2018 J2第37節 金沢vs松本

37節は3連勝中と波に乗る金沢との対戦。相性そのものはいいのよね。

予習

11位ながらなかなかいい数字が並ぶ金沢。シュート4位、枠内シュート3位と攻撃の結局性が見受けられる。しかしゴールは12位と見劣りするのはシュート成功率が19位と低いため。決定力不足はどこのチームでもありうる話で全く他人事ではない。他に気になるのはドリブル3位、スローイン2位というところ。基本的に攻撃は手数をかけずスムーズに行うので相手ディフェンダーも対応し辛くクリアに頼るためスローインが多く、サイドで空いたスペースができるとMF清原やMF加藤が持ち運んで仕掛けるためドリブルも多くなる。なかなソツのない攻撃を仕掛けてシュートで終わるためカウンターも受けにくい。

守備の面でも被シュート4位、被チャンス構築率3位、被ゴール6位と立派な数字。タックル1位、インターセプト2位も堂々たる数字で球際に強く自由を与えない守備ができている証拠だ。前節対戦した徳島がなかなかボールを前に進められずボールを持たされているような守備ができていた。諸々、今の状況ではかなり状態のいいチームと言えるだろう。

相手を褒めてばかりでは仕方ないので対策を考えると、失点パターンで多いセットプレイが一つのウィークポイント。また守備の特徴としてマンマークに近く、相手がボールを持った瞬間に迎撃するような積極性があるのでそこを躱すと前が向きやすくなる。ここを起点に攻略できればチャンスは作りやすいだろう。そしてこの対戦、J2では松本の5勝負けなしできている。勝ちきりたいところだ。

試合結果

試合内容

松本は少しのメンバーチェンジがある。体調不良が噂される橋内の代わりに3CBの中央に飯田、右CBに今井。シャドーに前田大然が復帰し、左WBに石原を置く。これらは金沢対策として用意されたもので、それぞれに意味があるのでそれらも追い追い書いていく。

金沢は普段通りの442。雪辱の燃えるGK白井がゴールマウスから檄を飛ばす。

試合開始直後から押していく松本。1分、藤田の縦パスを高崎が叩くとペナ角で大然がキープ。それを隼磨がクロスを入れると中で待っていた高崎がドンピシャヘッド。これは既のところでGK白井がファインセーブで事なきを得るが序盤からこれまでの相性通りに展開される。

システムの噛み合わせとして金沢は44のブロックで守り、前線の2CFが松本の3CBを見る関係上、どうしても数的不利があり松本のビルドアップを阻害しきれない。その結果3CBの両側、今井と浦田が空きやすくそこを起点に松本は攻撃を繰り返す。今井と浦田は両者とも隙あらば高く上がり攻撃参加をする。ゾーンなら入ってきた選手を受け渡すことも可能だが金沢はマンマークベースなためマークのいない選手には誰も見ることができない。先制点も今井が起点となって生まれる。

20分、松本のスローインからセルジーニョ、藤田と渡って右サイドでフリーでボールを受けた今井がPA左で待っていた高崎に長めのクロスを送ると胸トラップでコントロールした後、丁寧にゴール左隅にシュートするがこれはポスト。この跳ね返りが大然の足元に入りごっつぁんゴール。復帰試合で得点をあげる。

大然は本調子とは言えないがボールを引き出しビルドアップの出口として役割を果たす。これも金沢対策の一環で金沢DFは自分の守備範囲の相手には潰しに行けるがスピードで千切られたりドリブルで躱されて一箇所マークが外れるとその後の守備は後手を踏むことになる。前線で剥がす役割をしていたのが大然ならば自陣に近い位置で剥がす役割をしていたのが石原である。この試合は左WBとして出場の石原だが、前からプレスに来る金沢に対してドリブルとターンでキープし前に運んで攻撃への切り替え役を担っていた。

36分、攻撃の作り直しとして最後方にいた飯田が浦田へパス、そこから縦パスが高崎へ渡り叩いて石原に入ると縦へのフェイントから横パスを藤田に送るとドフリーでコントロールした後、ゴッラソミドルを決める。石原、高崎、大然、セルジーニョの4枚が左に集結していたため中央から右は大きなスペースができていた。ここをうまく利用しての追加点をあげ、優位に立つ。

金沢の攻撃は3421攻略の基本、PA脇のスペースにFWが入り込み、そこから人数をかけてのクロス。PA脇へは主にFW杉浦が担い、FW垣田が中で待つ形だがFW杉浦がボールを受けてからの押し上げが遅く、その間に松本DFが体勢を整えてしまうためなかなかクロスが中で合わない。ボールロストすれば前線で待つ高崎と前田大然に通されると一気にピンチになってしまうため思い切った攻撃ができず、単発で終わってしまいがち。前半はシュート3本で終わってしまう。

後半は一進一退の展開。その中で面白かったのはセルジーニョのポジション。基本はシャドーの位置なのだが時折低い位置まで降りてきてビルドアップをフォロー。ボランチの近くにいることがママあるためフォーメーション的には352のようになっていた。単純に中盤を厚くして主導権を握るためだろうが、それ以外にもセルジーニョの空けたスペースを石原が使い仕掛けるシーンも見られた。この辺もマンマーク守備の混乱を狙ったのかもしれない。

その後は両チームとも選手交代をしながらゲームが進む。また選手も疲労が蓄積していくためファールも増えていく。75分、こぼれ球に反応した浦田に対してMF清原のタックルが足に入り負傷交代、岩間が入る。金沢はイエローをもらったMF清原に変わりFW佐藤を投入。これを見て松本は高さ対策に安川を藤田に変えて投入、ボランチには岩間が入る。その後、疲れた大然に変えて古巣対決になる中美がイン。チャンスはあるが決定機までには至らない。金沢は80分過ぎからパワープレイ気味に長いボール、手数をかけずにアーリークロスを入れてなんとか1点でも返そうとするが最後まで中では合わずジ・エンド。松本の勝利となった。完勝と言っていい内容で、金沢にいいところを出させず勝ち切り再度首位に返り咲いた。


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