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神戸からのデジタルヘルスレポート #68 (遺伝子系)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

2020年、第64回でいったん終わらせていたんですが、2021年版として、全5回でお届けしたいと思います!#4の今回は遺伝子系のサービスを。#1でマイクロバイオームやDNA系のものも取り上げましたが、今回も!

今週発行したニュースレター「こーべ通信」でも、注射でコレステロール値を下げるVerve Therapeutics開発のCRISPRベース遺伝子治療や、藻の遺伝子を利用して失明を治そうとするGenSight Biologicsの研究などを紹介しました。この領域は継続してフォローしていきたいですね。

1. Avail BIO:がん免疫療法ゲノムプラットフォーム

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企業名:Avail Bio
URL:https://avail.bio/
設立年・所在地:2018年・米国/サンフランシスコ
直近ラウンド:N/A
調達金額:N/A

UCSF(カルフォニア大学サンフランシスコ校)とChan-Zuckerberg BioHubでの研究から生まれ、Illumina Acceleratorの支援を受けて誕生したAvail Bioは、ゲノム技術を用いて副作用を引き起こす患者を減らしつつ、より効果的な免疫療法を発見・開発することを目指しています。

リーダーシップチームに関しては四人ともPh.Dを持っていて、そのうち三人はUCSFにて研究に従事。2020年5月に免疫学、NGS、ウイルス学の分野で9年の経験を持つEmilia Falkowskaを迎えており、今後の開発加速が期待されます。

↓をみると、研究が着実に進んでいる模様。楽しみ。

2. Celldom:次世代ハイスループット・シングルセル解析技術開発

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企業名:Celldom
URL:https://celldom.com
設立年・所在地:2016年2月・米国ダーラム
直近ラウンド:Grant(2018年9月)
調達金額:$2M(National Institutes of Health)

Celldomは独自解析技術を用いて、腫瘍学、免疫学、幹細胞生物学に係る研究、創薬、および医薬品開発を加速させる研究開発を進めているスタートアップです。特に、生物学的経路や疾患において重要な役割を果たす希少細胞を早期かつ安価に特定することを目指すとのこと。リーダーシップチームはデューク大学のゲノム解析系研究室からのスピンオフです。

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彼らのミッションは "become a leader in next-generation, high throughput single cell analysis"で、そのために構築しているのがThe TrapTx Analyzer System。表現型データとゲノムデータの両方を大規模(最大1万個の細胞/実験)に統合・分析することが可能。

NFX&SynBioBeta 2020 Bio Draftのファイナリスト12社の一つにも選ばれています。

3. Convergent Genomics:尿シーケンシングプラットフォーム

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企業名:Convergent Genomics
URL:http://convergentgenomics.com/
設立年・所在地:2014年・米国/サンフランシスコ
直近ラウンド:XX(XX年1月)
調達金額:$xx.xm()

Convergent Genomicsは、UriSeqという名前のSaasベースの尿を用いたリキッドバイオプシーシーケンスプラットフォームを開発・提供しています。これは、尿データを分析することで、がんの再発リスクや低悪性度の疾患患者の特定を行うことができます。現在の開発・研究の対象は膀胱癌とのこと。

Convergent Genomicsの開発中である尿を分析検査するスクリーニングパネルは、非侵襲的であり、かつ低価格で優れた感度を実現できるとして期待されています。痛い思いをしなくても尿だけでがん検査ができるようになると、検査に対する心理的ハードルも下がるので早期発見にも繋がりそうです。

その他直近では、COVID-19に用いられるPCR検査の偽陰性の発生率の高さの要因である保存方法とサンプル抽出方法の問題点に着目し、Enhanced PreservationMediaを使用した迅速かつより正確なCovid-19検査の開発も行っています。

自社HPは画像のみで、粛々と研究・開発を続けるこのようなチームが、結果的に大きなことを成し遂げるのかも知れません。

4. Mediphage Bioceuticals

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企業名:Mediphage Bioceuticals
URL:https://www.mediphage.ca/
設立年・所在地:2016年1月・カナダ/トロント
直近ラウンド:転換社債(2019年3月)
調達金額:$4.1M(Viking Global,Family Office,Wing VC,Creative Destruciton Lab)

Mediphageはウォータールー大学からのスピンオフ企業であり、遺伝子治療/遺伝編集を行うための、安全かつ効果的な遺伝子導入プラットフォームの開発に注力しています。主力技術であるミニストリングDNA(msDNA)は、市場で最も安全な遺伝子導入ベクターであり、有効性を損なうことなく、競合他社の何分の1かのコストで製造することが出来るとのこと。msDNAは免疫原性がないため安全に使用することが出来て、また遺伝子治療に伴う突然変異を防ぐための安全スイッチも組み込まれており、かつまた高い確率で導入遺伝子を送出し、また再投与可能であるために個人の投与量に合わせた遺伝子治療薬を実現できる想定です。

発酵技術を使っているんですね。

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設立者であるRoderick SlavcevがCTOであり、MBAホルダーであるAlvaro AmorrortuがCEO & President。プロ経営者を連れてきて一気に事業拡大を目指すバイオテック企業度本命な感じがします。

5. TruGenomix:PTSD検査・診断のための血液検査

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企業名:TruGenomix
URL:https://trugenomix.com/
設立年・所在地:2017年12月・米国/ワシントンD.C.
直近ラウンド:Debt Financing(2020年11月)
調達金額:$2.1M(Viking Global,Wing VC,Sanford Health)

"Every Patient Matters(全ての患者が大事である),Every Day Matters(1日1日が大事である)"を掲げているTruGenomixは、PTSD患者に対してTruGen-1を用いた遺伝子検査と行動健康診断を用いて早期の発見と効果的な治療を提供しています。illumina Platformへの参加企業ですね、これも。

動画でサービス内容を確認してみましょう。

主な製品は2つ、
・TruGen-1:PTSDの3つの重要なバイオマーカーであるFKBP5,STAT5B,NFIAを遺伝子レベルで検出・検査可能
・TruGenomix Platform:高速なゲノム解析を実行できるプラットフォーム
です。

Webファーストビューに軍人画像を持ってきていることからも、サービスの対象者はだいぶクリアですね。

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