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景02、景03を観てきた感想

 古町にある「えんとつシアター」にて、劇団カタコンベ第67回公演「景02」「景03」を観てまいりました。「景03」は新作です。「景02」はちず屋の2階で公演されたものの再演です。私は見逃していました。

 転写、透過、切抜きなどデジタル処理された幻想的な不思議なチラシ。
 
 左、右、手前は上から下まで暗幕を張っており、出入り口が設けられてないように見える。舞台上には二つの正方体がある、座るには丁度良い高さに作られている。がらんとした空間がそこにはありました。

 暗転。第一幕「景02」。
 「ついた嘘つかずにおいた嘘を載せ肺の秤が釣り合う痛み」。
 どこかの国の戦時中のお話、二人の女性が一人の男性を待つお話。
 明かりが灯ると女性が二人。セリフを交互にやり合うことで物語が進みます。食い違いがあったり、役割が変わったり入れ替わったり、キツネにつままれたような感覚に陥りました。セリフは虚実ないまぜですが、演技は最小限にとどめている様に感じました。だからこそ、ちょっとした仕草や表情に惹き込まれてしまいます。

 第二幕「景03」。
 「水底で色とりどりに光るのは時の分岐に揺らぐゴースト」。
 割と未来のお話で、自分の複製を「システム」に置いておくとコピーが作れるようで、そのコピーらしい女性と、一人の男性のお話。
 ストーリーから押井守監督のアニメ「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」を思い出しました。コピーには、コピーだからこそ感情ではなくデータの蓄積から計算し出力されるものでしかなく衝動は生まれない、のですが…というお話と感じました。こちらも「景02」と同じく動きが最小限かなと。

 どちらも、動きが最小限で表情やしぐさ、ちょっとした機微を見せるような印象を受けました。それと、役者さんが舞台上から出たり入ったりしないなぁとふと気づきました。これは舞台の仕組みやお話の流れや役割りにもあるのかもしれませんが。役者さんが舞台上から出入りするだけでも物語性があると感じていたので目からうろこでした。私の観劇経験が少ないという事もあるかもしれません。なんというか、「能」っぽいなと感じるところもありました。歩みがゆっくりで最小限。身体性を感じない(?)といったら言い過ぎでしょうか。それだからこそ、少しの所作も魅入ってしまったのですが。

 お話はむずかしいですが、とても面白いと感じました。


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