経過観察(術後31ヶ月)/昨日のことを思い出していた

寝不足からくるだるさでなかなか動き出せず。夫のいびきがしぶとくて、何度も目をさましたのだった。今日が休みで本当によかった。

昨日のフレンチトーストがおいしかったので、冷凍庫の残りのバゲットを昼食用に卵液に浸して、洗濯など他の家事をする。
午前中のうちに動き出して、夕食用の買い物などできればよかったがかなわず。だらだらとテレビを見たりしているうちに午後になる。クリーニングに出していたコートを受け取って戻ってから外出。

15:30、定期検診のために大学病院に到着。思ったより気温が高く、駅から歩く間に汗ばむ。前の時間帯の診察がずれこんでいるのか、なかなか呼ばれない。呼び出しをする若い医師たちの声が複数重なって聞き取りづらい。別の呼び出しの声が聞こえている2秒くらいの間を待って呼べばいいだけなのにな。聞き取れないような早口でがなりたて、「よびだした」という事実だけを残しているみたいな若い男性医師もいて、ここはそこそこ重めの患者が集まる腫瘍外来だったよな…と思ったりしているうちに45分経過。
診察室に呼ばれ、いつものように若い医師の視診、触診、問診の後、主治医による同様の診察。いずれも異常なし。上顎の違和感を若い医師に伝えると、硬口蓋と軟口蓋の境目あたりの部分なのでそういうものだとのこと。主治医の診察の終わりに、私の初期のがんになるまでどれくらいかかるものなのかと聞いてみた。「そんなこと聞かれたこともないし、答えたこともないから、答えを持ち合わせていない」というような意味のことを、背を向けたまま言われる。「そんなわけないだろ」と思いながら絶句しつつ、「へー、そういうもんなんですかー」「年単位とか、そういう感じなんですかね」とことばを継いで、医師の沈黙を黙って待ってみた。その間、医師がカルテを打ち込むモニターに向かい、過去の画像データをさらっているのが見えた。くるりとこちらを向き直った医師によれば「何をもって始まりとするかも定まっていないし患者によって違和感を感じる時期、病院に来る時期もいろいろだからなんともいえない」「人によっては一月でみるみる大きくなる人もいるけど、白板症の患者はがん化を見落とさないように3ヶ月に一度は来てねって言う」とのこと。
主治医が忙しくて答える時間がもったいないと感じるのか、パーソナリティーの特性なのか、よくわからないけど、この類の質問は地元のK医師に聞いた方がよさそうだ。
とりあえず、これで術後2年7ヶ月。折り返し地点は過ぎたことになる。

予定より遅くなり、夕方の鍼の予約に遅れて到着。時間を短縮してやってもらう。
うなぎ屋の店先で安売りの小さなうな重弁当を買い、弁当用の野菜や肉を買って帰宅。

今日は、気づくと昨夜の濃密な時間にまつわるあれこれを反芻していた。
・他者をわかるなんてことは不可能で、だけどその前提に立てば、他者を理解しようとする姿勢は持ち続けられる。
・傷ついた者、押さえつけられた者がさらに別の誰かを傷つけたり押さえつけたりすることは、おそらく世界中でありふれた構図で、うんざりする。私だって意識的・無意識的にその構図に加担していることもあるだろう。以前、小説家が「これが人間というものなら、人間でいたくない気分」と話していた、そういう気分になる。
・私の日常を見渡すと、生身で触れるこの社会の「底」の情景、メディアを通じて流れ込んでくる膿んで腐ったような世界、あちこちの断絶、どれもこれもにぶすぶすと怒り続けていて、怒り続ける疲れに自分が蝕まれているような気がしてくる。そのこともまた腹立たしい。できるだけ機嫌よく生きていたいのにな。

昼/フレンチトースト、紅茶
おやつ/ドライフルーツ、ナッツ
夕/豚しゃぶ、湯通しキャベツ、うな重弁当

ほとり日記(hotoridiary.hatenablog.com)より転載

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?