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木を切った感想

 新潟県の山北では「百姓やってみ隊」と言う活動があります。一年を通じて山北の文化にふれつつ畑をやったり山仕事、海仕事を体験してみるというものです。毎年募集していますが一応、書類選考(のようなもの)があるようです。

 というわけで林業体験です。
 万が一の状況を想定し、ヘルメットをかぶっての作業となります。切った時に自分のほうに倒れてきたり、枯れ木や枝が落ちてきたりと注意しなければいけないところがてんこ盛りだったりします。
 2019/8/1から、仕事でチェーンソーを使う場合ですと(雇用関係がある場合に)防護ズボン・チャップスが義務化になったようです。モンベルの「防護ズボンテスト」の動画を見ると着ていて損はないなと感じます。今回はノコギリを使って切るのでこういう装備は必要ありませんでした。

 今回はノコギリで、小径の木を間伐する作業でした。
 映画「WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜」で見たことある枝打ち梯子をナマで見れて良かったです(笑)
 最初は職人さんのお手本を見学、その後、各自チームを組んで実践と言う流れでした。合間合間に職人さんが見に来てくださって確認してもらったり「ここもうちょっとこんな感じにしたほうがいいよ」なんて教えてくださいました。

 チョークで印をつけてノコギリで切っていきます。
 チェーンソーだとすぐなのですが、ノコギリでやろうとすると重労働!押して引くを繰り返すだけなのですがこれがまたつらい、息が上がって仕方ありませんし、だんだん握力もなくなってきます。鍛え方が足りないのか…。

 だいたいこんな感じで教えて頂きました!
 一応、確認で調べてみたものも加えつつ。
 切り方もそうですが、重要なのは倒す方向です。倒れたときに他の木に引っ掛かる「掛かり木」にならないようにしなければなりません。掛かり木になると安全に倒すのに時間がかかりますし、何よりあぶない。意図しないタイミングで木が倒れてくることもあるので、見極めが肝心のようです。
 講師の方は「空の道」と教えてくださいました。上を見て枝の少ないほうに倒すようにすれば掛かり木になりにくいのだとか。

 介錯ロープを引っ張りつつノコギリを入れていきました。
 逃げる場所を確保してからロープを引っ張ります。一緒に引っ張る人とはどっち側に逃げるか相談してぶつかって逃げ遅れないように打ち合わせ。ある程度倒れてきたらロープを離して逃げます。上手に引っ張るとちょっと引っかかりそうな枝があってもスーっと倒れてくれるみたいです。基本的に何かやる時は周りの人に聞こえるように声を出して合図をします。安全に作業を進めるための連携プレイが必須のお仕事です。

 倒した木から切りだした「お皿」(と言い張ったもの)。でもこれくらいの太さなら皿とか、ちょっとしたまな板にもできたりするなと思ったり。できることが増えるって楽しい日頃、お金を使って物を買ったりしているのが常なのですが、こうやって材料から日用品を作ったりする機会が少なくなったなあと思います。

 ためしに一皮むいてみる我々。とてもきれいな素肌が出てきました。ちょっと湿り気もあります。形成層で栄養と水分を吸い上げているんだなあと実感した場面です。新潟市西蒲区の福井地区でも、樹皮を剥いだ木材を「磨き丸太」として加工していたようです。

 労働した後のカレーはおいしい!
 朝8時ごろからの体験だったので、早い時間にはメジロアブ(イヨシロオビアブ)がまとわりついて来たりと大変でした。車で作業場所に乗り付けると車にびっしりとメジロアブの大群がまとわりつくなど…。私は職員さんの車に乗せてもらっていましたが、自家用車で来られる方もいて車中に侵入したりとちょっとしたパニックになっていました。(自分の車で来なくてよかった…。)日も高くなってくるとアブも少なくなって作業も捗りました。ヒノキの香りも防虫効果があるようでそれもあったのかも?

 府屋海岸。講習の2週間くらい前に地震があった。集落内の建物の屋根にブルーシートが覆われていたりと爪痕が生々しい。

 林業体験は特にやってみたかったのでとても学びの多い体験になりました。森林ボランティアでも伐採作業があったようなのですが、最近では安全のためプロの方にお任せするようになっていたので実際の作業ができずにちょっとモヤモヤしていました。長岡市のほうでも伐倒とどの木を切るかという見立てを学ぶ講座もありましたが日時が合わず今年は見合わせることにしていました。

 林業を生業としようと思っているわけではないのですが、畑をやって田んぼをやって、そしたら山のほうにも目を向けたくなってきたという、ややミーハーな感じの動機ですが(笑)。しかし畑も田んぼも山も、どれも独立しているわけでなく、ちょっとずつズブズブな関係を保っているのですよね。そもそも田んぼの用水も川から引き揚げているのもありますが、山水だって混ざっています。その山水がホタルをはぐくむ水でもあるし鮭が帰ってくる故郷でもあるはずです。

 日暮れて道遠し。
 風通しや日光のための伐採も大切ですが、木を植えることもまた大切だと思うのです。体験の最中、職人さんのお話の中で、気が成長するのが50年くらいとのお話があり、普段の時間の感覚とは違うのだなと実感しました。当時に、将来に残せるものであるとも思いました。
 調べてみると、植林するならスギやヒノキなどの針葉樹だけではなく、ブナやクヌギなどの広葉樹も植えたほうがよいともあります。そうすることで植生が豊かになるんだとか。スギ花粉持ちでもあるのでそれには大賛成です。とりあえず、木の見分け方から覚えていきたいですね…。

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