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32歳でラップをやってしまった男の2016年の記録④<yascoについて>

➂はここから(https://note.mu/notinservicerap/n/n89ed28b92c3a)

(この稿の主人公、yascoのプロフは4:35くらいから。その前は、この芝居に8日のゲストラッパーのCOYASS氏の紹介もみれるぞ)

定時残業Zという、俺がやっている劇団の中で、もう一人、ラッパーになってしまったやつがいる。それがこのyascoだ。

そもそもこの「HEIANMCZ」という芝居自体、彼女と、もう一人の松澤という俺を慕ってくれる作演出家と三人でどこぞの喫茶店で茶でもしばいていた時に出てきた話題だった。

「殴り合う貴族たち」(繁田 信一著 角川ソフィア文庫)
という著作を読んだ、という松澤の話と、
「この前見たtokyo tribeが私結構面白かったんすよー」
というyasco…松島の話をだらだら聞いているうちに、
じゃあそういうの一緒にして、平安時代のtokyo tribeみたいなものを作ったら相当にいかれていて面白いんじゃないか、ということになり、この話を作ることにしたのだった。勿論自分の頭の中には、その当時のフリースタイルダンジョン…ちょうど、DOTAMAさんが出たころだったろうか…の勃興を視野に入れていたとは思う。

俺の感覚では、このころMC漢が華麗に2ndアルバムを出して氷河期から復活をはたし、古巣LIBRAへの対戦をDUMMUNEでぶちまけたころから、KOHHをはじめとしたUSのトラップを視野にいれた日本語ラップが台頭するのが同時期に起こって、ヒップホップが大きな波を迎えてるんだな、と思っていた。だから、定時残業Zというエンタメ劇団で、ここらへんをやることは、今の時勢とも、共振するし、面白いものができるはずだ、という確信があった。

その後、yascoの「あーしたい、こーしたい」という欲求を聞きつつ、そこまでラップに関して造詣のない彼女を揶揄することもあった。負けん気の強い彼女は、どんどんラップにのめりこみ、waniwaveやdotamaにはまり、俺と同じく、最近の韻にこだわらない(といわれる)MCたち、呂布カルマやNAIKA MCの試合を「やべー」と言い合っていた、気がする。

やがて、俺がラップをしてほどなく、「私も芝居でラップすんだしな」みたいなことを言いながら、彼女もするっとラップをやりだした。
俺たちのスタイルは借り物かもしれない。けど、それでも、「社会人ラップ」という世界にずんずんと進んでいった。yascoは最初俺の後ろでぼーっとPSサイファーのみんなのラップを見ていたが、やがてマイクを握り、彼女は第二回社会人ラップ選手権のオーディションに臨んだ。

汚い話かもだが、まあ女子でラップができりゃそれでアドバンテージではある。しかも、彼女は男勝りなバイブスで押し切るスタンスをとった。結果、彼女は、俺が2回予選落ちた社会人ラップ選手権に、一発で通り、本戦に出場した。

第一回優勝者のpennyをくだし、結果彼女はBEST4という大健闘。
「いやー、動画のコメントが怖すぎてもうみたくないっすよ…」
と彼女はこぼす。当日俺もサイドで微妙なジャッジにハラハラしながら見ていた。彼女のあこがれのラッパーであり、このときの審査員のDOTAMAさんが何度も延長を繰り返す時のかわいそうさったらない感じだった。

その後、さまざまな大会に彼女と出た。ときに「おめーには絶対に勝つ」とお互いに挑発しあいながら、ときに「いやーもうだめかもしんねー」とお互い日和りながら、おこがましくもagehaで何度もバトルに出させてもらった。


そんな彼女が勿論大活躍するのが、「HEIANMCZ」だ。
ぜひ期待してもらいたい。

しかし、ミーハーなもんだ。俺も、こいつも。正直、この芝居限りでこいつもやめんだろ、前は落語にはまってたしその話は最近とんときかんし…と、思っていたら、

あの、戦極MCバトルが主催する、フィメールMCのみの大会、
「CINDERELLA MCBATTLE」にオーディション合格し、参加することになった。なんやこら。

そう、彼女のラップ道はもしかしたら始まったばかりかもしれないのだ。

「でも、お前さ、マジで億が一、優勝したら、どうすんの?」
「そしたら、天下獲りますよ」

彼女は真顔でそういった。

<HEIAN MCZ 予約はこちらから>

http://teiji-zangyo-z.main.jp/heian-mcz/

<yasco名義で取りたい方は彼女のtwitterから探して、どうぞ>






(…ああ、そうだ。これだけはセルフボースティングしておこう。
俺はHEIANMCZでtokyo tribeを超えたい。tokyo tribeよりも、絶対面白くしたい。俺も、真顔だ。)

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