるスキやリツート数は、3ケタに及ぶこともしばしば。そこで今回は、note記事を読んでもらうために、鶴谷さんがTwitter上で行っている工夫についておうかがいしました。

ひとつの記事を時間と切り口を変えてツイートする、ひとつのコンテンツで長尺・中尺・短尺をつくる、といった具体的なテクニックに加え、「Twitterから記事に来てもらうのは贅沢なこと」「SNSってタイムラインにかかっている重力が大きい」など、鶴谷さんの金言も必見です。

ゲスト
「アプリマーケティング研究所」代表
鶴谷智洋つるやともひろさん


記事の要点をちぎって投稿

ーーアプリマーケティング研究所さんは、noteとTwitterをうまく組み合わせて運営されていますよね。Twitterで集客して、noteでマネタイズをしている。note記事を読んでもらうために鶴谷さんが行っている工夫について教えてください。

鶴谷 まず、記事を公開したあとはこんな感じで要点をちぎってSNSにばらまくみたいなことをしています。

ーー記事の美味しいところを見出しに持ってくるということですね。ツイートは140文字フルにつかっていますが、これは記事の本文から持ってきてるんですか?

鶴谷 そうですね、記事の本文を要約して一口サイズにしています。これはYouTubeでいう切り抜き動画とほぼほぼ同じような役割なんです。

本編の動画は見てないけれど、切り抜きだけ見ている人っているじゃないですか。その切り抜きを見た人の一部が興味を持って本編の動画に流れてくる、という構造です。

ほとんどの人って、机の上に本をドンっと置いて「読んでおいてね」と伝えても読まないですよね。でも見どころをまとめたものがあれば興味を持ってもらいやすい。

ーーなるほど、なるほど。

鶴谷 要点だけちぎって読み聞かせしているイメージです。

13万回表示されてもクリックするのは775人

鶴谷 これは実例のツイートで、数字はTwitterのアナリティクスから持ってきたものです。

鶴谷 ツイートが表示された回数が13万回。リンククリック数が775回。記事を読んでない人もいるかもしれないけど、ツイートから記事に約700人送客しているということは、このコンテンツの接触面積みたいなものを増やすことはできているかなと。

ーー接触面積、なるほどな。ここ大事ですよね。よく企業のオウンドメディアのTwitter担当者が「ツイートはバズったのに記事は全然クリックされない」と嘆くことがあるのですが、そりゃそうですよね。13万インプレッションでもクリックするのは775人。でも実は13万インプレッションすることによって、少なくともこの人たちの印象には残っている。

鶴谷 そもそも記事に来てもらうことはけっこう贅沢かなと思っています。要点だけでも知ってくださいという気持ちでやっています。

ーーどうしてもツイートアクティビティとかで大きい数字に見慣れちゃってると、note記事の読まれなさに心が折れてしまう担当者も多いのですが、そのマインドセットは大事ですね。

「時間と切り口」を変えてツイート

ーーひとつの記事につき1回しかツイートしない人も多いと思うんですが、アプリマーケティング研究所さんは、ひとつの記事を何度もツイートしていますよね。

鶴谷 そうですね。ポイントを変えて複数回、朝昼夜とかに投稿するようにしています。そうすると、反応するフォロワーの層が変わってきて違う層に拡散されるんですよね。これもコンテンツの接触面積がより大きくなるのかなと。

ーー時間帯に応じてターゲットを変えるイメージですか?

鶴谷 そこまで細かく考えているわけではないんですけど、Twitterにログインするフォロワー層って時間帯で入れ替わるじゃないですか。朝しか見ない人もいれば、夜しか見ない人もいる。なので、いろんな人に届けたいなという意図でやっています。

ーーだから切り口も変えてるんですね。

鶴谷 そうですね。トピックスAで反応しない人も、Bで反応して記事に来てくれる可能性もあるので。SNSってタイムラインにかかっている重力みたいなものがすごく大きいと思っていて。ほとんどの人は、Twitterに流れてくるURLをクリックしない。

ーー「タイムラインに重力がかかっている」、おもしろい! この空間から他の星に行くためにはわざわざロケットに乗らないといけない、ってことですね。だからタイムライン上で見るだけで終わってしまう人が圧倒的に多い。

鶴谷 なので、タイムラインで完結するようなタイムラインネイティブというか、それだけで楽しめる情報量の多いツイートをどんどん出した方がいいんじゃないかなと考えています。

スクショにもひと工夫を

ーーアプリマーケティング研究所さんのツイートは、OGP(URLを投稿した時に自動的に表示される画像)に頼っていないのもポイントですよね。OGPをつかうと毎回同じ画像になっちゃうけど、記事中のイラストや記事本文のスクショを貼ることで、同じツイートでも違う印象を与えている。

鶴谷 記事にイラストがなくても、本文のスクショをひと工夫するだけで変化を持たせられると思っています。テスト用につくったものがこちらです。

鶴谷 左側が普通にスクショしたもの。真ん中が「Annotable」という加工アプリでつくったもので、右が「Stiiitch」というアプリでつくったものです。アプリをつかえば、文字にハイライトを加えたり枠をつくることができます。

ーーここがポイントだよっていうところをちょっと切り抜いて紹介することによって、ツイートのバリエーションができる。

鶴谷 一番右側のスクショに枠を加えたもの、結構よくないですか? 枠があることによって画面にコントラストができるので、パッと目がいきやすいかなと思います。

ーー一ちょっとひと手間を加えるだけで印象が大きく変わりますね。ほかに工夫していることはありますか?

鶴谷 ひとつのコンテンツで「長尺・中尺・短尺」を意識してつくるようにしています。

鶴谷 イメージ的にはサッカーの試合ですね。まず、長尺はサッカーのフルの90分の試合なんです。コアな人は全部読みたい。

中尺はスポーツニュースのダイジェスト映像みたいなもの。いいプレーのシーンなどをまとめたものなどです。

短尺は、SNSに流れてくるゴールシーンの動画みたいなものです。

ーー5秒、10秒とかの短い動画ですね。

鶴谷 はい。中尺は太文字でちゃんと書いてあげるとか図解入れてあげるとか、見出しをつけてあげるとか、ななめ読みしやすいようにしてあげるイメージですね。

ーーなるほど。では最後の締めとして、企業のオウンドメディアの担当者が、今日から始められるアクションがあれば教えていただけませんか?

鶴谷 最近、Twitter関連で発見したTipsがあります。noteでも何でもいいんですけど記事の中でTwitterを紹介するときは、アカウントをただ貼るのではなくて、そのアカウントの過去の名作ツイートを記事に埋め込むと、めっちゃフォロワーが増えるなと思いました。

名作ツイートをどうやって見つけるかというと、Twitterの検索コマンドでアカウントを指定して、いいねとかリツイート数が100以上のツイートを抽出するんです。抽出したツイートの中からそのアカウントのアイデンティティになるものとか、バズってるものを埋め込むと、興味を持ってフォローしてもらいやすいなと思いました。

ーーへぇぇ! 皆さんもぜひ今日から鶴谷流に挑戦してみていただければと思います。本日はありがとうございました。

※敬称略
※この記事のもとになったイベントのアーカイブ動画はこちらからご覧いただけます。

ゲストプロフィール


鶴谷智洋つるやともひろさん
アプリマーケティング研究所 代表

インターネット企業での勤務を経て、2013年よりアプリのマーケティングメディアを運営。外部の媒体「iPhonePLUS」「MacPeople」などでもマーケティング関連記事を執筆。

(interview by 徳力基彦 text by 榎本紗智)

「noteとTwitterでつくる新しい企業コミュニケーション」イベントの実践編は、バックナンバー公開中です。あわせてお楽しみください。


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