見出し画像

神戸からのデジタルヘルスレポート #41 (Lovevery/Papa/Healthy.io/Medical Tourism.com/Eli Health)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

今回は第41回!元気にデジタルヘルススタートアップを紹介していきます:-)==

1. Lovevery:子供の発達に応じたおもちゃの提供を行うサービス

画像1

企業名:Lovevery
URL:https://lovevery.com/
設立年・所在地:2015年・アイダホ/ボーズ
直近ラウンド:Series B(2019年10月)
調達金額:$26M(GV, Collaborative Fund など)

Loveveryは、専門家監修のおもちゃを子供の発達具合に応じて提供してくれるサービス。基本はECながら、2~3ヶ月ごとに新たなおもちゃを配送してくれる月額36ドルサブスクプランも提供しています。

画像2

Loveveryで取り扱われるどのおもちゃにも、赤ちゃんのどの部分を伸ばすために設計されているかということが細かく記載されており、親が子供の成長について考えるきっかけにつながっています。サブスクプランのレビューは1,500件以上集まっていますが、とんでもない平均点の高さを保っているのはその丁寧さも背景にあるのかも...

画像3

同社が提供するプレイジムは、世界的なデザインアワードであるRed Dot Award 2018で受賞しており、そのデザイン性の高さが市場にも評価されています。このような商品を、ToC/ToBそれぞれで、顧客のステージに合わせ、EC/サブスクなど手広く提供する。王道な事業展開。

画像4

ここにAlphabet参加のGVが出資しているというのもアツいです。Googleさんよ、どこに向かっているのだろう。

2. Papa:孫・オンデマンド

画像5

企業名:Papa Technologies, LLC
URL:https://www.joinpapa.com/
設立年・所在地:2016年・フロリダ
直近ラウンド:Series A(2019年10月)
調達金額:$13.2M(Y Combinator, Sound Venturesなど)

Papaは、支援を必要とする高齢者やその家族とその周辺にいる大学生をつなぐことで、高齢者の日常生活を支援するコミュニティ系サービス。ちょっとしたい買い物に付き合ってほしい、話し相手になってほしいなどの日常生活における些細な用事を、手の空いた大学生がお手伝いしてくれます。

Papaサービス上で高齢者・家族がリクエストを送り、相手との訪問日時を調整するだけで大学生が自宅まで訪問してくれると。電話でも依頼できるのはめちゃ素敵。どんなイメージなのか、動画がありました。サムネイルにもありますが、"Grandkids on-demand(オンデマンドな孫)"とはなかなか思い切ったコンセプト...!!

画像6

このサービスは元々、創業者兼CEOであるAndrewが、自分の祖父と家族のために始めたもの。実際に利用してみると、若くエネルギッシュな大学生との交流が祖父に良い影響をもたらし、家族の負担も減る結果となり、そういった結果からサービスの重要性を認識したようです。こういう原体験大事ですよね。

こういうサービスは社会企業文脈でもよく出てくるアイディアだと思うんですが、成功するまでやりきるためにはかなり根を詰めたローカライズ・最適化が必要なんだろうなと思っています。お互いの不満・不安をいかにコントロールし、ベネフィットを最大化していくか、結構難しいと思っており。

体験した高齢者、家族、大学生それぞれにぜひインタビューしたいサービスです。

3. Healthy.io:スマートフォンカメラによる尿検査

画像7

企業名:Healty.io llc
URL:https://healthy.io/
設立年・所在地:2013年・イスラエル
直近ラウンド:Series C(2019年9月)
調達金額:$90M(Joy Capital, Corner Venturesなど)

Healthy.ioは、スマートフォンのカメラを尿分析装置として使用して、尿検査を実施するサービスを提供しています。この尿検査では、慢性腎臓病、感染症、妊娠関連の合併症など10の疾患に関する各種因子を測定することができます。もちろんFDA Approved。

画像8

使い方はめちゃシンプル。カップに尿を取り、同封されているDipstickという検査棒をそこに浸します。その後判定ボードの上にその棒を置き、Healthy.ioが提供するアプリ経由でスマホカメラで撮影して完了。分析結果はアプリの中で確認できるのはもちろん、UKでは患者の電子記録に自動的に統合されるとのこと。病院に行かなくても、検査または経過観察を行うことができますね。とてもいい。

サービス紹介動画はちょっと古いですが下記。CKDに絞り込んだソリューション紹介も合わせて貼っておきます。

このプロダクトはラボベースの尿検査と同等の精度を誇ると謳っています。医療従事者からの信頼も厚く、93%の患者は高い満足度を示しています。あれだけ簡便さと精度。病院にいったり待ったりする時間がなくなるだけでも大きなバリューですよね。

Healthy.ioの次のチャレンジは、慢性創傷の評価・モニタリングです。今後同社がどのようなデジタル診療を世に出していくのか、引き続き注目です。

画像9

4. Medical Tourism.com:医療ツーリズム案内NPO

画像10

企業名:Medical Tourism.com
URL:https://www.medicaltourism.com/
設立年・所在地:2019年・フロリダ
直近ラウンド:None
調達金額:None

次はスタートアップではなく、グローバルNPOです。取り扱うテーマは、利用ツーリズム。

医療ツーリズムとは、居住国とは異なる国や地域を訪ねて医療サービス(診断や治療など)を受けることです。背景は、臓器移植・整形手術など自国ではできない医療を受けに海外に行くなど様々ですが、近年頻繁に行われています。医療ツーリズムを自国産業として位置付けている国もあるそうです。

Medical Tourism. comは医療ツーリズム先を案内するオンラインサイトで、海外の病院の検索、費用などの見積もり、病院との連絡や日程の調整など、海外で医療サービスを受ける際の必要な準備をすべてこのサイト内で行うことが出来ます。

画像11

様々な疾患領域をカバーしていますね。パーキンソン病の治療から、髪の移植まで。すごい幅だ。

画像13

また、各治療法ごとのコスト感なんかも比較できて、水準を知る上でも便利なサイトだなぁと。

画像14

このサイト上で注目されている地域の一つが、グアテマラ。
国際的に認定された医療専門家がいるうえに、ほとんどの診療所と病院は空港や市内のホテルゾーンの近くに位置しているからとのこと。知らなんだ。新しい発見。

画像12

5. Eli Health:女性ホルモンバランス管理

画像15

企業名:Eli Health
URL:https://eli.health/
設立年・所在地:2019年・カナダ
直近ラウンド:Pre-Seed(2019年9月)
調達金額:N/A

Eli Healthは、唾液中の成分を分析することで毎日のホルモン状態を分析し、女性の健康管理を支援するサービス。妊娠を希望するカップルには妊娠しやすい時期を、安全な避妊を望む女性には妊娠の可能性が低い時期を知らせてくれます。いま話題のフェムテックど真ん中。

画像17

使うのはこんなデバイス。シンプルでおしゃれ。洗面台にあってもなんの違和感もないですね。

画像16

この製品の一番の強みは非侵襲性であること。毎日継続して評価していくうえで、これ以上の強みはありません。

チームも、ミッションドリブンであることを公言しています。そこにAIとバイオテクノロジーを絡めて、ユニークな立ち位置を保っていくよと。素敵なトーン、素敵なチーム。

画像18

==
こんな感じで、第41回でした。
過去分もたっぷり厚くなってきました。マガジンのほうもぜひ見てみてください:-)



応援ありがとうございます!