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さよなら、天の川(完)

どうなることやら。
本当に数時間前までは終わったと思った。

けど、来て本当によかった。

やっぱり気持ちだけじゃなくて、行動で表すって大事だなって。

正直、名古屋仙台間の新幹線はバカにならない。
もともと金欠なのに、これじゃ今月はやっていけないな、とか思ったけど彼女を失うよりかは全然、痛くも痒くもない。

それだけ、本当に大事だと思える。そんな人。


翌朝、彼女はもう起きていた。

夜遅かったからあまり寝れてない。

寝不足でちょっとだるおもできついけど、今はもうそんなの効かないくらい、気持ちは軽やかだった。

逆に彼女はちょっと不機嫌。

寝れてないのに朝起きるの早いしね。


「おはよう。」

「朝ごはんないから。」

「じゃあ、マフィン買いに行こ!」

「そういう問題じゃない。」



なんだ、結構機嫌悪いな。
寝不足じゃん、寝てればいいのに。
そんな風に思ってた。


「どうしたの?笑」

「それよりも何か言うことないの?」



何か言うこと?なんだ、何かやらかしたか?え、おはようって言ったしな。


「あぁ、昨日はごめんね、いきなり押しかけて。予定とかあるのにね、勝手に喜んでくれると思ってさ、けど、仲直りできてよかった。」

「……。」



確実に様子がおかしい。



「ん、どうかした?何かおれ、まずいことした?」

「私たち、もう終わりだと思うの。」

「えっ。」



何でだ。おかしい。何かがおかしい。
これこそ夢だ。繰り返してるもん。


と、思いたかったがテレビに映る時間も放送されてる番組も朝の太陽も全部、本物だった。



「名古屋に行って、仕事が忙しいのもわかる。会食とか飲み会が多いっていうのもわかる。疲れてるのもわかる。一人で退屈で寂しいだろうなって思ってたよ。」
「最初のころはたくさん連絡くれてた。テレビ電話もして、今日はこんなことあってさ、とか仕事のグチ聞いてくれたりさ、離れてたけど、これなら大丈夫だなって思った。」
「けど、最近は連絡返すのも電話も出てくれないじゃん。電話しても話聞いてるのか知らないけど、全然反応がないし。もう私のこと好きじゃないのかなって思った。」


言い返すコトバが見つからない。
全くをもってその通りだからだ。

最初のころはそれは毎日のように電話して、いろんな話して、予定を立てたりしてた。

仕事が忙しいのも本当だ。

仙台の時のスピード感では全然ついていけないし、仕事量もそうだけど、取引先ともうまくやるのですらちょっと厳しかった。

会食も飲み会が多いのも本当だ。

マーケットが大きい分、そういった取引先との会食も、名古屋のオフィスの方が人もいるから食事に飲み会に行くことが多かった。

お酒が弱い僕は終わると使い物にならないくらい吐いている。

正直彼女どころではないくらい自分的にはお酒はきつい。


ただ、一つだけ彼女に嘘をついていた。
ナンパをしていたことだ。


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仙台時代は野生としてナンパをしていた。


名古屋に移動してきて少し落ち着いてからはクラスタの存在を知り、ツイッターをはじめ友だちもできた。

友だちができた転勤独り身の男にとっては、白黒の世界に色がついたそれくらい衝撃的だった。


だから、彼女の言う「私のこと好きではないんじゃないか」というのは少し当たっている。

彼女よりもナンパに時間を費やしたい。
ダークサイドに陥っていた。


ただ、会って分かった。

俺はこの子が大好きだ。
もう悲しませたくないと。


だからありのままの思っている気持ちを素直にぶつけた。

好きだけじゃ伝わらない。


キミに恋したこと。
キミとデートした日のこと。
キミと料理した日のこと。
キミとキスした日のこと。
キミの家に泊まったこと。
キミと一緒に旅行に行ったこと。
キミとケンカしたこと。
キミと離れ離れになった時のこと。
キミが名古屋に来てくれた時のこと。
キミを今も好きでいること。


もう、何を言っているかわからないくらい、
泣きながら思ったことをただ、口に出すだけだった。

かっこいいとか男だからとか、そんなんとっくに捨ててた。

ただ、一緒にいたい。もう一回、俺の隣にいてほしい。

彼女も泣いてた。
何とか届いてほしい。
何で俺はあんなことをしたんだろう。
ナンパなんてしなきゃよかった。

縁もゆかりもない仙台で、初めて熱中するほど人を好きになった。

それが、キミだ。


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駅のショッピングモールでキミをみた。

声をかけたことは覚えている。

顔は覚えてなかった。

とりあえずアポをとって、待ち合わせて、そしてあった時、


「この子は大事にしたい。」


それが第一印象だった。

それくらいかわいかった、美人だった、理想だった。

茶髪の髪はロングで女の子らしくて、色白の肌に大きな目、すっとした鼻。

身長は高くて胸も大きくて、男子だったら憧れるだろうと。

そんな子だった。

おまけに歯科衛生士。

そんなんかわいいじゃん。
ただただ、かわいいじゃん。

ちょっとわがままだけど、すごく優しくて、ちょっとバカで能天気なところもかわいくて、家庭的で、家族思い。

そしていつも励ましてくれた。

本当にこんな子が俺の彼女なんだ。って毎回会うたびに思った。 


「私の両親に会ってほしい。」

って言われた時も、もう決めてた。

ゆくゆくはこの子と結婚しようって。

確かにまだ早いなとは思ったけど、好きな人と一緒にこれから先過ごしていくのも悪くないよなって。

ご両親も初めて会う俺にごちそうを用意して待っていてくれて、

お父さんは俺とお酒を飲みたいっていってたくさん用意してくれてて、

お母さんは「息子ができたみたい」って喜んでくれて、

お姉さんには「妹をよろしくお願いします」って、

幸せだなって、思った。


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「もう決めたの。別れるって。」
「もうこの先、こんないい彼氏、出会えないなって思うよ。」
「おもしろくて、優しくて、家事もできて、怒らないし、家族思いで、私のわがまま聞いてくれる人(笑)もういないと思うの。」


やめてくれ。


もうそれ以上言わないでくれ。

その言葉がどれだけ苦しいか、どれだけ嬉しかった言葉か、終わらせないでくれって。


「今でも好きだよ。大好きだよ、そりゃ。私だって別れたくないよ。でももう辛いんだ。また、冷たくされたら私、もたないかも。」
「それにね、友だちと遊んでる時とか彼氏から電話来てこれからあってくるとか、買い物してるとき、カフェにいるときカップルが楽しそうにしている見るの辛んだよね(笑)私だってしたいのに、会えないんだもん。」

「ねぇ、なんで名古屋にいるの?仙台に帰ってきてよ。」


それがとどめだった。


泣いていたけど、大人が泣き崩れるなんてことがあるんだなー、とか思ってたけど、自分がまさにそれだった。


「もう、ダメなんだね。」



ようやく発した言葉だった。弱々しい声。



「もう、戻れないんだね。」

「うん…決めたの。」

「そっか、、、」

「次付き合う人には優しくしないとダメだよ。」

「もう作る気もないよ。キミ以上はいるはずないからさ。フラれた今でも好きなのに。」


「あーーー、言ちゃったなーーー!これで、私、、、別れたけど、、、」
「彼氏さ、できるかな?わがままな私でも、受け止めてくれる優しい人、いるかな。。。」


泣かないでよ。
自分がフったんじゃん。
内心そう思った。


「もう、帰るね。」

「…うん。」

なんだかんだお昼を過ぎていた。
名古屋に着くのは夕方かな。



「ねぇ。」



と、俺を呼び止める。俺は振り返らない。



「ねぇ、最後にギューってして?」



だからさ、泣きながら言わないでよ。



「ねぇ、ダメ?最後のお願い。ギューってしてよ。」


やっと泣き止んだのに。



「………いかないでよ……」


と、言いながら元カノから抱き着かれる。



「もしも、このままずっと結婚もできなくて彼氏もできなかったら、お嫁にもらってくれる?」

「もらわないよ(笑)」


「大好きだよ。」


「…ばいばい。」


「駅まで送っていく!仙台駅まで送ってく!」

「やめて、傷心中だから一人で最後にここのローカル線に乗って帰るの。もう、来ることないからさ。」

「最寄りまで送らさせて…?」


駅について、本当に最後のお別れ。
いつも通りに「じゃあね」って。

また来週末も会うんじゃないかってくらい、いつも通りだった。

新幹線の中で元カノとの思い出をすべて写真とかラインも連絡先も消した。

ただ、消せなかったのは元カノが好きだった「あいみょん」の歌たち。

以前からよく歌っていてそれにつられて俺も好きになった。

「マリーゴールド」は特に思い出の曲。

彼女が好きな歌だ。


特に好きなパートがある。

目の奥にずっと写るシルエット大好きさ
「もう離れないで」と泣きそうな目で見つめる君を雲のような優しさでそっとぎゅっと抱きしめて離さない


最初のは非モテ100%だけど、いつだって僕の中の登場人物は元カノだ。

いつだって思い出す、あのシルエット。

そしてもう一つ。

「ねぇ、最後にギューってして?」と元カノが放った一言。


次は離さないようにしないと。


非モテすぎて何コイツキモい
と、思った人もいると思うし
あー、そういうの昔話もあるよね
と、思った方もいると思う。

けど、そういう思い出がある方が良くないですか?

もちろんこんなことを書いたからって元カノが戻ってくるわけでもないし、新しい劇的な美女があらわれるわけでもない。

自分がすごいとも思わないけど、猛烈に人を愛したことがあるっていうのはいいことなんじゃないかなって思う。(自分で言っちゃう)

何となく「人味」も二味も違う人になれるような。


失くしたものをとりもどすことはできないけど、 忘れてたものなら思い出せますよね…


タッチの上杉達也のセリフ。
いつかこんな恋愛もしたなーって子供に話せるようになりたいものです。


はて、この底なし沼から這い上がれるものか。
ナンパとは得るものもあれば、もちろん失うモノがある。

諸刃の剣だ。






おまけ

※通常の七夕は7/7🎋
仙台七夕祭りは旧暦の7/6-7,今年は8/6-8
アーケード一面に目の前が見えなくなるくらいの仙台七夕が飾られます。

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いずれもスイス撮影
古いスマホなので画質よくないね

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