世界の名ボクサー:ジェフ・フェネック②「オーストラリアのケンカ屋」

世界三階級王者。バンタム級王座防衛戦&二階級制覇。ダニエル・サラゴサ戦、スティーブ・マクローリー戦、サーマート・パヤクアルン戦、カルロス・サラテ戦ほかを紹介します。

ジェフ・フェネック(オーストラリア)
身長172cm:オーソドックス(右構え)

①ジェフ・フェネック 10R 判定 ダニエル・サラゴサ
(J・フェザー級戦、1986年)
(感想:IBF世界バンタム級王者フェネックがノンタイトル戦(86年初試合、プロ13戦目)。サラゴサ(メキシコシティ出身)は後にWBC世界J・フェザー級タイトルを通算三度獲得し、日本ボクシング界を翻弄したことで日本のファンにもおなじみ。メキシコ代表としてモスクワ・オリンピック(1980年)にバンタム級で出場(メダルは獲得ならず)。プロ転向。ハロルド・ペティ(アメリカ。当時の実力者。取りこぼしもあり、世界挑戦はできなかった)とは相性が悪く二連敗してしまったが、それ以外は負け無しでWBC世界バンタム級王座決定戦に出場。反則勝ちで王座獲得。その王座を初防衛戦でミゲル・ロラに奪われ(1985年)、その再起戦でフェネックと対決(今からするとかなり興味深いカード)。オーストラリア・パースでの一戦(この試合で使われたグローブは黄色。なぜかフェネックは黄色グローブをよく使う。王座奪取したときも黄色。験を担ぐタイプなのだろうか?)。サウスポーのサラゴサ(セコンドにナチョ・ベリスタイン)。リズミカルな動きから右ジャブ、左ストレート、右フック。フェネックはサウスポーは特に苦手としない。ジャブを連打しながら前進し、右パンチを狙う。互いにディフェンス。連打の勢いでフェネックが優勢か? テクニシャンのサラゴサは押され気味で、攻められてホールド。左カウンター、ボディ打ちを出すが、ローブロー。4Rには減点されてしまう。その後もサラゴサは左ボディからの右フックといった良いコンビネーション、左ストレートを出すが、タフなフェネックは止まらず。しかし、10Rにフェネックがヘディング(強い選手だが、こういうところがあったのが残念)。10R終了。判定は3-0。共にテクニックがあったが、身体全体のパワーでフェネックが勝利。その後、サラゴサは連勝してあのカルロス・サラテとWBC世界J・フェザー級王座決定戦(1988年)。これにTKO勝ちして以来、この王座の常連に。日本で畑中清詞、辰吉丈一郎、原田剛志を下すなど試合運びの巧さをファンに見せつけた。)

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