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ベビー・ピー「ラプラタ川」を観た感想

 7月23日に千秋が原ふるさとの森 緑の広場にて開催されたベビー・ピー「ラプラタ川」を見てきました。テント劇場というのは初めてだったのでとても楽しみにしていました。

 ベビー・ピーは大地の芸術祭2018にも出演しており、そのときも場所を変えながら公演を行っていたようです。「ラプラタ川」公演でばったり会った知人が大地の芸術祭の公演を観てファンになり今回も見に来ていました。その気持ち、いまならわかる。


 普段は何もない公園に突如として現れる異空間。すぐに席に着くのはもったいないと思って一周ぐるりと回りました。さすがにテントの裏にある楽屋のほうは控えましたけれども、すでに衣装を着たり塗ったりしている役者さんもいましたので、お楽しみは劇中にとっておこうかとちょっと目をそらしつつ受付に行きました。

 なかなか賑やかな感じで、南米のお話みたいだからなんとなく陽気なんだろうな~と思っておりましたが…。

 お話は、ある人から受け取るはずのものが遠い異国に手違いで持っていかれたものを追っていく、と言う流れです。過去と現在、回想が交錯してストーリーが進んでいきます。場面転換がわかりやすくてお話の流れに追いついていきやすかったなぁと思いました。細かなところに工夫が行き届いている舞台でした。ヒモを上げたり下ろしたり、スマホでBGMを流したり止めたり、効果音はボイスパーカッションのように声で表現したり。仕掛けがうまく動かないときは劇の流れのほうを優先していました。

 なんか、いろいろ書いてしまった・・・。

 サンパウロからティエテ川を下りパラナ川と合流、エンカルナシオンにあるフィルムを手に入れる旅路です。グーグルマップでたどってみると川はクネクネ蛇行していて大変だったろうなと想像します。サンパウロからラプラタ川河口まで下ろうとすると3200キロあるそうです。信濃川で367キロだったりするので途方もない距離です。ラプラタ川には多くの支流が合流し、最終的にラプラタ川に流れ込むような形になっています。劇中でもそのように説明されていましたが、実際グーグルマップで川下りしているとどっちが本流なんだかわからないほど合流している個所もありました。

 グーグルマップ川下り、意外と楽しくてついつい2時間くらい経過していました…航空写真だとどこがかわなんだかわからなくて迷います。イタイプダムというダムの全部乗せみたいなダムがあるんですが、船を通すところがなさそうのでそこは陸路だったのかなと想像を膨らませたり。(あったらごめんなさい。)

 パラグアイの日本人移民を調べると宮内庁のウェブサイトが出てきてそのなかに劇中で出てきた地名も載っていて胸を詰まらせたりしました。


 お話の中で、利根川水系の支流の一つである小貝川がでてきます。そのあたりの風景がパラグアイと似ているらしいのですね。登場人物にしてみたらそれだけでも安心するようなところかもしれません。利根川にも支流が数多く合流していて、なんだかラ・プラタ川みたいだなと思ったり。

そいうえばこの緑の広場も信濃川のすぐ横にあったなと思い出したり。

 なんだかいろいろなことを考えてしまう公演でした。しかし観に行ってよかったなぁとも思いもしました。移民についても知りたくなりました。今ある風景はどういう経緯で顕在しているのか思い馳せるきっかけにもなったように感じます。

 公演が始まる直前にスッとたてられたフィルムのビデオカメラ。この小道具一つで、ステージ上の風景と客席とが地続きであると訴えかけているようにも思えました。
 劇後に打ち上げのようなものがありそれにもちょっとだけ参加させてもらいました。劇団の方とお話もできて楽しかった。2017年にフジフィルムスクエア写真歴史博物館で開催された「ブラジルの大地に生きた写真家・大原治雄」を思い出していました。都合がつかず行けませんでしたが…。

 劇団のかたが、移民4世(5世?)のかたをインタビューしたそうで、それがいずれウェブサイトのほうにアップされるという話もありました。インタビューするまでも、偶然が偶然を呼んだような形で実現したようです。スペイン語でインタビューしたのかな~と思って伺ったら、たまたまそこに言葉がわかる方がいて、じゃあ同行しよう、となったようなのです。

 いくつもの支流が一つに合流するラプラタ川みたいだな、とも思いました。

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