世界の名ボクサー:トーマス・ヒットマン・ハーンズ⑥「デトロイトの暗殺者」

80年代のスター。世界5階級制覇王者。世界&北米王座戦。フレッド・ハッチングス戦、ジェームス・シュラー戦、マーク・メダル戦、ダグ・デウィット戦を紹介します。

トーマス・ハーンズ(アメリカ)
身長185cm:オーソドックス(右構え)

①トーマス・ハーンズ 3R TKO フレッド・ハッチングス
(WBC世界J・ミドル級タイトル戦、1984年)
(ダウンシーン)
1R:右ストレート、左フックで2度、ハッチングスがダウン
(感想:ハーンズがタイトル防衛。これまで39勝(33KO)1敗の王者ハーンズ。「ヒットマン(狙撃手)」「モーターシティ・コブラ(「自動車の町デトロイト出身のコブラ」の意)」と呼ばれる強打者。ウィルフレド・ベニテスから王座を奪い、これが三度目の防衛戦。直前の試合ではあのロベルト・デュランを豪快にKOして王座を防衛。27勝(17KO)1敗の挑戦者ハッチングスはカリフォルニア出身。長身でスリムな体。アマチュアを経験し、プロ入り。デビュー五戦目で黒星を喫してしまったが、カリフォルニア州ミドル級王座を獲得。カークランド・レイン、バスター・ドレイトン(後、IBF世界J・ミドル級王者に)に勝利するなど連勝中。連勝の勢いに乗って初の世界挑戦。ただ、長い腕から繰り出すジャブ、ストレートを得意とするが、「パンチが軽い」という評価も。アメリカでの一戦(試合の一週間前に会場が決定。ローカルな場所で行われた)。共に長身でジャブを使うタイプ。しかしながらパワーに大きな差が。1Rからハーンズが猛烈な連打で攻め、二度のダウンを奪う。ハッチングスはジャブ、ストレートで何とか抵抗。3R、ハッチングスはハーンズの攻めにやや慣れてきた感じだったが連打を浴びて劣勢に。セコンドがリングインして試合終了。この試合のハーンズは「ヒットマン」というより「マシンガン」といった感じで、連打の勢いが凄まじかった。惨敗のハッチングス。相手は全盛期で最も強かった頃のハーンズ。この敗北は致し方ないといったところ。その後、ハッチングスは韓国遠征で白仁鉄に9RでKO 負け。負けが込んでいき、結局、世界王者になれず引退。パンチが軽かったのが原因と思われる。)

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