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父親の目と50mmレンズ

カメラを持って相変わらず街をぶらぶらしています。とはいえ年末年始は仕事も忙しく、なかなか街中にカメラを持ち出すようなことができませんでした。

かわりに増えたのは家族の時間と写真。

先日も娘2人連れだして、吉祥寺の動物園に行ってきたのですが、レンズ選びに失敗したというか、気がついたことがあったので共有です。

50mmは万能なのか?

一緒に動物園に行った子供の年齢は4歳と1歳。元気いっぱいに歩いてくれるので、こちらも目が離せません。どこかに行ってしまわないように、また転んでしまったり、誰かにぶつかってしまったりしないように常に目を配ります。

大人2人、或いはもうすぐ小学生になるお兄ちゃん(6歳)がいれば協力して面倒を見ることが出来るのですが、残念ながらお兄ちゃんはインフルエンザに罹患してしまったので自宅待機です。妻はお兄ちゃんの面倒を見てくれています。

そもそも歩き回る子供2人の面倒を一人で見ている時くらいはカメラなんて置いてくれば良いのに、性懲りもなく持ち出してきてしまいました。

レンズはいつもの50mm。これで何でも撮れると思っていたのですが、上手くいきません。そもそも50mmの画角に2人をおさめるためには、一定の距離が必要です。

少し離れて写真を撮るか?無理です。
だって突然走って転んだり、奇想天外な動きをして何か起こるかもしれません。手を伸ばせば届く距離にいる必要があります。

50mmは狭いのか?広いのか?

帰り道に思いました。もっと広角気味のレンズの方が良かったと。

せっかく動物園に来ているのであれば、背景も含めて思い出の写真としておさめたいところ、距離をとって撮影するのは怖いので、ムダに寄りまくった写真しか撮れないです。

親の目を拡張するには50mmというレンズは狭すぎです。

広角気味に、周りから人や自転車、車が来ていないか見ながら、子供たちとの距離もそんなにあけられない。たくさんの情報をさばく必要があるのに子供ばかり凝視していられません。

そういえば50mmのレンズを解説した本や雑誌では、被写体をぐっと注目したときの人間の目くらい、と表現されることがあります。このタイミングで、そういうことだったのかと実感してしまいました。

つまり場面によっては、父となった自分にとって50mmは狭いレンズです。

50mmは彼氏の目

だとすると50mmってどういう画角なのか、と考えてみたら、彼氏の目かなと感じました。

付き合った彼女のことをもっと良く見たい、背景なんてぼやけてて良いから、彼女を際立たせた目で見たい、って思っている人の目なんだなと思います。

ずっと50mmが好きでした。Canon EF50mm f1.2の写りは大好きで、Leica summilux-M 50mm f1.4も常用レンズとして使っていました。

とりあえず50mmがあれば何でも撮れると思っていたのですが、50mmは他のものは要らない、あなた以外、目に入らない、という焦点距離だと思います。

そういえば、子供が生まれるまでは、妻や友人だけにフォーカスを当てた写真がほとんどで、これ何処行ったときだっけ、という写真が多いです。「誰といたのか」を中心にした時に最適なレンズは50mmだと思います。

親の目は28mm

今はスマホで写真を撮っている方が多いですが、スマホの標準レンズは28mmくらいです。RICOH GRⅢやLeica Q2と同じ焦点距離です。

ズームもできますが、写真を撮るときに子供だけに注目できることはまれですし、設定をじっくり変更するなんてことはできないため、パッと出して、サッと撮影することが必要です。

相手のことだけを見ている状態から、子供の目の代わりもしなければいけない。でも子供は可愛いので、しっかり記憶に残したい。親の目は忙しいです。

どこで、何をしたのかを記録する、子供が小さい親の目はきっと28~35mmくらいのレンズが適切なんだと思います。

目の機能を拡張するカメラとレンズ

カメラやレンズは自分の目の機能を拡張するための道具だと思っています。以前は、このレンズやカメラを使ったら、どんな写真が撮れるかな、やってみよう!という気持ちが大きかったのですが、一通り経験してみてわかったことです。

僕自身は頑張らないと撮れないような写真を求めているアートな思考は持ち合わせていないことに気がついたため、いつか写真を見返して、思い出を蘇らせる媒介としての役割があれば良いと考えています。

趣味として記録、記憶に残していくのであれば、今見ている景色がどのような見方をしているのかに気づき、カメラやレンズを選ぶと、単純にカメラが楽しめるのでは、と思いました。

カメラをはじめてみたけど、あんまり楽しくないな、とかやめようかな、と思っている方がいれば、自分の普段のものの見方を意識してみると、楽しむきっかけになるかもしれないです。

一緒にカメラを楽しみましょう!


50mm
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