狭い空間。暗い箱。座り心地の悪い椅子。消えていく時間感覚。徐々に痛む足。皆、映画を見るか、眠るか、ゲームをするか、スマホを眺めている。

そう、ここは飛行機の中である。

とある外国に行くために乗っている。
世界一無駄な時間。何もすることがない。

モニターから備え付けのヘッドホンで音楽を流す。知ったアーティストがいくつか見られる。選んだのはちゃんみなのハレンチ。ハスキーで艶やかな歌声がとても心地がいい。
まだ日本を出てから四時間程度。まだ先は長い。全くもってやることがなさすぎて驚く。

今回は目的地の兼ね合いで、機内に乗り込み程なくして眠り、一時間半程で目を覚まし、まあまあな味の食事を終え、真っ暗な機内で眠らずこれを書いている次第だ。別に眠かったから乗ってすぐ眠ってしまい、今眠くないという事ではない。

大切なことだからもう一度記すが、断じて眠れなくて困っているのではない。することがなく暇なのだ。そこ、「本当かどうか怪しいぞこいつ」とか言わない。

映画を見てもよかったのだが、どうしてもそんな気分にはなれない。映画を見るなら音楽を聴いていたい。しかしBluetoothイヤホンしか持っていないものだから、備え付けのヘッドホンを使うしかない。もれなくスマホの中の音楽は楽しめない。Wi-Fiもないためゲームもできない。座席のタブレットでゲームを開くともれなく音楽が止まる。鬱陶しい。

音楽の選択肢があまりに少ない。どうせなら普段聴かないものを、と思ったがなぜか浜崎あゆみと倖田來未ばかり。確かに良い曲が多いが一体誰のチョイスでこうなった。

気になる人がいるかどうか分からないが、国際線と言えば機内食だろう。この旅の選択肢は、

①魚　②鶏　③パスタ

の三択。
火の通った魚が苦手なので①はなし。鶏肉は好きだがもしかしたら米が入っているかもしれない。白米が苦手なのだ。なので大事をとって②もやめておく。前世はイタリア人なのではと言われるほどパスタ好きな人間なので③で問題はないはず。
ということでパスタ。謎のナッツ、ほうれん草、しめじの入ったチーズ味のパスタ。螺旋状のマカロニというのだろうか。好きな味だったが付け合せが合わない。パン、マーガリン、玉ねぎ入り激辛素麺、抹茶杏仁豆腐。見るからに三択のどれを選んでも合わないだろう……

お手洗いに行こうと一人並んでいたらCAさんに話しかけられた。英語は分からないがそれとなく返す。拙い英語で日本人だと伝えると、そのCAさんが韓国人のCAさん（とても美人なお姉さんだった）にあなた日本人？違う？と話かけた。彼女は「自分は日本人ではないが少し日本語が話せる」と、私に日本語を披露してくださった。
「コンニチハ」「コンバンハ」「アリガトウゴザイマス」「スミマセン」
一通り挨拶してにっこりと笑った後、もうひとつある、今思い出す、と少し沈黙。そして、
「ワタシの、タンジョウビは、イチガツトオカ、デス」
まさかの個人情報。お姉さん、来年のお誕生日はゆっくり行きたいところで休めますように。

いつも以上にダラダラした文章、飛行機のだらけた時間に書いているから仕方ないということにしておいて欲しい。

それにしてもあと五時間半。永遠にnoteを書くか？小説を書く気分でもない。ぼちぼち映画でも見てのんびり身体を休めるしかなさそうだ。