全面禁煙強制は「営業の自由」の侵害か 五輪に向け議論が進む受動喫煙防止条例の問題点

――国会では超党派の「東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙防止法を実現する議員連盟」が活動を始め、厚労省は禁煙週間で「20年、スモークフリーの国を目指して」というテーマを掲げるなど、五輪に向けて喫煙規制の動きが力を強めている。だが、行き過ぎた規制には憲法学上の問題も潜んでいるという。

『受動喫煙防止条例―日本初、神奈川発の挑戦』(東信堂)

 受動喫煙防止条例については、2010年に神奈川県で施行された際に、さまざまな議論を呼んだ。だが、東京でも条例の制定に向けた動きが加速している。その原動力となっているのが、東京五輪の開催決定だ。

 そもそも国際オリンピック委員会(IOC)は、1988年に禁煙方針を採択。2010年には世界保健機関(WHO)とIOCが、タバコのない五輪を目指す合意文書に調印している。そして04年アテネ大会以降の五輪開催都市では、例外なく罰則付きの禁煙・分煙条例が制定されているのが現状だ。

 このような事態に対しては、「タバコを吸う側の権利は、一体どうなるのか?」と思う喫煙者もいるだろう。そこで憲法問題に詳しい伊藤建弁護士に話を聞いた。

「今回の条例は、『私人と私人』という対等の関係ではなく、『公権力と私人』という上下関係の問題なので、公権力が憲法に違反していないかが焦点となります」

続きをみるには

残り 2,387字
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?