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ストリートファイターリーグ開幕

ストリートファイターリーグ参戦中のナガシマパイナポーです。
リーグの記事何気なく書いてみましたがけっこう多くの方に読んでいただけたみたいでありがたいです。支援までポチりしてくださる方もいてホントに非常になんとも有難い限りです。

さて今回は第1節までの取り組みと本番での出来事を書いていこうかと思います。

『来たる本番』

ウメハラさんとの会食翌日僕は焦っていた。会食時ウメハラさんに練習メニューを送ってくださいと頼んでおいたがその連絡が一向に来ないからだ。対戦の収録日まで10日を切っている。はやくプロ直伝の練習メニューを与えてくれ!モチベーションが高まっていた僕は強くなれるスーパーアドバイスをとにかく欲していた。
翌日LINEの通知音が鳴った。画面には〝梅原大吾〟と表示があった。
キターーーーーーーーーーーーー!!!
その時の僕は既読スルーされ続けている意中の女の子から返信が来た時のようなリアクションだった。凄い勢いでスマホに飛びつきLINEを開いた。送られてきた内容はこうだった。

「必殺技出るようになったら教えてください」

ん????????????
必殺技??????????
波動拳とかの必殺技????
出すだけなら出るけど、、、、
意図してる事がわからなかった。
今考えるとおそらくゲームに5秒くらいしか触れてない状態だと思われていたのだろう。

画期的な練習方法が送られてくると期待していた僕は拍子抜けした。
そしてLINEでこう返した。

「たまにミスはありますが出すだけなら必殺技出ます」

するとこう来た。

「ID教えてくれれば試合みてアドバイスできます」

ははぁ〜ん、、わかった!この後か!この後に

『貴様に合った必殺コンボを授けよう!!しかと鍛えよ!昇ってこい!我が高みへ!!』

こんなLINEがくるのか!と期待してIDを送信した。するとその後の返信がこうだった。

「ランクマ(ランクマッチ、オンラインで同じランク帯と戦う事)の試合みました。
必殺技は出せてるし、受け身もとれてるので操作自体には慣れてきてるようですね。
いいと思います。
次はジャンプ攻撃を相手に当てるのを意識してみてください。
基本的に格ゲーはジャンプ攻撃からの連続技が一番ダメージが高いので、対戦のレベルを問わずジャンプ攻撃は重要な攻めの選択肢になります。ラシードの場合は相手が近くにいるなら大パン。少し離れてるなら大キックで飛び込むのが有効です」

とても堅実な内容だ。
格闘ゲームをやってる人ならわかると思うがこの内容は基礎的な事だ。初心者でも基礎的な内容が送られてきたのはすぐにわかった。そこで察した。
あぁ格闘ゲームに強くなる近道はないのだなと。

こうなったらとにかく操作に慣れる事にだけ徹しようと思った。具体的な練習よりもとにかくランクマッチの数をこなした。

そしてジャンプ攻撃をするというアドバイス以降ウメハラさんとは一切連絡を取り合う事もなく試合当日を迎えた。

試合当日僕はめちゃくちゃ不安だった。具体的に強くなった実感がないのだ。どうしよう、、、その不安を埋めるために他のチームのビギナーの人に話を聞きにいった。すると、あるビギナーの人はコンボを習ったと言う。またあるビギナーの人はチームで集まって一緒に練習したとか言ってくる。

やばい、、終わった、、、、
ラインで2、3回やり取りしただけだ、、、
絶望しかなかった。
そんな絶望に打ちひしがれた僕は試合前から最終話のあしたのジョーのような姿になり楽屋でオニキくんとウメハラさんが到着するのを待った。

するとオニキくんが来た。来るやいなやオニキくんに不安を嘆いた。オニキ到着as soon as嘆きである。するとオニキくんはなんだそんな事かとゲーム機に向かい始めた。
有難い事に楽屋にはこんな事を見越してかゲーム機が置いてあり試合前に調整できるようになっている。

ちょうどゲーム機に向かおうとしたタイミングでウメハラさんが到着した。ウメハラさんにこの前の食事のお礼とアドバイスのお礼を伝えた。更にアドバイスを受けての感想も率直に伝えた。

「格ゲーに近道みたいなのってないんですね」

ウメハラさんは「あー、、、」と考え少し間をおいてこう答えた。

「そうですね。格闘ゲームって筋トレと同じでやればやるだけ力がついていくんですよ。そこが面白いというか頑張り甲斐がありますよ」

なるほど!そう考えるか!と驚いた。確かに物によってはどれだけ頑張っても上手くならない場合もあるし向き不向きもある。お笑いなんか特に、頑張ったからと言って確実に面白くなれるわけではない。だが格闘ゲームは違う。やればやるだけ強くなる。だから頑張り甲斐があるか。なるほど!これはいい!
だったらシンプルに頑張ろうと思えた。またもやモチベが上がった。この人いちいちモチベ上げてくるなぁ!やるなぁ!と心の中でウメハラさんを称えた。

モチベは上がった。やる気も出た。だからと言って不安が拭えたわけではなかった。他のビギナーがチーム練をしてる中ほぼ自主練しかしてなかった僕は再びオニキくんに〝勝てる気がしないんですけど〟と投げかけた。
するとオニキくんは
「このキャラの簡単で強い技を教えますね」とまさかの強い技というのを教えてくれると言う。
そうそう!そういうの聞きたかったー!と内心思ったが堅実な指導をしてくださるウメハラさんの手前冷静に無表情で「お願いします」と伝えゲーム機に向かった。
そこで教えてもらったのがしゃがみ大パンチからのしゃがみ大キックだ。僕はそれをただ繰り返し練習した。ウメハラさんはと言うと黙ってその練習を眺めている。

リーグの放送を見ている勘のいい視聴者の方ならお気づきかもしれないがこの時のこの練習、そしてこれを見ていたウメハラさんのアドバイスにより第2節、とんでもないドラマが巻き起こる。それについては第2節の話の時に語りたいと思う。

そしてついに第1節、試合の時間がやってきた。相手は豪鬼使いのイケメンモデル岬 康星君。彼はとても研究家で努力家でそして硬派な今時珍しいイケメンだ。こんな出来すぎるイケメンにはなんとしても勝ちたい!そんな思いで試合直前待機しているとウメハラさんから驚く指示がでた。

「ヘッドホンつけるのやめましょうか」

耳を疑った。ゲームの音聞こえないじゃん。しかしウメハラさんはこう続けた。

「試合中に指示を出すのでその通りに動いてください。とりあえずイーグルスパイク打っていきましょうか」

そんなやり方あり?!かなり動揺したがとにかく言われた通りやるしかないと思い気を落ち着かせる事に集中した。

ちなみにイーグルスパイクとは当たればとても強力な技で画面の端から端まで飛ぶことができるとても便利な技だ。なんだ、じゃあそれだけやってれば勝てるじゃんって思うかもかもしれないが初心者を抜けたあたりからこのような強い技にはみんな反撃を入れるようになってくるのだ。しかしウメハラさんとオニキくんはまだビギナークラスが反撃を入れるのは難しいだろうという読みだった。

しかし読みは外れた。一発目のイーグルスパイクで反撃を入れられてしまったのだ。焦るパイナポー。額から汗が、果汁がにじみ出る。すると真後ろから天の声が聞こえてきた。ウメハラアドバイス、ウメバイスだ。
「ダッシュイーグル」
ハッ!イーグルスパイクがダメならダッシュイーグルスパイクか!
ダッシュイーグルスパイクとはダッシュしてから繰り出すイーグルスパイクの事だ。同じ技名なのだがダッシュイーグルスパイクは普通のイーグルスパイクより反撃技を入れるのが難しいのだ。

それが見事に刺さった。終始ダッシュイーグルでアドバンテージをとり見事勝利を収める事が出来た。しかしその代償として第1節の放送のコメントでは
「こいつイーグルだけだな」
「イーグルナガシマ」
「イーグルas soon as イーグル」
などのコメントが鬼のように流れた。だがとにかく勝てて嬉しかった。

ビギナーの試合が終わると次はハイクラス。オニキくんの試合だ。オニキくんは19歳の未成年で収録がある試合経験はそんなにないせいか緊張が見えた。立ち上がりは悪かったらしい。僕が見てもプレイの事はよくわからないがそんな会話をしていた。
しかし後半調子を取り戻したらしくオニキくんも初戦を勝利した。チームメイトの試合を見るのがなんて心臓に悪いんだとこの時初めて知った。オニキ君の使うカリンの体力ゲージが減っていく度どんどん崖っぷちに追いやられるような感覚が襲ってくる。決着の瞬間まるで自分の試合が終わったかのように緊張から解放された。

さあいよいよ次はエクストリームクラス。ウメハラさんの番だ。

つづく

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