神戸からのデジタルヘルスレポート #76 (治療のデジタル化 3/4)
『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。
1. HUSO:発作性障害やパニック障害、不眠症患者向け聴覚ソリューション
HUSOは、音の癒しの特性を活用した特許取得済みソリューションデバイスを提供しています。発作性障害やパニック障害、自閉症スペクトラム障害を持つ患者向けです。ヘッドホンやパッドを介して、特定の変調周波数で人間の調子を整える音を提供してバランスを整えると。なんかあやしい…??となるんですが、確かにWebで音声を聞くと、癒やされます。びっくり。
EMFと呼ばれる周波数で構成された独自の電磁場の中で、目に見えない人工電磁周波数の海にさらされることにより不調が発生すると考えられています。HUSOは、サウンド周波数によるセラピーで細胞のシグナル伝達と身体機能を修復し、健康に戻すことを促進すると言っています。↓EMFの危険性を示す論文や研究について、サウンド周波数の効果については下記リンクに詳しく記載があります。(見れば見るほど怪しいんだよなしかし…こういうものが何年後かに「実は有益でした」ということがわかったりすることもあるので、完全に忌避するのも良くないんですが)
レビューしている人のこの幸せそうな表情。チームの人、この動画めっちゃ嬉しかっただろうな…現在は北米のみでの展開。日本に来たら1台買って使ってみたいです。
2. biofourmis:生体測定センサーデータ収集・解析プラットフォーム
Biofourmisは、臨床用の生体測定センサーから得られたデータを収集・解析するAIプラットフォームを運営しています。2015年にシンガポールで設立され、現在はマサチューセッツ州ボストンに本社を置いています。ソフト晩産化のヴィジョンファンドからも資金調達済み。
プロダクトレベルでは、心不全治療薬モニタリング用に設計された『Biofourmis BiovitalsHF』が2021年7月にFDAからブレークスルーデバイス指定を受けています。初の心不全デジタル治療としても注目を集めています。また、2019年には同社のBiovitals Analytics Engineが院外での生理学的モニタリングに関してFDA承認(510k)を取得しています。
BiovitalsHFは、心不全患者の日々の状態をデバイスによってモニタリングし、症状と兆候、投薬状況の管理を行いつつ状態をAIで解析し、適した治療選択をレコメンド。臨床医に早期の介入意思決定を促進し、重症化を回避することが狙いです。クラウドベースのソリューションですが、15種類以上の心不整脈を検出できるとされています。簡単な紹介動画がありました、こちらもご参照ください。
3. Zio Health:分子組成の測定・試験・検出デバイス
Zio Healthは、化学物質および生物学的物質の分子組成を測定、試験及び検出する多機能電子デバイスを開発している企業です。このデバイスのカバー範囲は、在宅診断、遠隔医療テスト、水質検査、食品品質検査など様々です。治療薬の投与量のモニタリング機能もあるため、薬効を個々に最適化し薬の副作用を最小限に抑えることにも役立っています。
同社はまた、Elosiaという家庭用尿検査キットと、その検査結果によって導き出されたウェルネスケアの提供も行っています。利用方法もシンプル、在宅で測定することが可能なオペレーションとなっています。
①サンプルをカートリッジに入れる
②カートリッジをハードウェアデバイスに挿入
③モバイルデバイスで結果を取得
1つのカートリッジで複数のテストが可能なのも良いですね。
ギーキーな感じのするチーム。良いです。
4. Lief Therapeutics:ECGセンサーを用いたリアルタイムストレスレベル追跡
Lief Therapeuticsは、心臓と呼吸から心拍数変動をリアルタイムで測定し、ストレスレベルを追跡するバイオセンシングパッチ装置を開発しています。サービスとしてはセンサーとアプリで構成されており、胸の近くに貼ったECGスマートパッチがデータ取得経路です。自宅にいながら利用することができ、ストレスの兆候を察知すると、認定専門家によるパーソナライズされたセルフケア管理プログラムの提供を受けることができます。
コロナ禍ど真ん中で行われたピッチ大会の動画と、ユーザーの「使ってみた!」動画がありましたので貼っておきます。臨床試験も行っているんですね。ユースケースもわかりやすい。使ってみた動画の方では細かいアプリ画面もあって、機能のイメージがばっちり伝わってきました。
推定4800万人のアメリカ人の成人が不安を抱え、約1800万人がうつ病を患っているにも関わらず生理的兆候を発見することが困難な状況が続いてきたなかで、心拍変動をデジタルバイオマーカーとして活用できるのではとの期待が高まっています。
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