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2023 吉田寮 ヒッチレース

京都大学吉田寮ヒッチレースに参加した。
自分のようにヒッチレースに参加したいと思っている人の参考?になればと思います。

僕は都内大学生4年。コロナで1.2年の楽しみが消えた分、漠然と就活を終えた残りの期間は学生でしかできないことをやりたいと考えていた。
ある日京都大学の寮について調べる機会があり、このヒッチレースについて知った。参加条件は寮祭開催日の0時に吉田寮に居ることのみ。
ルールは簡単である。吉田寮でくじを引き、振られた番号のドライバーの車に目隠しをして乗り、降ろされた場所から無一文でヒッチハイクのみで吉田寮に帰ってくる。ただそれだけ。僕はシンプルすぎて逆に狂気じみたこのレースに参加したいと思った。

当日、僕は大学の友達の後輩と行くことになって向かった。2人でドキドキであり、直前でビビっていた。到着後0時に寮祭開始のコールを行い、すぐに食堂に収集され、人数整理、ルールの説明が行われた。僕らは無一文でいくと言うことで何かあった時用の少しながらのお金と緊急連絡用スマホに身分証の写真を持って参加した。くじを引き、各ドライバーのいる場所に集合し、車に乗った。(この時点で後輩とさよなら)僕の車はトヨタのプロボックスのマニュアルであり、車好きの僕からするとマニュアルに乗る人はドライブが好きでどこか辺鄙な場所に連れて行かれるという印象を受けた。寮から一番近いコンビニで目隠しとスポドリを支給されそこから商用車の人権のないリアシートで7〜8時間近く軟禁された。しかもリアシートには身長180cm越えが3人乗り、なかなか寝れない。前日深夜バスで寝れていないのでなかなかきつかった。今年は高速代が出ないようでドライバー自体も下道をえらい速度で飛ばしていた。

僕が2番目に降りることになったが、日の昇った時間が京都より早い。東に向かっているのではないかと言う憶測が目隠しをされた車内でされ、さすが京大生だなと感じた。1番目は通行止めの道の目の前で降ろされた。僕は少し焦った。最初の人が降りてから1時間半ほど経ち、7時半ごろに僕は呼ばれて降りた。

降りた場所の情景


見えた景色はどう考えても主要道路が見えないただの村道。助かったのが少し先に民家が見えたということである。7時間ほど軟禁されたプロボックスを見送りまず民家を目指し、民家にピンポンをくり返す。小集落の最後の一軒で住民が出てきてくださり、事情を説明したが、呆れていた。たしかに普通の人からすると理解し難い企画なのは百も承知である。その方に今いる場所を聞いた。僕自身はバイクで全国を旅する趣味があるので地理には比較的強いと思っていたが知らない、長野県売木村というところでどうやら降ろされたらしい。
運良く、近くの道の駅までならと送ってくださることになった。ここで一つの重大な選択を迫られる。売木村の周りには主要国道が2本あり、一つは愛知県豊田市に抜ける国道。もう一つは愛知県豊橋市に抜ける国道である。僕はここで少し迷ったが、豊橋から名古屋市内に抜けるのはなかなか距離があると予測し、名古屋市に近い、豊田に抜けていく道の駅を選択した。これが正解だった。(と思う)おろしていただいた道の駅は信州平谷ひまわりの湯というところである。そこで乗せてくださった方にいただいた段ボールに京都方面書き、来る人に聞いたがなかなか捕まらない。加えて交通安全週間なのか警察もおり、自由に動きにくい状態であった。よく考えると今日は土曜の朝。国道は豊田の市街地から飯田市の田舎に抜ける道。レジャーや観光の人が名古屋方面からたくさん来るのである。豊田に向かう人はほぼ皆無で希望が薄れた。しかし1時間ほど粘るとヒッチハイクは立ち位置が一番大切だよと教えてくださる初老の方がアドバイスをくださり、アドバイス通りに道の駅ではなく豊田方面の道に立とうとしたときに、その方が、隣の道の駅なら連れて行ってやると仰ってくださり、乗せてもらうことに。車内で話を聞くと飯田市の方で定年後、日帰り温泉を巡り楽しんでいるとのこと。たまたま居た道の駅は温泉のオープン時間にまだ時間があるから、とのことだった。隣の道の駅は念願の愛知県。稲武町というところであった。車内の会話が弾み、豊田市まで連れてってくださることになった。稲武町の道の駅でウインナーをご馳走になり、豊田へ向かいそこで讃岐うどんをご馳走になった。その方は光学系の会社で働いていたこともあり自分の理系の会話で盛り上がり気づけば春日井市のインター前まで乗せてくださることになった。非常にありがたい。3時間ほどご一緒させてもらった。

しかし、順調なのもここまで。昼過ぎ1時から2時間ほど春日井インターの上下線入口前で粘ったが、県外ナンバーは皆無で春日井、尾張小牧、岐阜ナンバーが9割でなかなか捕まらない。そこで僕は京都方面ではなく一番近く拾いやすいという尾張一宮PAに妥協。看板を書き、30分ほど。日が暮れ始めた頃に岐阜ナンバーのシャコタンプリウスが止まってくださった。その方々は岐阜の多治見に住む20歳2人組で乗る車の印象とは逆でとても優しい人たちであった。年的には後輩であるが、せっかくなのでということでPAでドリンクをご馳走になり、ここまでしか来れないですけどと言われ去って行った。自分としては車でたかが15分程度の距離だが3時間待った春日井を突破できたのは大きい進歩であった。

思ったより、尾張一宮PAは全然車がいない。しかし、少しばかり関西方面の車はいたので止まったら声をかけるスタンスでいた。ちょうど30分程度で神戸ナンバーのご夫妻にとりあえず西に向かえばええんやなとおっしゃっていただき、同乗した。ご夫妻は軽井沢でのゴルフ帰りで芦屋住み。東京に住む僕でも西の芦屋、東の田園調布の言葉通り、このご夫妻がお金持ちのであることは容易に予想できた。話を聞くとフェラーリを持っており、自分のような汗臭い朝からヒッチしている20代男性を本革シートの外車に乗せてくれる寛大な心に感謝しかない。そのご夫妻に大津SAか桂川PAでおろしてくださいと伝えた。(京都市内の手前で一番大きい大津SA。市内を通り過ぎたところにあるのが桂川PA)しかしご好意により、京都東ICで一度高速を降りてもらえることに。非常にラッキーどころではない。京都東で下ろしていただき、最寄駅からヒッチ中にいただいたなけなしのお金で電車に乗り吉田寮へ、帰寮した。
吉田寮を出て20時間。スタート地から13時間で帰寮することができた。
自分は7番目に帰寮。共に参加した後輩は白川郷で降ろされ1時間近く自分より早く帰寮。

ラッキーであった。今年は去年以上に距離インフレが起きており、降車地が北海道からの四国まで広く分布しており、佐渡島や大島などレーサーもいた。自分であったらどう切り抜けただろうと思っていたが、実際、ヒッチレースを終えた今。意外に行けるんじゃない?帰れちゃうでしょという長野が行ければ全国どこでも行けるやろという怖い思考回路になっているある意味麻痺である。今回初めての参加で財布とスマホを持っていくことを非推奨するというアナウンスでびびっていたが、制限を課すのは自分でいいらしい。降車地での観光を楽しむためにお金の制限をかけなかった人もいるし、何も持たずに挑むレーサーもいた。
来年は社会人だけどまた行きたいな。
後輩ちゃんが居なければびびって行けませんでした。マジ感謝

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