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神戸からのデジタルヘルスレポート #39 (Alto/Satsuma/Revolution Foods/Aduro/Future Family)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

今回は第39回です!
元気にデジタルヘルススタートアップを紹介していきます:-)

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1. Alto:処方薬のオンライン販売

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企業名:Alto
URL:https://www.alto.com/
設立年・所在地:2015年・サンフランシスコ
直近ラウンド:Series D(2020年1月)
調達金額:$356M(Softbank vision Fund など)

Alto Pharmacyは、処方薬のオンライン宅配サービスを提供するオンライン薬局。話題のオンライン服薬指導ど真ん中です。

専用の無料アプリから処方箋をアップロードしお届け日を設定すれば、そのまま処方薬が自宅に届きます。チャット形式で、薬剤師に薬の相談をすることも可能です。HIVから不妊治療、皮膚疾患まで、一般的な医薬品から特殊治療薬まで取り揃えている薬の幅も広範。

イメージ動画こちら!

自宅での服薬治療の課題の一つであるアドヒアランス。米国では保険制度などの問題もあり、アドヒアランスは50%程度といわれています。altoはサービスUXの改善と徹底した顧客サポートにより、業界平均を大幅に改善した実績を出してきています。

Stanford、UCSFなどの大学病院、 プライマリケアを手掛けるスタートアップ・One Medicalも同サービスを薬局として利用しているとのこと。薬局周りの導線をオンラインに寄せることで、薬を届けた後のフォローアップも容易になり、結果的にコストの削減やケアの合理化につながります。

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2020年1月には、新たに総額2.5億ドルの資金調達に成功し、リード投資家はは、Softbank Vision Fund。急な出資の取りやめなどで業界から批判を浴びたビジョンファンドですが、これからどうなることか...

2. Satsuma Pharmaceuticals:偏頭痛薬開発

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企業名:Satsuma Pharmaceuticals
URL:https://www.satsumarx.com/
設立年・所在地:2016年・カルフォルニア
直近ラウンド:上場(ナスダック、2019年9月)
調達金額:$74M(Osage University Partners, Surveyor Capital など)

ズキズキした痛みが長時間続く偏頭痛、多くの人の負担となっていますがまだ最善な治療法はまだ見いだされているとは言えません。偏頭痛に依る経済的な損失は大きく、特に若年~中年層で大きな課題となっていると。

米国における偏頭痛患者は3,700万人以上にも達しており、その市場規模は2017年の時点で約1,800億円にも及ぶと報告されている。本疾患は20~40歳代の比較的若い就労年齢層に多いことが特徴で、日常生活の中で不安の種となる頭痛に速効する薬剤の開発が強く望まれている。(リリース

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そんな領域に挑むのがSatsuma Pharmaceuticals。鼻腔から直接粉末を吸引することで偏頭痛を抑える薬剤を開発しています(経鼻ジヒドロエルゴタミン、開発コード:STS101)

Satsuma社の開発化合物であるDHEは、第一選択薬であるトリプタン製剤が効かない患者にも有効ですが、市販のDHE点鼻剤(水溶液)は吸収が遅いために、効果発現までに30分ほどかかり、また薬剤吸収がバラつき易く確実な臨床効果が得られにくいという課題があります。Satsuma社のSTS101は、その臨床第1相試験において、速やかで安定した高い吸収が確認されたことから、市場ニーズへの合致が大きく期待されています。(リリース

2019年7月から約1,140名の偏頭痛患者を対象とした臨床第3相試験が開始されており、2020年後半にトップラインデータが報告される予定。はてさてどうなることか...めちゃ楽しみ。

ちなみに、このSatsuma Pharmaceuticalsに経鼻投与基盤技術のライセンスを導出しているのが新日本科学。まさかの日本企業...!! なんか嬉しい出会いでした...!!

https://www.snbl-nds.co.jp/business/

3. Revolution Foods:栄養価の高い学校給食提供

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企業名:Revolution Foods
URL:https://www.revolutionfoods.com/
設立年・所在地:2006年・カルフォルニア
直近ラウンド:Venture Round(2019年2月)
調達金額:$138.1M(Nuveen Investments, Emerson Collectiveなど)

Revolution Foodsは、給食メニューの作成から調理、提供までを行う学校給食サービス。専門シェフが考案したバランスのとれた栄養価の高いメニューを朝ご飯~ランチ~おやつ~晩御飯まで作成。
確かに想像していたアメリカの給食「ポテチ!コーラ!」みたいなものより全然ヘルシーそう。

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このサービスのすごいところは、食事メニューの提供だけでなく、サービスを運営するためのプログラムが確立されていること。

・ユーザーである児童・生徒へのヒアリング
・現場機器や材料の評価と運営計画作成
・現場スタッフの教育とそのサポート

のように、よりよいサービスを提供するためのサポートも充実しているので、学校畝医者は安心して給食管理・調理を任せることができますね。

健康的な学校給食の提供は、生徒の学業成績と正の相関があるとされており、若者を成功に導くための最も安価な介入方法の1つが給食・食事の改善であるといえます。結果このサービスは400以上の地域、2500以上の学校で導入されており、毎週2百万食以上を提供しており、最も健康的な学校給食プロバイダーの第1位としての認定も取得しています。

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その他にも、子供向けの栄養教育や料理教室の開催など、様々な手法で食を通じた子供健康的な成長を支援しています。おいしい給食の提供だけでなく教育というからの支援も行う、めちゃ素敵な社会的企業。

4. Aduro:従業員パフォーマンス向上支援

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企業名:Aduro
URL:https://adurolife.com/
設立年・所在地:2013年・ワシントン
直近ラウンド:Corporate Round(2019年1月)
調達金額:$22M(ABRY Partners)

従業員のエンゲージメントの低さは日本でも大きく取り上げられており、「Googleでは!Netflixでは!」のような記事をよく見かけます。その問題は実はUSでも同様のようで。ギャラップ社調査によると従業員全体の32%しかエンゲージメントを実感していないと。

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Aduroはそんな問題に取り組むスタートアップ。ライフスタイルと健康の6つの側面からアプローチを行い、従業員がパフォーマンスを最大限に発揮できるように支援するソリューションを提供しています。

そのサービスは
・情報を収集する(LISTEN)
・収集した情報からプログラムを作成し、提供・管理する(ENGAGE)
・個人レベルの情報を収集し、組織レベルの戦略を推進する(PREDICT)
という3つの段階から構成され、プログラム/戦略推進は個々人を↓6つの領域ごとに分析・点数化した結果をベースに構築されます。

- 幸福と人生の満足度
- 心身の健康
- 意味と目的
- 性格や価値観
- 社会的な関係性
- 経済面の安定性

確かに、働く幸せといってもいろいろありますもんね。

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導入企業の生産性は17%アップ、売上は20%増、顧客評価も10%向上したとのこと。素晴らしい成果が出てる。make it happen。

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AduroはNQCA(医療機関の認定を行う組織)から最高品質基準の健康増進サービスとして認定を受けています。健康経営のようなふんわりコンセプトではなくここまで踏み込めるソリューションを出せるの、めっちゃいい...!! Webサイトもパワーにあふれている感じで好き。

5. Future Family:体外受精/卵子凍結など不妊治療支援

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企業名:Future Family
URL:https://www.futurefamily.com/
設立年・所在地:2016年・カルフォルニア
直近ラウンド:Debt Financing(2018年11月)
調達金額:$114.2M(Atalaya Capital, LaunchCapitalなど)

Future Familyは体外受精や卵子凍結など不妊治療プログラムを提供しているフェムテック企業。生殖能力を調べるための検査を割安に提供したり、月額プランを提供したり、お財布に優しいプログラム運営を打ち出しています。

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しかし月額$300~475×60ヶ月か。。これが価格ベネフィットを打ち出す会社のプライシングだとすると、既存の不妊治療のお財布負担がいかに大きいのかわかりますね。。

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創業者であるTomkinsは、不妊治療における現状についてこう話します。

不妊治療産業は米国だけでも30億ドル規模に達し急速に成長していますが、現実を見ると、手ごろな価格でないために必要とする女性とカップルのほんの一部を助けるだけです。我々は"美しい赤ちゃんを抱きしめた瞬間"を不妊で悩んでいる人に届けたいのです。

必要としている人に、必要な支援を。日本の同領域にもイノベーションが起きていくといいなぁ。

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こんな感じで、第39回でした。
noteマガジンにもしてみたので、もしよかったらフォローしてください:-)

応援ありがとうございます!