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神戸からのデジタルヘルスレポート #10 (MySense/Fitspot/NeuroMetrix/Siren/Thync)

区切りの第10回です!
今回も元気にデジタルヘルススタートアップを紹介していきます!

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1. MySense:介護体験を向上させる自宅センサー

企業名:MySense
URL:https://www.mysense.ai/
設立年・所在地:2016年、ロンドン
直近ラウンド:Seed(2018年、9月)
調達金額:NA

世界の総人口に占める65歳以上の割合は、1950年の5.1%から2015年には8.3%に上昇していますが、2060年にはさらに17.8%まで上昇すると見込まれています。より少ない労働人口でより多くの高齢者を支える必要がある中で、より簡易に、かつよりよい介護体験を提供することのニーズは高まっていくと考えられます。

そんな中で、自宅に数多くの多くのセンサーを設置することで、介護家庭での体験向上を支援しているのが、このMySenseです。

自宅にセンサーとは、いったいどんな場所に設置するのでしょうか...?
センサーの範囲は、ドア・椅子・ベッド・シャワー・トイレからなんと水道の蛇口やコンセントにまで及びます。蛇口のセンサーから得られる水の消費量から脱水症状の可能性を調べたり、椅子で過ごした時間から個人の身体活動をチェックしたり...すごい時代になりましたね!

こうしたたくさんのセンサーにより集められたデータを機械学習のアルゴリズムによって処理し、介護に役立てます。対応が必要なときは家族や介護士にアラートをおくったり、上記のように水分の摂取状況をフォローしたり。

本人に負担をかけずに、っていうコンセプトが素晴らしいですね。素敵。
さらにMySenseは、”peace of mind”をすべての人に届けるという理念から、医療へのアクセスが制限されている発展途上国の人々を支援するために、利益の一部を寄付する活動を続けています。これまた素敵。

2. Fitspot:職場での健康増進プログラム提供

企業名:Fitspot
URL:https://www.fitspotwellness.com/
設立年・所在地:2014年、ニューヨーク
直近ラウンド:Seed(2018年、2月)
調達金額:$3.4m(Techstarts、 Merlin Kauffmanなど)

Fitspotは、企業や不動産管理会社向けに、従業員やテナントスタッフがストレスの低減や健康増進ができるプログラムを提供しています。

面白いのは、Fitspot自身が健康の5本の柱として「栄養・身体・精神・社会・経済的健康」と明確な定義を与えているところ。これらの内容についてそれぞれの職場に合ったカスタマイズをし、職場の健康を改善するためのカスタマイズプログラムを提供します。

・Nutritional:フィットネスクラス、ヨガ、睡眠管理
・Physical:ジュースバー、栄養士のセッション
・Emotional Well-Being:マッサージ、瞑想、ストレス緩和
・Social:ボランティア、コミュニティイベント、スキル構築
・Financial Wellness:金融リテラシープログラム、予算セッション

前半3つは組み合わせありそうだなぁという感じですが、後半2つにも着目しているのが面白いなぁと感じます。

WeworkやTinderのオフィスにも導入されており、オンデマンドマッサージスタートアップ・Soothe創業者のMerlin KauffmanがFitspotに投資している同社。強い...

3. NeuroMetrix:睡眠中に使用可能な慢性疼痛軽減デバイス

企業名:NeuroMetrix
URL:https://www.neurometrix.com/
設立年・所在地:1996年・マサチューセッツ/ボストン
直近ラウンド:IPO
調達金額:$105.2

スタートアップというにはちょっとやりきった感のある企業ですが、良いプロダクトだなぁと感じたのでご紹介を。

NeuroMetrixが提供しているウェラブルデバイス「Quell」は、慢性疼痛の痛みを軽減し、睡眠不足や、毎日の不快な気分を改善することを可能にします。
同社によると、「Quellは睡眠中にFDAが使用を許可している唯一の機器」のようで、ユーザーが自分の痛みや関連する健康指標を追跡しながら治療をパーソナライズおよび制御するための洗練されたアプリとを組み合わせた、100%ドラッグフリーのデバイスです。

疼痛症状のために眠りを失うことが多い慢性疼痛の患者さんにとって、睡眠中に装着が可能というのは特に重要な機能です。ユーザーはQuellアプリを介して治療履歴や睡眠の状態、痛みの追跡を行うことが可能です。

使い方などが↓でわかるんですが、カラダに巻くだけで結構シンプル。夏場とか大丈夫かなっておもうけど...

CES2019で同社の代表が「7万人が使ってて、このデータを機械学習かけていろいろしてんねん!」といっていました。結構な規模だなと。

慢性疼痛、がん患者の増加に合わせて問題の広さと深刻度が増していっているので、こういうソリューションが選択肢に加わるのはいいことやなぁと思います。

4. Siren:温度感知センサー付きソックス

企業名:Siren
URL:https://siren.care/
設立年・所在地:2015年、サンフランシスコ
直近ラウンド:Seed(2018年3月、$3.4m)
調達金額:$3.6m(Founders Fund、500 Startups、Khosla Venturesなど)

こっちもデバイス系、今度は靴下です。それもなんと、医師から処方される靴下です。

Sirenの靴下は足の温度を継続的にモニタリングして、炎症などの兆候を掴むことを目的に利用されています。特に糖尿病神経障害の患者については足の温度を毎日記録し感染症対策などを行うことが求められており、Sirenの靴下がもつ6つのセンサーで足の温度を継続的に監視することで症状の事前察知・重篤化防止を可能にします。炎症の兆候が見つかった場合には、患者自身・かかりつけ医にアプリ・SMS経由で通知を受け取ることができます。

成果も十分。現在一般的に用いられている目視検査とは対照的に、潰瘍に関するアウトカムが87%も改善されることが示されています。(何で測っているのかは明示されていませんが...)

2017年のCESでのピッチに登壇されていました。The Pitchという感じがしていいですね。FounderのRan Maは、大学時代に創傷検査室で働いている際、糖尿病性足部潰瘍のために年間10万人以上の下肢切断があることを知り、この致命的な問題を解決したいという思いから、2015年にSirenを設立したとのこと。強い原体験だ。

医師も患者も楽にするウェアラブル、いいですね。こういうふうに使うべきだ、テクノロジーは。

5. Thync:気分コントロールデバイス

企業名:Thync
URL:https://www.thync.com/
設立年・所在地:2011年、サンフランシスコ
直近ラウンド:Series A(2014年10月)
調達金額:$13m(Khosla Ventures、Velos Partnersなど)

仕事に集中できない...イライラする...そんな気分を自分で変えてしまうことができる夢のようなデバイスがあります。それが、自身の心と身体にアクセスできるウェアラブルデバイス・Thyncです。

Thyncは額に密着させるように装着し、そこから微量の電気を流し私たちの神経を刺激することで、気分を高揚させたりリラックスさせたり、まさに気分をコントロールすることができます。装着した人の多くは、15分から20分ほどで効果を実感できるとのこと。

Thyncの開発チームには、神経科学の研究者であるアリゾナ州立大学のJamie Tyler氏やハーバード大学のSumon Pal氏らが参加し、1,300万ドルの投資資金が集められて進められました。同製品の効果を調べた実験では、被験者の75%が脳の活性化や沈静化の効果を実感できたということです。まじか。

これを使って、仕事や勉強など様々な場面でのパフォーマンスを高めることができれば、よりよい人生を送れるかもしれません。この夢のようなデバイスにさらなる期待をしましょう。私もちょっと欲しいです。

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こんな感じで、第10回でした。
noteマガジンにもしてみたので、もしよかったらフォローしてください:-)

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