ブレーキの壊れた車に乗っている
脳は衝動を抑えられない
何度衝突しても
理性は大破した体の前で立ち尽くす

沈みゆく船に乗っている
バケツでいくら掻き出しても
溢れる水に溺れかける
足のつかない場所で泳げやしないのに

孤独を誰かと分かち合えるはずもない
眠れない夜に出会う眠れない誰かの
力なく放つ蛍のような光は
白んでゆく朝のあわいに溶けてしまう

ストックのポカリスエットを開けた
熱があるみたい
体はSOSを出すけれど
心の救難信号の出し方をまだ知らない

生きることが何かのレッスンだとしたら
どうしてこんなに過酷なのだろう
心を軽くしようとすればするほど
重荷が増えてゆくのはなぜ

自分の愛し方を
誰から学べばいいのだろう
自分への期待を
どう手放せばいいのだろう

傘を探して
旅に出た
花に出会って
微笑んだ

鍵があるのに
扉はない
迷路のような
一本道

小さな一歩を
諦めず踏み出し続ける
夢は醒めてしまっても
朝が来るたび生まれ変われるはずだから