2016年6月 支援団体のプログラムに参加する

6月初め、がん患者と家族向けの支援団体が行う自律訓練法プログラムに参加。
事前のメールでのやりとりの中で、少し早めにいけば団体の活動の説明もしてもらえるとのことだったので、30分早く行って話を聞いた。

男性医師を相手に、自分の状況や参加の動機を話したのだが、自分の意思と関係なく少し泣いてしまい、やはり不安定なのかと感じる。
男性医師がたまたま歯科医だったので、口の乾きを感じることが多いと話すと、自律神経のバランスの影響もあるのでは、とのこと。副交感神経が優位であればさらさらの唾液、交感神経が優位だと粘りのある唾液が出るので、緊張感が高まると口の中が乾く感じがするのだそうだ。副交感神経が優位だと免疫力が高まることも教えてもらった。

団体の運営には、医師、看護師、精神保健福祉士、臨床心理士など医療系の専門家がボランティアで関わっている。所定の会費を払えば、部位別、再発者用など、医療相談も含めたさまざまなプログラムに参加できる。会費は月400-500円程度。
海外にいくつか拠点があり、珍しい場所にも拠点がある。活動の創始者はホロコーストのサバイバーだった。

自律訓練法の講座は臨床心理士の講師によって進められた。
私以外には3人が受講し、全員がん患者だった。
講座が始まるときに、簡単な自己紹介をする。私は今日参加しようと思ったきっかけを話した。「もともと緊張感が高い方ではあったと思う。手術は終わってるのにいろんな不安が重石みたいになって、自分のいろんないやな部分を増幅させているような感じ」と話すと、年配の女性が一言「わかる・・・」と言ったのが強く印象に残っている。私を力づけるためというよりは、本当に心当たりがあって、つい口から出てしまった、というような感じ。おつきあいでいっている感じもしなかった。
その女性のことばや発したときの雰囲気に、この人も同じ道を通ったんだな、という実感を得て、つきものが落ちるような感覚が少しだけしたのだった。自助グループの意義はこういうところにもあるのだろう。

1時間の講座は、静かな落ち着く雰囲気でゆったりと進んだ。終わる頃には少し眠くなった。
自分だけのために時間を使い、他のことは極力考えずに今ここにある自分の体に意識を向ける、という感覚を始めて味わった。自分でやれるようになるには訓練が必要そうだ。
小さな不調はいろいろ感じてはいたけれど、さまざまなプログラムを継続的に利用する状況ではまだないと思っていたので入会申込はしなかったが、「いいところにつながれたかもしれない」「何かあったらここにくればいいかもしれない」とほっとした気持ちになった。

午後から仕事に行き、仕事帰りに夫と会い、家まで長く歩きながら話した。
・5月末に過呼吸を起こし、それまでの数々の小さな不調(長引く風邪やリンパ節炎など免疫力の低下、2ヶ月近く続いた咳、胃腸炎、めまい、冷え、寒さ、頭痛、不眠、極度のいらいら感など)も含めるとどれもこれも自律神経系の症状で、どうにかしないとと思っていること
・極度のいらいら感やその他のことで、夫に迷惑をかけていて申し訳ないと思っていること
・症状の大元には病気の後の大きな不安感があると思われ、そちらもどうにかしないといけないと思っていること
・がんを経験したことに起因する不調・不安感だと思うので、一般的な精神科に行くよりは、がん当事者のサポートプログラムに参加した方が、早くピントのあったサポートが受けられると思っていること
など、直近の心境を伝えた。
夫からは、信頼できる友人たちと会って、おもしろそうな人がいたら会わせてもらったら?とアドバイスされたけれど、外からのあらたな刺激に反応できる状態ではなかったと思う。
今振り返ると、しんどいと思いつつもやりすごしてきた「時間」が一番の薬だったように思う。
もしもこの不安感について病院に行くのであれば、精神腫瘍科に行くという選択肢もあったとも思うけど、そもそも「がん自体はもうなんともないのに、いつまでもぐずぐずと不安なきもちを抱えているなんておかしい」というきもちが拭えないでいた。なので、こんなことで病院かかるなんて、とか、こんなことで病院かかったって意味ないんじゃないか、と思っていた。
もしも他人が同じような不安感を訴えてたら「そんなこともあるよね」「自然なことじゃない」と声をかけると思うけど、自分に対しては言えなかったな。

結局、自律訓練法のプログラムに参加したのはこのときだけだった。
この後も不調やイライラ感は続いたけれど、「またあれぐらいしんどくなったらあの団体につながればいい」と思えたことは大きかった。

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