ウェブデザイン

ウェブデザイン(web design)とは、インターネット上のウェブサイトを視覚的に構築するデザインのこと。グラフィックデザインのカテゴリーに分類されていますが、ただ単に視覚的に美しいだけではなく、伝えるべき情報が整理したり、ページからページへのリンクをつなげていくことでユーザーが求める情報をできるだけ短時間で簡潔に提供できるような情報デザインの要素も持っています。

また、ウェブサイトを実際にユーザーが「使う」という点においては、インダストリアルデザイン(興行デザイン)の要素も持っています。このことから、ウェブデザインはただ単に視覚的にバランスが良いデザインを構築するためのセンスを持っているだけでは不十分で、多角的な要素に配慮できる幅広い視野を持ってデザイン制作を行う必要が出てきます。

個人的な印象でいえば、インターネット普及期である2000年前後には、「美大出身の人間がウェブデザインをすると、視覚的には綺麗なだけで使いにくく、役に立たないデザインになる」とウェブデザインの世界で言われていたような気がします。当時はまだウェブデザインの考え方が美大出身の人間によく理解されておらず、グラフィックデザインの要素だけで考えられたウェブデザインが美大出身者のウェブデザインとして目立ってしまっていたために、このような言われ方をされてしまっていました。

しかし現代では、ウェブデザインを取り巻く状況は、インターネット普及期とは大きく変化してきています。インターネット回線の高速化により、大容量のファイルのやり取りが容易になったり、動画をウェブデザインの要素に取り込むこともできるようになってきています。また、カーソルの位置や動きに合わせて画面を変化させる技術も年々充実してきており、ウェブデザインはさらに複数の複雑な要素を持つものになってきています。

現代においては、個人でウェブデザインを全て構築する例はかなり少なくなっており、ほとんどの場合は特定のスキルに特化した個人が集まって、グループワークとして制作を行っている例がほとんどです。また、html言語やcss、javascriptといった以前では学習することが必須だったウェブサイト構築のための言語は、ウェブサイト構築のためのアプリケーションが視覚的に置き換えてくれることがほとんどとなってきています。

その一方で、視覚的要素をプログラミング要素の視点から考え、美しいビジュアルを単なる画像ではなく、スクリプト(言語的要素)によってクリエイティブに生み出す人たちも増えています。

いずれにせよ、ウェブデザインの世界は以前とは大きく異なってきており、ウェブデザインに必要なスキルのいずれかに特化したスキルを持つ人材が高く評価され、求められるようになってきている、といえるでしょう。

この分野を目指す美大受験生が受験する大学・学科

この分野を目指す美大受験生が受験する大学・学科としては、多摩美術大学(グラフィックデザイン学科、情報デザイン学科情報デザインコース、情報デザイン学科メディア芸術コース、統合デザイン学科、芸術学科)や武蔵野美術大学(視覚伝達デザイン学科、基礎デザイン学科、デザイン情報学科、芸術文化学科)があります。

多摩美術大学のグラフィックデザイン学科や武蔵野美術大学の視覚伝達デザイン学科は一番人気の科ですが、ウェブデザインという視点で考えたときに志望するべき学科は、本質的には多摩美術大学の情報デザイン学科情報デザインコースや武蔵野美術大学のデザイン情報学科です。また、多摩美術大学の情報デザイン学科メディア芸術コースは、ウェブデザインの表現の可能性を追求してみたい受験生には、かなり魅力的な学科であるといえるかもしれません。

多摩美術大学の統合デザイン学科や武蔵野美術大学の基礎デザイン学科は、幅広いデザインの分野を分析するという意味においては、ウェブデザインにつながる要素を持っています。多摩美術大学の芸術学科や武蔵野美術大学の芸術文化学科は、インターネット上の情報アーカイブをキュレーションしたり、情報の整理とプロデュースに特化して考えたい場合には、ウェブデザインに結びつけられる要素を持っています。



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