2018 J2第38節 松本vs岐阜

残り5節、いよいよ佳境です。今節は岐阜と対戦

予習

23節に甲府に勝ってから13試合勝利なしだった岐阜。ようやく前節に岡山に勝って久々の勝ち点3をあげた。夏のウインドウで古橋が神戸に移籍してから波に乗れない試合が続いている。それでもパス1位、ポゼッション2位は大木サッカーらしさが出ている。ただ得点、失点に関わる数字はピリッとしない。特に被シュート、被ゴールが17位と守りきれない様子がうかがえる。数字の上で気になるのは間接フリーキックが2位なこと。これはオフサイドを数多く取っているということで、当然ディフェンスラインは高く設定している。

試合を見た感じの感想は攻守ともに前への意識が高いということ。攻撃はボールを握ってサイドのMF田中パウロが仕掛ける&逆サイドからのクロスをフィニッシュのパターンが多い。ここはいいクロスを出させないように出どころを抑える必要がある。また守備では相手ボールホルダーへの寄せが早い。最終ラインからボランチでのビルドアップには積極的に奪いにくるのでここで引っ掛けられると一気にピンチになる。中盤を飛ばして前線にロングボールを送るか、逆にプレスをかわして岐阜ディフェンスの裏をつければ大きなチャンスとなる。どちらにしても大然のスピードが武器になることは間違いない。

試合結果

試合内容

結果としてはスコアレスドロー。多くのチャンスを作り、多くにシュートを打ったものの無得点で愛媛戦の二の舞となってしまった。一つ一つのプレーを見返す元気もないので雑感というか、本来の感想文のていで記録しておく。

全体的に珍しく緩さが見られた試合でもあった。ビルドアップの中途半端なボールを拾われてカウンターを食うシーンも何回か見られ、ピンチを招いたが守田、今井の好守もあって無失点で済んだ。もし岐阜に決定力があったらまた違った試合展開になっただろう。

攻撃は相変わらずではある。できることが増えてはいてより多くのチャンスを作ることには成功している。が、手数が多いのか相手DFがブロックを組んだところへ攻めかかる形が多くそれを攻略できないのが停滞感の中身かなと思う。シュートまでは行けているのでそこの精度だと言って仕舞えばそれまでだが、そこを決めきるストライカーがいないのが困りモノで。とはいえそんな選手はなかなかJ2におらず、結果を出せばすぐにJ1に引く抜かれてしまうのがリーグ全体の流れなので松本だけの問題ではない。

そもそも論としてどうやってラスト30mを攻略するかは全世界のサッカー共通の悩みではある。ざっくりとした数式にすると

得点数=チャンスの回数 × 精度

ということになると思う。両方とも高ければ大量得点で大勝できるだろう。日本代表やJ1ではシュートの精度が低いなら「チャンスの回数」を増やすしかないよねということでバルサ式よろしく細かくつないでチャンスをうかがい崩し切ったところでシュートを狙うやり方が多かった。ただ、その場合は数多くのパスが必要でビルドアップが下手なチームはミスからのカウンターを食らい易くむしろ危険なので、手数をかけずにシュートまで持ち込める堅守速攻は相手DFが少ない、あるいは戻りながらの守備で効果が薄いという意味で「精度」をあげる効果がある。

最近だとより多く30mラインにボールと人を送り込むことを目指したプジショナルプレーと、より早く30mラインにボールと人を送り込むことを目指したストーミングが流行りのプレースタイルらしい。発想は変わらないが方法論としての発展があるようだ。詳しくは知らんが。

で、話を松本に戻す。上で話したチャンスの回数と精度の問題はどちらかに特化すれば良いという話ではない。その時の状況に応じて使い分ける必要があり、両方を織りまぜることで相手DFも対応が難しくなる状況を自ら作り出せるようになって欲しい。

例えばの話だがUの字にビルアップしてサイドの深い位置までボールを運ぶと相手DFはPA内に7〜8人集まることになる。ここから崩すのは至難の技なのでアーリー気味にクロスを送ってDFラインの裏で勝負をする。あるいはクロスをファーサイドに送ってからセンターに折り返すことで相手DFをボールウォッチャーにする。などの工夫はあってもいいかと思う。

 もう一つはシュートの狙い方。基本的にはゴールマウスの内側でGKの守備範囲外がゴールとなるため、シュートは枠のギリギリを狙うことになる。でもそこの精度が足りないと枠の外に行ってしまうのでこれはむしろノーチャンス。

そこですべき工夫はGKの目線を外すことが一つ。例えばクロスに対してニアで潰れる選手がいるとそこにGKは釣られる。で、実際にシュートするのはセンターやファーで待っている選手となるとGKの目線はニアからボールを追ってファーにいる選手と移るためセービングの準備が難しくなる。こういうようなGKに複数の選択を強いる攻撃は(個人ではなく)チームとしてのシュート精度が上がるはずである。

もう一つはシュートの狙い所に段階をつけること。ゴールマウスの内側でGKの守備範囲外だけを狙うとシュートが枠の外に行きがち。そこでシュートエリアを3つに分けて見るのはどうだろうか。

1:ゴールマウスの内側でGKの守備範囲外
2:ゴールマウスの内側でGKが片手でセービングされるかもしれない領域
3:ゴールマウスの内側でGKが両手でセービングが可能な領域

1は確実にゴールできる。だからみんなそこを狙ってシュートを打っている。でも非常に狭い範囲で、特にGKがボールと正対している時は守備範囲が広くなるため、ゴールマウスの枠ギリギリにならざるを得ないので精度が低いと枠の外に行ってしまう。
3はイージーにGKがセーブないしキャッチできる範囲。普通はあまり狙わない。ただ、股下はここに隣接しているので1対1になったら選択肢に入ることがある。
で、自分が提案したいのが2の領域。1の領域に比べると範囲が広く、運が良ければゴールすることもある。さらに片手ならセーブした後のこぼれ球を押し込める可能性もある。ゴール前に人数をかけた時は選択してもいいんじゃないかな。

そんなこんなで愚痴を繰り広げた今回の感想文ですが、実際のチーム順位は1位をキープ。で、次節は勝ち点差1にまで追い上げてきた大分との対決です。この大一番を制することができれば一気にJ1への道も見えてくる。是非とも頑張って欲しい。


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