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合同会社型DAO vs. FiNANCiE: 組織形態・立ち上げコスト・収益分配での比較

トークン発行による資金調達という観点では、「合同会社型DAO」 と 「FiNANCiE」は類似するところが多いです。

「合同会社型DAO」と「FiNANCiE」については以前のブログで解説しているので初見の方は一読いただけると幸いです。

今回は、トークン発行という観点で類似する2つの組織形態「合同会社型DAO」 と 「FiNANCiE」の良し悪しを比較してみます。
web3界で活動する方やこれからweb3事業に参入する方は、将来の組織運営の形の参考にしていただけると幸いです。


DAO(分散型自律組織)とは何か?

DAO(Decentralized Autonomous Organization)は、ブロックチェーン技術を活用して分散型の組織運営を実現する新しい形態です。この組織形態では、組織の意思決定や運営がトークンホルダーによって民主的に行われ、伝統的な上下関係に依存しない柔軟な運営体系を提供します。
こちらは以前、DAOについてまとめた記事です。

また、トークン発行型クラウドファンディングの「FiNANCiE」については、過去にまとめていますので合わせて読んでいただけると幸いです。

合同会社型DAO vs. FiNANCiE:どちらを選ぶ?

では、本題の「合同会社型DAO」と「FiNANCiE」の比較に入ります。
合同会社型DAOとFiNANCiEを比較すると、両者のアプローチには顕著な違いがあります。FiNANCiEはトークン発行によるクラウドファンディングモデルであり、速やかな資金調達とコミュニティ形成を可能にしますが、一方でプラットフォームへの依存度が高く、長期的なプロジェクトの持続可能性には疑問が残ります。対して、合同会社型DAOは、法人としての安定性と分散型組織の利点を併せ持ち、中長期的なプロジェクトに適していると言えます。

立ち上げコスト

FiNANCiEの最大の魅力はその手軽さです。審査を通過すれば誰でもトークンを発行でき、売上の8%のみを手数料として支払うシステムは、特に小規模プロジェクトにとって理想的です。しかし、このプラットフォーム依存性は、法的な保護や公式性の欠如という大きなデメリットをもたらします。
一方、合同会社型DAOの設立は、登記や定款作成など、初期投資が大きくなります。法的な保護と信頼性は高いものの、このプロセスの複雑さと費用は、特に小規模なプロジェクトにとっては障壁になる可能性があります。

運営コスト

FiNANCiEはコミュニティ機能もあるため運営面でも手軽さを提供します。しかし、プラットフォームのルールに従う必要があり、FiNANCiEサービスの終了などのリスクも考慮する必要があります。
合同会社型DAOの運営では、コミュニティ立ち上げはもちろん、事務所やサーバーの費用、顧問税理士の費用など、運営に関わるコストが発生します。また、法人税も赤字であっても発生するため、長期的な財務計画が必要です。しかし、これらのコストは、プロジェクトの透明性と信頼性を確保するための投資と考えることもできます。

収益分配

FiNANCiEにおけるトークンは、市場の需要に応じて価値が変動し、キャピタルゲインを目指す投資家にとって魅力的です。しかし、このアプローチは市場の変動リスクに直面し、プラットフォームに依存する限界があります。

合同会社型DAOでは、出資額に応じた収益分配が可能なため、インカムゲインを得ることも可能です。しかし、「その他の社員」の場合は上限が設定されているため要注意です。これは、投資家に対して安定したリターンを提供する一方で、大きなリターンを望む投資家には不十分かもしれません。しかし、ブロックチェーン上で管理されるNFTは、プラットフォームに依存しない安定性を提供します。
どちらを採用すべきか?

ビジネスモデルの選択は、時間的なスパンと目的に大きく依存します。短期的な資金調達を目指す場合はFiNANCiEが適していますが、長期的な安定と成長を目指す場合は合同会社型DAOが適切な選択となります。最終的には、ビジネスのビジョンと戦略に基づいて、最も適した道を選択することが重要です。

まとめ

合同会社型DAOとFiNANCiEは、トークン発行という観点では類似していますが、それぞれ異なる仕組みで成り立っています。
合同会社型DAOは、法的な保護と安定性を重視する長期的なプロジェクトに適していますが、初期投資と運営コストが高くなりがちです。
一方でFiNANCiEは、手軽さを重視する短期的なプロジェクトに最適ですが、市場リスクとプラットフォーム依存性が主な懸念点となります。
「あなたの所属するweb3コミュニティは、将来の組織運営の形はどう進化しますか?」
選択にあたっては、”目的”と”手段”が逆転しないように慎重な検討が必要です!
今回も最後までお読みいただきありがとうございます。

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