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神戸からのデジタルヘルスレポート #77 (治療のデジタル化 4/4)

『神戸からのデジタルヘルスレポート』は、神戸拠点のプロジェクト支援企業・Cobe Associeが提供する、海外のデジタルヘルススタートアップを紹介するマガジンシリーズです。

今回の4社はいずれも治療プロセスの中でもリハビリに焦点を当てています。いずれもハードウェアが絡んでくるので、楽しくご覧ください。

1. StrechSense:手指の動きを測定するセンサーグローブ

企業名:StrechSense
URL:https://www.stretchsense.com/
設立年・所在地:2012年・オークランド(ニュージーランド)
直近ラウンド:Series A(2016年10月)
調達金額:N/A

StrechSenseは、手・指の動きを測定するストレッチセンサーグローブと機械学習技術によるハンドモーションキャプチャーソリューションを提供しています。今般のメタバース文脈の中でも注目されていますが、リハビリの現場でも活用が可能です。

肘・手・指の整形外科的疾患に対して行うリハビリをハンドセラピィといいますが、各種の損傷だけでなく、リウマチかんじゃさんなんかも行います。このグローブを上手く使えれば、リハビリの改善度評価が客観的指標で行えますし、なんなら自宅で継続的に計測をすることも出来そうです。

下が技術紹介のイメージ動画なんですが、おしゃれ。テックテックしていないのが好きです。短めと長めと1つずつ。

お値段はグローブが8千ドル、解析ソフトウェアが年間2千ドルと、個人では難しいけど企業の研究開発チームや学術系の方々ならおっと思える価格帯。

ちなみに同社には、ZOZOで有名なスタートトゥデイが出資しおり、ZOZOSUITに使われているIoTセンサーもStrechSenseが開発しました。もらった者の一回も着なかったな、ZOZOSUIT…

2. Jintronix:Kinect活用型遠隔リハビリ

企業名:Jintronix
URL:http://www.jintronix.com/
設立年・所在地:2010年・モントリオール(カナダ)
直近ラウンド:転換社債(2015年2月)
調達金額:$2.5M

マイクロソフトから発売されているKinectは、身体の動きであるジェスチャー・音声認識によってゲーム機、コンピューターの操作ができるデバイスです。JintronixはこのKinectを用いて、3Dソフトウェアによる遠隔リハビリサービスを提供しています。ゲームを行いながらリハビリを行うことができ、理学療法士等の医療従事者が、患者のリハビリ進行状況をリアルタイムで追跡・評価することを可能にします。

脳疾患や心疾患、骨折等、リハビリテーションを必要とする疾患のケアに対し、入院中だけでなく、高齢者の介護施設、在宅でのリハビリテーションも可能とする画期的なソリューションといえます。リハビリ通院中にけがをしたり、というお話も聞くので、良い進化ですよね。

同社製品を用いたリハビリの効果検証にも積極的で、関連する論文リストをウェブ上で公開していたりもします。Fitbitなんかが代表的ですが、自社製品を用いた研究を自社Web上で纏めて公開するの、誰も損しない仕掛けで好きです。

3. どこでも安全かつ効果的にリハビリを可能にするスマートセンサー

企業名:Aisens
URL:http://www.aisens.co/
設立年・所在地:2017年・ポズナン(ポーランド)
直近ラウンド:Seed(2017年7月)
調達金額:N/A

Aisensは、体の動きをリアルタイムにフィードバックするスマートセンサーを開発しているポーランドのスタートアップです。創業からまだ4年ですが、独自の電子回路システムをベースに事業成長を目指しています。創業以来ベルリンやアムステルダムなど欧州各地のヘルスケア系アクセラレーターに参加し、アイディアを磨いてきました。(↑のWebに飛ぼうとするとセキュリティに引っかかるので注意してください)

↓が公式動画なんですが、プロトタイプ感がすごい感じがします。これならうちとこでもできるわ、という声が聞こえてきそうです。

仕込んでいるサービスの一つがOrthyo。ハードウェアだけではなく、AIを搭載したソフトウェアと組み合わせて遠隔リハビリを可能にします。デバイスは現在、↓な感じのようで。

画像の感じでは、高齢者よりもまずは若年~中年患者の整形外科的リハビリを目指す印象を受けました。最後に、ピッチ動画も置いておきます。キーワードもやっぱりスポーツですね。


4. CaptoGlove:運動障害診断・治療ウェアラブルデバイス

企業名:CaptoGlove
URL:https://www.captoglove.com/
設立年・所在地:2016年・シカゴ
直近ラウンド:Seed(2019年5月)
調達金額:$150K

この記事2つめの手袋系ウェアラブル。

CaptoGloveは、仮想空間でのマシンインターフェイスとなる手袋を開発・提供しています。当初は、創業チームメンバーの父親が脳卒中から回復するためのリハビリツールとして開発されました、現在は運動障害を抱える患者向けの医療的利用と、エンターテインメントとしてのゲームへの活用へ拡大しています。

VR用のアイグラス及び手袋を装着することで、仮想空間でリアルティのある動き・体験が実現できます。装着・装備もすっと出来そうで、利用者負担が少なそうですね。Web上ではゲーム文脈が強調されていますが、メディア特性を考えると確かにそれが良さそうですね。

諸々込みの最上位製品だと両手ペアで900ドル。顧客企業には富士通や三菱のロゴが並んでいます。

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いかがでしたでしょうか?マガジン内の他のデジタルヘルス記事も、ぜひお手すきで見てみてください。

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