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神戸からのデジタルヘルスレポート #116(メンタルヘルス②)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

今年は年末まで全20回で、昨年2022年に創業したデジタルヘルススタートアップを取り上げていきます。毎週木曜日朝配信予定です!

今回は全20回のうち13回目、テーマは「メンタルヘルス②」を取り上げていきます。


1. NanoMood:ウェアラブルバイオセンサーでのメンタル管理

企業名:NanoMood
URL:https://nanomoodtech.com/
設立年・所在地:2022年・サンディエゴ(米国)
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

NanoMoodは、精神的健康症状に関連する重要なバイオマーカーを検出および監視するウェアラブルバイオセンサーを開発している企業です。ウェアラブルより脳と身体の状態をバイオセンサーで検出し、脳と身体の状態から精神状態をモニタリングすることができます。

<サービス内容>
バイオセンサーが備えられているパッチ式の小型ウェアラブルを装着することで、ユーザーの脳および身体状態をバイオマーカーにより検出します。うつ病等の精神疾患における脳や身体の状態の異変を機会学習によるバイオマーカーで捉え、症状が深まる前に、適切な段階でのメンタルケアを行えるよう促す内容となっています。
着目しているのは大きく3つ。ストレス、睡眠、代謝です。

  • ストレス:どんなときにどんなストレスをどの程度感じるのか、を測定し明確化します。ストレスレベルと特定の感情を引き起こす原因を知ることで、ストレス要因を軽減したり、ストレス要因をより効果的に管理する方法を特定します。

  • 睡眠:睡眠パターンをモニタリングし、どれだけ質の高い睡眠がとれているかを測定します。質の高い睡眠をとるための対策を講じ、睡眠体験の最適化でメンタル状態を安定させることに繋げます。

  • 代謝:自身の基礎代謝率を知ることで、体が機能するために必要なカロリーの推定ベースライン量を決定するのに役立ちます。身体が健康な状態だと精神も安定するため、代謝状態をよくするための数値として活用されます。

出所:https://nanomoodtech.com/about/

サービス紹介の動画もございます。よろしければどうぞ。

2. Bloom Buddy:自閉症ケアモバイルアプリ

企業名:Bloom Buddy
URL:https://www.thebloombuddy.com/
設立年・所在地:2022年・ヒューストン(米国)
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

Bloom Buddyは、自閉症患者向けに、スクリーニングや診断、ケアについて支援するモバイルアプリを提供しています。自閉症は幼少時に発症することが多いため、お子さんと親のケアについてのサポートも行っています。以下に紹介動画がございます。よろしければご覧ください。

<サービス内容>
Bloom Buddyでは、検査から診断、専門家の紹介、ケアまで幅広く提供しています。検査については、小児向け・成人向けそれぞれにスクリーニングするツールや、どのような検査を受けたらよいか、医療機関や専門家のレコメンドも行っています。また、診断後のサポートとして、会員専用のサポートや親向けサポート。オンラインフォーラムも開催しています。
以下は、自閉症のCAN-Do親サポートグループについて。

同社は、米国最大の自閉症研究団体Autism Speaksとも提携しています。同社は拠点をナイジェリアにも持っていることから、ナイジェリアでも自閉症ケアサービスを提供しています。ナイジェリアを含む国々の資源が少ない状況向けに設計された無料の情報提供者報告スクリーニング ツール「ナイジェリア自閉症スクリーニング調査票(NASQ)」をデジタル化するための取り組みも行っています。自閉症は世界中で68人に1人が罹患している神経障害ですが、最近の調査によると、ナイジェリアの自閉症の有病率はさらに高く、発達障害のある子どもの自閉症の割合は11.4%にも昇るそうです。

同社のユニークなところとして、同社のLinkedInの中で世界の自閉症関連のユニークな動きを発信していることです。以下のように、ドバイでは自閉症にやさしいホテルとして認定されたホテルが登場したそう。ドバイ首長国で初めて認定自閉症センターの指定を獲得したホテルだそうです。

3. Mind Tracker:メンタルセルフケアアプリ

企業名:Mind Tracker
URL:https://mindtrackerapp.com/
設立年・所在地:2022年・-
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

Mind Trackerは、アプリで日々の気分を記録していくことで、精神的な健康状態を管理するツールです。日々の記録をつけることで、自身の精神状態を客観視することができ、かつ、アプリの統計でどのような状態のときにストレスを感じやすいかを自動的に判断してくれるそうです。

<サービス内容>
日々の気分の記録を行うこと、その記録データを参照することは無料だそうです。そこから、セラピストによるセッションを希望する、つまりセルフケアだけではない人の手を借りるアクションへ移行する場合に、有料課金される格好となるそうです。
以下より、本製品のピッチブックスライドが参照いただけます。本製品の紹介に加え、メンタルヘルス市場について、本製品の競合になり得る市場状況についても纏められています。よろしければご覧ください。

このアプリのユニークなところは、無料でスタートできるということ、その日の気分を色やスタンプの表情で選択することができること、です。真面目に記録するというより、言語化しづらいその日の感情を、色やスタンプの表情で表現し残していくというのは面白いですね。

4. Vivid Ground:コアバリュー診断

企業名:Vivid Ground
URL:https://www.findyourvalues.com/
設立年・所在地:2022年・カールスルーエ(ドイツ)
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

Vivid Groundは、最新の科学的研究と専門家の知見に基づいて、各々に有している根幹の価値観が何なのか(コアバリューは何か)を明らかにするサービスを提供しています。これは内発的動機付けの強化につながるものであり、個人の個性・特性にあった意思決定ができるようになります。自身のコアに無自覚であることで、ネガティブなストレス、燃え尽き症候群、うつ病等の精神疾患を誘発してしまうリスクがあると考えられています。このような精神疾患の予防的意味合いでも、自身を知ること、この状況に対抗したい、としてうまれたのが本サービスとなります。

<サービス内容>
サービス内容はいたってシンプルです。”Core Values Finder”と呼ばれる診断を受け、パーソナライズされた評価を購入するだけ、です。この評価はレポート形式になっており、なんと32ページにも及ぶそうです。

出所:https://www.findyourvalues.com/

テストは15~20分程度で完了するそうです。以下のブログ記事では、コアバリューとは何なのか?自身の核を知ることがなぜ重要なのか?を紹介しています。よろしければご覧ください。

Core Values Finderは以下より受けることができます。

メンタルケアや特定の精神疾患に対しての対処療法は多くみられますが、このサービスはその前段階、「自身のコアを認識すること」で予防しようというアプローチです。変わった切り口で、面白いですね。

5. NowTherapy:メンタルVR療法

企業名:NowTherapy
URL:https://www.nowtherapy.io/
設立年・所在地:2022年・ラスベガス(米国)
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

NowTherapyは、VRによるメンタルヘルス療法を提供している企業です。特徴は「VR」であるということ。内容については暴露療法をメインとしたセッションによるメンタルケア、グループセラピー等、他メンタルサービスと同様のセラピー形式となっています。

<なぜVR?>
30年にわたる同社の研究で、心理学におけるVRの有効性が証明されていることが、本サービスの出発点になっています。 こちらの記事に、VRを通じて大学生に適用されたマインドフルネス ベースのプログラムを評価するためのランダム化対照試験についての記事がございます。この試験結果、VRを通じてマインドフルネスを適用すると、介入後および6か月の追跡調査において、ストレスが改善され、幸福度が向上し、学業成績も向上したことが示されたそうです。VRはストレスレベルを改善するための貴重なツールと考えられるかもしれない、と示唆されています。

また、対面療法だと患者の27%に拒否される傾向があるのですが、VR療法を提案すると、拒否するのはわずか3%に留まるそうです。できるだけ多くの患者にセラピーを受けてもらうためには、VRが断られにくい手法である、という現実が見受けられます。また、VRトレーニングによる学習定着率は80%以上向上する研究結果も出ているそうで、メンタルケアにはVRが有効である、と同社が述べるのも納得できます。

<利用方法>
サイトのメールアドレス入力箇所にメールアドレスを入力して待つだけ。登録が完了すると、VRでのセッション予約(何百ものセラピストが簡単予約できるそう)が可能となります。VRなので直接移動する手間もなく、時間もお金も節約できますね。何より最初に対面に不安がある方にとってはハードルが和らぎそう(前述の患者拒否率の対比からも見受けられます)

応援ありがとうございます!